彼の愛は不透明◆◆若頭からの愛は深く、底が見えない…沼愛◆◆ 【完結】

諭し説き口説く 3

部屋を出てエレベーターで上に行くのは、若さんに抱っこされた私と右京の3人で、メガネは下へ行ったようだ。

「よし、玖未ちゃん、水」

到着した広い部屋でソファーに座った…いや…なぜか若さんの抱っこの名残のように、若さんの膝に座った私に右京が蓋を開けてペットボトルを左手に渡してくれる。

「ぁりがと…」
「うん。で、このバッグの中身を一応確かめて。現場周辺に落ちてる物がないかは組員が何度か確かめてるけど」

ファスナーで全部が閉められるものでなく、真ん中がマグネットタイプのバッグだからかな。

若さんがペットボトルとバッグを持ち替えさせれくれて中を覗くと、スマホと財布、鍵を確かめる。

「大丈夫です」
「うん。じゃあ、次。スマホ出して」
「………」
「もう必要だよ？連絡先交換しよう。灰谷兄妹ともしとけば良かったね」
「俺が先。ん、玖未。左手で使えるか？」

固定された右手でスマホを持ち、左手で使えなくはない。

「手首も出来るだけ動かすなって言われてるから、本当に大人しくしてろよ、玖未」

ゆっくり私を待つ間にそう言う若さんの距離が近いので膝から降りようと体をずらすと…ったぃ…自分で体を支えようとしたら首が痛む。

「言っただろ？見えない筋肉が痛くなってくる。全身打撲や筋肉痛みたいにな。もたれておけ」

ほんとだ…思ってもいなかったところが痛むかもしれない。全身を使って抵抗したんだから…

「玖未が頑張った痛みでもあるからな。しばらく体を労ってやらないと」

それが甘い声に聞こえて‘これがフェロモンイケメンか’と思いつつ、もう今日は何も出来そうもないと諦め、彼にスマホを渡すと目を閉じた。


もう朝が来るはずだ。