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差し響く 10
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「あぁ…っと、こんな感じですか…若のところより、うちのベッドで治療しますよ。道具の種類が必要そうですし」
「そうね、私の着替えもあるし。ヤられてはないのね?」
マンションの駐車場で待っていた灰谷兄妹は俺が抱き抱えている玖未を見てそう言うと、妹はコートとスカートを小さく持ち上げて中を覗き込んだ。
「大丈夫そうだけど、これ…ずっと意識がないの?」
「いや。助けてからだ」
「10分くらいですね。行きましょう」
「診察と治療をしながら起こして話も聞くわ」
妹の方がいつも偉そうな兄妹だが、二人でいい動きをすることは皆が知っている。
2階の灰谷の部屋に玖未を運んでベッドに寝かせると
「はい、みんなは出て。男を殺りに行ってもシャワーを浴びに帰ってもオーケーよ」
「1時間は十分にかかりますから」
手袋をパチンとはめながら、二人が俺たちを追い出す。
「1時間後に来る。頼んだ」
そう言ってすぐに駐車場に戻ると、運転席に乗り込んだ右京が迷わずに屋敷に車を向けた。
助手席で電話している野沢が
「はぁ…そうですか…早すぎませんか?」
と腕時計を見て
「とりあえず、もう着きます」
と通話を終えた。
「若、古原さんだったのですが…男の意識を回復させたのに親父がまた沈めてしまったそうです」
「何か言ってたか?」
屋敷に車を入れると、地下室から上がって来た親父と会う。
「若、すみません。所持品から調べるように指示はしましたが、男からは何も。今、一応自力呼吸は何とか…」
古原の説明を聞き、親父に抗議する。
「何も聞く前に沈めんなよ、親父」
「俺じゃねぇ…お前がまともに入れ過ぎてるから素人にはダメージがデカ過ぎたんだ、悠仁。あれ、たぶん話せねぇぞ」
「ソイツをさらに落としたのか?」
「俺の娘になる女に手、出されたんだ。当然だろ?娘になるんだろ?」
「ああ」
「なら、お前は汚れ仕事をするな。女…玖未っていったな」
「ん」
「こんなところにいねぇで、玖未のところに戻ってやれ」
「頼んだ。しばらくマンションにいる」
「仕事は任せろ」
親父に追い返されるように、玄関にも入ることなくマンションに戻る。
「親父の張り切り具合がこわっ…」
そう言いながら運転する右京はニヤニヤしている。
「若、ちょうど明日は休みと決めた日です。ゆっくりと玖未さんの様子を見て対応を…」
「…玖未がまるに行けねぇ…」
「そうですね」
「間に合ったようで間に合ってねぇ…」
誰もそうは言わなかったが、それが真実だ。
「そうね、私の着替えもあるし。ヤられてはないのね?」
マンションの駐車場で待っていた灰谷兄妹は俺が抱き抱えている玖未を見てそう言うと、妹はコートとスカートを小さく持ち上げて中を覗き込んだ。
「大丈夫そうだけど、これ…ずっと意識がないの?」
「いや。助けてからだ」
「10分くらいですね。行きましょう」
「診察と治療をしながら起こして話も聞くわ」
妹の方がいつも偉そうな兄妹だが、二人でいい動きをすることは皆が知っている。
2階の灰谷の部屋に玖未を運んでベッドに寝かせると
「はい、みんなは出て。男を殺りに行ってもシャワーを浴びに帰ってもオーケーよ」
「1時間は十分にかかりますから」
手袋をパチンとはめながら、二人が俺たちを追い出す。
「1時間後に来る。頼んだ」
そう言ってすぐに駐車場に戻ると、運転席に乗り込んだ右京が迷わずに屋敷に車を向けた。
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「はぁ…そうですか…早すぎませんか?」
と腕時計を見て
「とりあえず、もう着きます」
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「何か言ってたか?」
屋敷に車を入れると、地下室から上がって来た親父と会う。
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古原の説明を聞き、親父に抗議する。
「何も聞く前に沈めんなよ、親父」
「俺じゃねぇ…お前がまともに入れ過ぎてるから素人にはダメージがデカ過ぎたんだ、悠仁。あれ、たぶん話せねぇぞ」
「ソイツをさらに落としたのか?」
「俺の娘になる女に手、出されたんだ。当然だろ?娘になるんだろ?」
「ああ」
「なら、お前は汚れ仕事をするな。女…玖未っていったな」
「ん」
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そう言いながら運転する右京はニヤニヤしている。
「若、ちょうど明日は休みと決めた日です。ゆっくりと玖未さんの様子を見て対応を…」
「…玖未がまるに行けねぇ…」
「そうですね」
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誰もそうは言わなかったが、それが真実だ。
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