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差し響く 9
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「若、車つけました」
野沢の声でそっと玖未を抱き抱えて立ち上がる。
右京も電話しているところを見ると組員に車を任せたのだろう。
野沢の手には玖未のバッグとコートがある。
狭い路地で左右を野沢と右京、前は大西、後ろは組員に囲まれ玖未を揺らさないように、路地ギリギリまでつけてある車へと進む。
「男は屋敷の地下へ。灰谷兄妹を起こしてあります」
「ん」
電話を終えた右京は仕事モードだ。
車が縦列しているのは繁華街。すでに男を連れて出た車も含め、須藤の車が忙しなく出入りした挙げ句の3台縦列駐車の向こう側には、もう数人の見物客がいるがこれだけベタ付けしてあるとあちら側から玖未は見えない。
組員にそのまま運転させ、助手席に乗り込んだ右京が
「マンション」
と告げる。前の車には大西が乗ったので屋敷でなく問題なくマンションに向かう。
マンションは屋敷から極近い、重量鉄骨造6階建のビルだ。
5、6階が俺の部屋だが6階の半分は屋上のようなルーフバルコニーになっている。
2階から4階には野沢や右京はもちろん、組員が家族と住んでいる。1階には大西の姉をオーナーにしてコンビニが入っていて、パートやアルバイト従業員はマンションに住む組員の嫁など須藤関係者ばかりだ。里もここでアルバイトしている。
灰谷兄妹もマンションに住む医者兄妹だ。気分で非常勤病院勤務をする、須藤のお抱え医師だ。
「手…これヤバいな…折れてるか?」
「腫れてますね…ヒビは入ってそうですね」
「チッ…右手だぞ」
車の中で玖未を横に抱き、見える範囲でキズを確かめる。
狭く、遠慮がちに小さくなって玖未の足の方に座る野沢も顔を歪めた。顎にも擦り傷がある。膝から血が滲んでいるのもタイツから覗いている。
突っ込まれていないだけで…全身傷つけられている。
野沢の声でそっと玖未を抱き抱えて立ち上がる。
右京も電話しているところを見ると組員に車を任せたのだろう。
野沢の手には玖未のバッグとコートがある。
狭い路地で左右を野沢と右京、前は大西、後ろは組員に囲まれ玖未を揺らさないように、路地ギリギリまでつけてある車へと進む。
「男は屋敷の地下へ。灰谷兄妹を起こしてあります」
「ん」
電話を終えた右京は仕事モードだ。
車が縦列しているのは繁華街。すでに男を連れて出た車も含め、須藤の車が忙しなく出入りした挙げ句の3台縦列駐車の向こう側には、もう数人の見物客がいるがこれだけベタ付けしてあるとあちら側から玖未は見えない。
組員にそのまま運転させ、助手席に乗り込んだ右京が
「マンション」
と告げる。前の車には大西が乗ったので屋敷でなく問題なくマンションに向かう。
マンションは屋敷から極近い、重量鉄骨造6階建のビルだ。
5、6階が俺の部屋だが6階の半分は屋上のようなルーフバルコニーになっている。
2階から4階には野沢や右京はもちろん、組員が家族と住んでいる。1階には大西の姉をオーナーにしてコンビニが入っていて、パートやアルバイト従業員はマンションに住む組員の嫁など須藤関係者ばかりだ。里もここでアルバイトしている。
灰谷兄妹もマンションに住む医者兄妹だ。気分で非常勤病院勤務をする、須藤のお抱え医師だ。
「手…これヤバいな…折れてるか?」
「腫れてますね…ヒビは入ってそうですね」
「チッ…右手だぞ」
車の中で玖未を横に抱き、見える範囲でキズを確かめる。
狭く、遠慮がちに小さくなって玖未の足の方に座る野沢も顔を歪めた。顎にも擦り傷がある。膝から血が滲んでいるのもタイツから覗いている。
突っ込まれていないだけで…全身傷つけられている。
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