19 / 44
19話 昇格
しおりを挟む「こ……の……大馬鹿ノロワ!!!!」
……おっと?
突然の罵声をいただきました。
感動の再会を期待していた僕としてはちょっと虚をつかれてしまった。
「なんでアンタはそう無茶ばっかりするのよ! バカ! アホ!! ノロワ!!!!」
その並びで罵倒されると、僕の名前がまるで悪口みたいに聞こえるなぁ。
「はぁ……はぁ……。……お願いだからもっと自分を大切にしてよ」
一通り僕を責め終えたエマは肩で息をし、目を潤ませながら僕の服の裾をつまむ。
「……ごめんね」
確かに今回、僕はかなりの無茶をした自覚はある。
それに、エマに心配かけさせたのは事実だから素直に謝罪する。
……まあ、また同じようなシチュエーションになったら仲間を守るために同じようなことはすると思うけどね。
「……納得はしてないけど、許してあげるわ。ところで体調は大丈夫なの?」
「うん、ばっちりだよ。『呪い』の代償による痛みのせいで気絶したけど、別に怪我や病気になったわけじゃないしね」
「そう……それなら良かったわ。それと……ありがとう」
最後の感謝の言葉の声量はとても小さかったけど、はっきりと聞こえた。
この感謝は、エマの要望を聞いた上、エマを守ったことに対するものだろう。
「どういたしまして」
「っ……! なんで聞こえてるのよ!!」
ええー……。
理不尽に怒られてしまった。
「そういうのは聞こえても聞こえないふりするものなのよ! 分かった!?」
「……ワカリマシター。スイマセンデシター」
ここで何か言い返そうものなら更に怒られそうなので素直に謝っておくことにした。
「……謝りかたが不服だけど我慢してあげるわ。それで、どこまで状況は把握しているの? ロゼから聞いたけど、さっき目が覚めたばっかりなのよね?」
「大体の事はロゼさんから聞いたよ」
エマが無事だったこと。
ケイネス達を救出できたこと。
あの狼型モンスターが新種だったこと。
『始まりの洞穴』の新エリアが禁止区域に指定されたこと。
そして、先行していた『紅蓮の不死鳥』が今回のクエストの失敗により罰則を受けること。
ロゼさんから聞いた事をそのままエマに伝えた。
「それだけ知っているならアタシからノロワに教える事は無さそうね。それじゃあそろそろ行きましょうか」
「行くってどこに?」
まさかクエストにでも行くつもりか?
いくら体調がバッチリと言っても目を覚まして、即クエストに行くのは勘弁してもらいたいんだけど……。
「ロゼのところに決まってるじゃない。ノロワもロゼに目を覚ましたら来いって言われたでしょ?」
「……あっ、そうだったね。でも、なんでロゼさんのところに呼ばれたんだろう?」
事の顛末も聞いたし、ロゼさんからこれ以上受ける説明は無いと思うけど。
「それこそ決まってるわ。アタシ達の昇格試験の結果を教えてもらうのよ!」
「……あっ」
そういえば試験の結果を聞くのを完全に忘れちゃってたね。
◇◆◇◆◇◆
「おめでとうございます、ノロワ君にエマ。お二人はDランクパーティーに昇格決定です」
エマと一緒にロゼさんの所についてすぐに昇格を言い渡された。
「やった、やった! これでアタシ達もやっと一人前のパーティーね!!」
エマが嬉しそうに飛び跳ねながら、僕の服を掴む。
Dランクに上がったのがよっぽど嬉しいんだろう。
実際、新エリアの調査はもちろん、新人パーティーの救助に狼型モンスターの討伐……僕たちの実績を考えたら昇格は当たり前だけどね。
それでもエマの気持ちを考えたら、これほど喜ぶのも分からなくもない。
僕たちは互いに所属していたパーティーから追放……つまり不要と言われた冒険者だ。
冒険者達から落ちこぼれの烙印を押された僕たちが力を合わせ、結果こうしてDランクまで昇格できたわけだしね。
「今回の実績を考えればDランクどころかCランクやBランクまで昇格させてもいいと私は提案したんですけどね……。ギルドの上の方が認めてくれなかったんですよ。全く……頭が固い人は嫌になりますよね」
「ははっ、ロゼさんにそう言ってもらえるだけで十分ですよ」
今回これだけ上手くいったのは正直な話、運の要素もでかかった。
一歩間違えたらもっと甚大な被害が出ていた可能性もある。
それに、今の僕とエマにはパーティーとして決定的な欠点がある。
それを解消しないと、更にランクが上のダンジョン攻略なんて夢のまた夢だ。
「とにかく、これで二人ともDランク以下のダンジョンに挑戦できるようになりました」
冒険者ランクがDになってからやっと一人前の冒険者と言われる理由の一つに、ダンジョンへの挑戦権はDランクに上がらないと認められないことにある。
ダンジョン攻略こそ冒険者の醍醐味といっても過言じゃない。
それに、僕達のパーティーがDランクに上がった事で、更に受注できるクエストの幅が大きく上がったわけだ。
これからもっと忙しくなるぞー!
この先、今回以上の大変なこともあるかもしれない。
だけど、仲間との冒険にワクワクせずにはいられないよね!!
「それともう一つ……いえ、二つですかね。二人には二つの命名権がありますよ」
「二つ……?」
「はい。一つは、今回討伐した狼型モンスターの名前をつけてください」
ああ、すっかり忘れていた。
新種のモンスターを発見したら、そのモンスターの命名権は最初に討伐したパーティーに与えられるんだ。
新種のモンスターに出会う事は珍しく、その分モンスターに命名することは冒険者にとって名誉なことでもある。
これはしっかりと考えて名付けないとな……。
「そしてもう一つは、お二人はDランクパーティーに昇格したので自分のパーティー名を登録ができます」
Eランク冒険者とDランク冒険者には二つの大きな差がある。
まず一つは、さっきも言ったけどダンジョンへの挑戦権。
そしてもう一つは、パーティー名を名乗れる権利だ!
意外にも、パーティー名ってのは重要なものだ。
パーティー名が有名になれば、依頼主の方から個別に依頼を頼んでくることもある。
何より、パーティー名ってのは『憧れ』でもある。
子ども時代、冒険者に憧れている子は、必ず一度は自分のパーティー名を妄想するといっても過言じゃない。
自分の所属しているパーティー名が大陸全土に響き渡るのは冒険者にとっての一つの目標でもあるしね。
「パーティー名はもう決めてるんです!」
実は、医務室から出てロゼさんのところへ向かう前に、パーティー名はどうするかエマと話し合っていた。
元々、試験の前からいくつかの候補は上がっていたから、話し合い自体はすんなりと決まった。
「僕達のパーティー名は……!」
21
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
Sランクパーティーを追放された鑑定士の俺、実は『神の眼』を持ってました〜最神神獣と最強になったので、今さら戻ってこいと言われてももう遅い〜
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティーで地味な【鑑定】スキルを使い、仲間を支えてきたカイン。しかしある日、リーダーの勇者から「お前はもういらない」と理不尽に追放されてしまう。
絶望の淵で流れ着いた辺境の街。そこで偶然発見した古代ダンジョンが、彼の運命を変える。絶体絶命の危機に陥ったその時、彼のスキルは万物を見通す【神の眼】へと覚醒。さらに、ダンジョンの奥で伝説のもふもふ神獣「フェン」と出会い、最強の相棒を得る。
一方、カインを失った元パーティーは鑑定ミスを連発し、崩壊の一途を辿っていた。「今さら戻ってこい」と懇願されても、もう遅い。
無能と蔑まれた鑑定士の、痛快な成り上がり冒険譚が今、始まる!
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる