36 / 44
34話 中堅
しおりを挟む『蛇村樹海』の攻略を終えた僕たちは、そこで回収した依頼の素材をギルドに提出した。
「バジリスクの素材まで回収したんですか!?」
ロゼさんが提出した素材を鑑定していたら驚きの声を上げた。
『蛇村樹海』はDランクのダンジョンでは上位に位置し、しかもボスのバジリスクに至ってはCランクのボスと遜色ないほどの強さを持っている。
それなのに、僕たちがこんな短時間でダンジョンを踏破したから驚いたんだろう。
「そうなんですよ。しかもバジリスク戦ではカリンがほとんどひとりで討伐したんですよ!」
「凄いじゃないですか、カリン! ノロワ君のパーティーに入ってうまくやってるようですね」
「何も私ひとりの力じゃないさ。ノロワとエマのサポートがあってこそだ」
カリンが謙遜をするけどそんな事はない。
確かに僕の呪いやエマの魔法もあったけど、バジリスクを討伐したのは間違いなくカリンの実力があってこそだ。
「ふふふ、『灰狼』……いいパーティーになってきたじゃないですか」
ロゼさんがまるで我が子の成長を見るかのような優しい目で僕たちを見てくる。
僕もエマもカリンも、ロゼさんにはお世話になったなぁ……。
ロゼさんの『追放者の人とパーティーを組めばいいんですよ』って一言がなかったら、僕はみんなとパーティーを組んでいてすらいなかったかもしれない。
本当にロゼさんには感謝以外の感情が出てこないよ。
「それにしても、たった一日でバジリスクを討伐し、パーティーメンバーも元とはいえA、B、Cの冒険者が三人。しかも前衛と後衛のバランスも取れてる上実績も充分……これはもう直訴するしかないですね!」
「……直訴?」
何か訴えかけるようなことでもあっただろうか?
エマとカリンも不思議そうに首を傾げている。
「ふふふ、私に任せて明日もギルドに来てください。必ず私が話を通して見せますので!」
「えっと……はい、よろしくお願いします……でいいのかな?」
ロ何を企んでいるのかは分からないけど、ギルド内で一番信頼できるロゼさんの事だ、僕たちにとって悪い話じゃないだろう。
そのロゼさんが任せてって言ったんだ。
そんなの任せる以外の選択肢はないでしょ!
「はい! ふふ、明日を楽しみにしててくださいね」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ううう……すいません、力及ばずでした……」
ロゼさんに言われた通り、翌日に僕たち『灰狼』一同はギルドに来たら、開口一番にロゼさんから謝られてしまった。
「えっと……何に謝ってるのか分からないけど気にしなくていいですよ」
そもそもロゼさんが誰に何を直訴したのか知らないから責めようもないし。
まあ、元々ロゼさんの事を責めるような人は僕たちのパーティーにはいないけどさ。
「ところでロゼは昨日から何をしてるのよ?」
ロゼさんと姉妹のように仲のいいエマが質問をする。
うん、まあ、それは僕もずっと気になってたんだけどさ。
「実は『灰狼』のパーティーランクの昇格についてギルド長に直談判してたんです」
「「「えっ!?」」」
ランクの昇格だって!?
あまりにも予想外の答えに僕たちは声を揃えて驚く。
パーティーのランクを上げるのには大きく分けて二通りの方法がある。
ひとつは、僕たちがDランクに上がった時のように昇格試験を受けて昇格する方法。
そして、もうひとつは、ギルドからの推薦で昇格する方法もある。
ちなみにパーティーのランクをAランク以上に上げるためには、昇格試験は存在せず、ギルドからの推薦で国家が認めた場合にのみ昇格することができる。
つまり、Aランク以上のパーティーは、ギルド単位ではなく、国認定のパーティーを意味するってことだ。
「『灰狼』は今回のDランク上位ダンジョンの踏破に加えてアメアヲロンの討伐。しかもパーティーメンバーには追放されたとはいえAランク、Bランク、Cランクの冒険者が在籍。昇格するには実績も実力も充分だと思ったんですけど……」
確かに、それだけ挙げると昇格してもおかしくは無いかもしれないけど、何より僕たちはまだDランクに昇格したばかりだし、そんなに甘くはないだろう。
それにエマやカリンっていう最高戦力が二人もいるんだ。
そんなに焦らなくても昇格するのはそう遠く無いだろうしね。
「ギルド長が頑固で困りましたよ……。それで、こちらがCランク昇格の決定通知書なのでサインをお願いします」
「「「……え?」」」
「え?」
……あれ?
おかしいなぁ?
ロゼさんと僕たちで話しが噛み合っていない気がする。
さっきはロゼさんは昇格できなかったってハッキリ言ってたはずだ。
それなのに、なんで僕たちの目の前に『灰狼』の昇格通知書が出されているんだ?
「……ああっ、すいません、私の説明不足でした。ギルド長に断られたのは『灰狼』のBランクへの昇格だったんですよ。でも、なんとかCランクへの昇格までは認めさせることが出来ました!」
……まさかロゼさんがBランクへの飛び級の提案をしていただなんて。
そりゃあギルド長も断るよ。
Bランクといえば、冒険者の中でも上級クラス……実力、実績、経験、その全てを兼ね揃えて始めて昇格できるランク帯で、Bランクパーティーっていえば一目置かれる存在になる。
実際、ほとんどの冒険者はCランクまでの昇格で終わってしまう場合がほとんどだ。
そもそもCランクに上がるのでさえ、本来ならもっと沢山の経験やクエスト成功の実績が必要になってくるはずだ。
それなのに、Dランクに上がって数日の僕たちがCランクに上がれるなんて信じられない気持ちだ。
……ロゼさん、一体どんな手を使ったんだろう?
「それで三人はどうしますか?」
ロゼさんが僕たちに改めて確認してくる。
どうするって言うのは昇格するかどうかって事だろう。
Cランクに昇格すれば更に報酬のいいクエストを受けたり、レアな素材がドロップする高ランクのダンジョンにも潜れる。
だけど、当然ダンジョンの難易度が上がり、罠や出現するモンスターも強力になることで危険性も上がる。
できる事なら、エマとカリンを危険な目になんて合わせたくない。
でも、それ以上に二人をもっと輝ける場所に連れて行きたいって気持ちもある。
「そんなの決まってるじゃない。ねぇ、ノロワ」
「ああ、決まってるな。なあ、ノロワ」
エマとカリンは覚悟を決めた目で僕を見つめる。
……うん、分かってる、分かってるよ!
「……Cランクへの昇格、よろしくお願いします!」
僕たちならきっと大丈夫だ!!
0
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。
絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。
一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。
無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる