527 / 1,001
第十三章
514 神書
しおりを挟む
( リーフ )
この国の伝統に、
” 子供が生まれたら名前入りの短剣を子供に授ける ”
ーーというものがあるのだが、その理由はイシュル教の神話の中にある。
” 銀白の髪をなびかせた神イシュルが蹂躙されていた人型種を憐れみ、戦うための力【 資質 】を与えた ”
有名なこの言い伝えがが記されている
《 神書 》
と呼ばれる書物の挿絵には、簡素な白いドレスをきた美しい銀白の女神様が空から舞い降り、地で苦しみ藻掻く ” 人 ” に対し、短剣を授けようと手を差し出している姿が描かれている。
挿絵の題名は 《 希望 》
題名とその絵の感じから、その短剣こそが人が戦うためにイシュル神より貰った力【 資質 】なのだろうと現代まで語られている。
この《 神書 》と呼ばれる物も実は ” 過去人が残した遺産 ” の一つで、
これは ” イシュルの聖大樹 ” があるこの世界の中心地ーー
【 始まりの大地 】
ーーという場所で見つかったものらしい。
これは他の有名な ” 幸福の白い木 ” などの絵画シリーズを書いたとされる作者とは絵のタッチからもまた別の作者が書いたものの様で、やはり ” ゼロの歴史 ” に存在していたものだと考えられている。
【 始まりの大地 】とは、 ” イシュルの聖大樹 ” を中心とした広い樹海の様な森一帯の事で、驚くことに、そこは魔素が一切発生していない。
その場所を中心とし、まるで時計が回る様にここアルバード王国を含む全ての国は存在していてーー
北ーーー< ドロティア帝国 >( 人族 )
北東ーー< ガリウス帝国 > ( 人族 )
南東ーー< ガンドレイド王国 > ( ドワーフ族 )
南ーーー< アルバード王国 > ( 人族 )
南西ーー< レイティア王国 > ( エルフ族 )
北西ーー< ジェンス王国 > ( 獣人族 )
ーーといった位置関係がある。
こういった位置関係からドロティア帝国が他国への侵略を開始した1500年前より少し前の事、
世界を蹂躙しようと考えたドロティア帝国がまず目をつけたのはこの世界の中心部【 始まりの大地 】であった。
そこさえ占領すれば他の国へは進軍し放題だと考えたからだ。
しかしーーー
ドロティア帝国はそこへは入れなかった。
正確には入った途端、そのまま出てきてしまったのだという。
どうやら空間が森へと繋がっていない・・いや、存在すらしていなかった様で、森に一歩でも入ればそのまま元来た場所へと出てきてしまったのだそうだ。
ならば・・とドロティアは森を全て焼き払ってしまおうと最大火力魔法をぶっ放したのだがーーーー
その魔法はそのまま攻撃したドロティア軍へと全て跳ね返り、その当時の王と兵士達はその全員が焼け死んでしまったのだという。
その事実から、
” 始まりの大地には誰も入る事はできない ” 事が証明され、更には
" 魔素が一切存在しないこと "
” 遠目でも分かるほどの神々しい光を発する大きな大樹が中心にそびえ立っている事 ”
その三点を根拠として人々はこう考えた。
” 大きくそびえ立つイシュルの大樹こそが神の住む場所であり、始まりの大地一帯が神域である。 ”
ーーーと。
それからそこは絶対不可侵領域として決められ、現在までこの話は語り告げられている。
そしてこの絶対不可侵領域である【 始まりの大地 】の存在のせいで、ドロティア帝国は隣国を経由しなければ最大の脅威であるアルバード王国に攻め入る事はできず、まずは西側の隣国である< ジェンス王国 >へ攻め入った。
しかし、戦闘種族である獣人族はかなり手強く、中々簡単には占領することができない。
長期化しそうな戦いの中、ドロティア帝国が次に目をつけたのは、反対側の西側隣国の< ガリウス帝国 >とその隣に位置する
< ガンドレイド王国 >であった。
隣国の< ガリウス帝国 >は以前より豊富な資源を援助したり、悪事に加担したりとドロティア帝国とは友好関係を築いていたため、
そのまままずは< ガリウス帝国 >へと進軍したドロティア帝国軍はそこを拠点とし< ガンドレイド王国 >に一気に攻め入る。
< ガンドレイド王国 >で暮らすドワーフ族は武器や防具の扱いに長けても戦うことに関しては獣人に劣り、エルフ族の様に攻撃魔法も得意ではなかったため成すすべもなく次々とドロティア帝国の兵士に殺されていった。
街々は跡形もなく焼かれ、その土地の全ての資源や技術は奪われ、それは酷い惨状であったという。
そして< ガンドレイド王国 >が完全に占拠されようとした、まさにその瞬間だった。
アルバート王国が大軍を率いて助けに入ったのは。
防御に優れた戦い方をする< アルバード王国 >の兵は攻撃特化の< ドロティア帝国 >にとっては非常に厄介な戦い方をする相手で、だからこそドロティア帝国側としては最初に潰しておきたかった。
しかし国の配置的にそれは無理であったため、先に< ガンドレイド王国 >を占拠してから形勢を整え、ゆっくりと攻め入るつもりだったのだ。
この事態はドロティア帝国にとって完全な予想外、かつ不味い状況であった。
< ガンドレイド王国 >は助けに入ってくれた< アルバード王国 >に即座に武器や防具、そして様々な兵器を支給し、
それを支給されたアルバード王国兵達は、戦いで消耗していたドロティア帝国兵を次々と倒し国に攻め入っていたドロティア兵達は全滅。
そうして追い詰められた< ドロティア帝国 >と< ガリウス帝国 >は、< ガンドレイド王国 >から奪った分の資源や兵器を使い再度< ジェンス王国 >へ総攻撃を開始する。
初めて見る兵器の数々と魔法を使った攻撃の多彩な攻撃に、獣人達は苦戦を強いられていたがーー
それにも< アルバード王国 >は直ぐに援軍を送り完全にドロティア帝国の攻撃を退けたのだった。
当時アルバード王国の隣国であるエルフ族の住む< レイティア王国 >とは既に貿易の関係上良好な関係が築かれいたため、
< レイティア王国 >の隣に位置する< ジェンス王国 >への移動や援助物資はエルフ族の全面的な協力があったからこその勝利であった。
その事に感謝をしたドワーフ族の王と獣人の王は当時のアルバード王国の王に同盟を申し出て、その結果、結ばれたのが有名な【 4カ国同盟 】である。
この国の伝統に、
” 子供が生まれたら名前入りの短剣を子供に授ける ”
ーーというものがあるのだが、その理由はイシュル教の神話の中にある。
” 銀白の髪をなびかせた神イシュルが蹂躙されていた人型種を憐れみ、戦うための力【 資質 】を与えた ”
有名なこの言い伝えがが記されている
《 神書 》
と呼ばれる書物の挿絵には、簡素な白いドレスをきた美しい銀白の女神様が空から舞い降り、地で苦しみ藻掻く ” 人 ” に対し、短剣を授けようと手を差し出している姿が描かれている。
挿絵の題名は 《 希望 》
題名とその絵の感じから、その短剣こそが人が戦うためにイシュル神より貰った力【 資質 】なのだろうと現代まで語られている。
この《 神書 》と呼ばれる物も実は ” 過去人が残した遺産 ” の一つで、
これは ” イシュルの聖大樹 ” があるこの世界の中心地ーー
【 始まりの大地 】
ーーという場所で見つかったものらしい。
これは他の有名な ” 幸福の白い木 ” などの絵画シリーズを書いたとされる作者とは絵のタッチからもまた別の作者が書いたものの様で、やはり ” ゼロの歴史 ” に存在していたものだと考えられている。
【 始まりの大地 】とは、 ” イシュルの聖大樹 ” を中心とした広い樹海の様な森一帯の事で、驚くことに、そこは魔素が一切発生していない。
その場所を中心とし、まるで時計が回る様にここアルバード王国を含む全ての国は存在していてーー
北ーーー< ドロティア帝国 >( 人族 )
北東ーー< ガリウス帝国 > ( 人族 )
南東ーー< ガンドレイド王国 > ( ドワーフ族 )
南ーーー< アルバード王国 > ( 人族 )
南西ーー< レイティア王国 > ( エルフ族 )
北西ーー< ジェンス王国 > ( 獣人族 )
ーーといった位置関係がある。
こういった位置関係からドロティア帝国が他国への侵略を開始した1500年前より少し前の事、
世界を蹂躙しようと考えたドロティア帝国がまず目をつけたのはこの世界の中心部【 始まりの大地 】であった。
そこさえ占領すれば他の国へは進軍し放題だと考えたからだ。
しかしーーー
ドロティア帝国はそこへは入れなかった。
正確には入った途端、そのまま出てきてしまったのだという。
どうやら空間が森へと繋がっていない・・いや、存在すらしていなかった様で、森に一歩でも入ればそのまま元来た場所へと出てきてしまったのだそうだ。
ならば・・とドロティアは森を全て焼き払ってしまおうと最大火力魔法をぶっ放したのだがーーーー
その魔法はそのまま攻撃したドロティア軍へと全て跳ね返り、その当時の王と兵士達はその全員が焼け死んでしまったのだという。
その事実から、
” 始まりの大地には誰も入る事はできない ” 事が証明され、更には
" 魔素が一切存在しないこと "
” 遠目でも分かるほどの神々しい光を発する大きな大樹が中心にそびえ立っている事 ”
その三点を根拠として人々はこう考えた。
” 大きくそびえ立つイシュルの大樹こそが神の住む場所であり、始まりの大地一帯が神域である。 ”
ーーーと。
それからそこは絶対不可侵領域として決められ、現在までこの話は語り告げられている。
そしてこの絶対不可侵領域である【 始まりの大地 】の存在のせいで、ドロティア帝国は隣国を経由しなければ最大の脅威であるアルバード王国に攻め入る事はできず、まずは西側の隣国である< ジェンス王国 >へ攻め入った。
しかし、戦闘種族である獣人族はかなり手強く、中々簡単には占領することができない。
長期化しそうな戦いの中、ドロティア帝国が次に目をつけたのは、反対側の西側隣国の< ガリウス帝国 >とその隣に位置する
< ガンドレイド王国 >であった。
隣国の< ガリウス帝国 >は以前より豊富な資源を援助したり、悪事に加担したりとドロティア帝国とは友好関係を築いていたため、
そのまままずは< ガリウス帝国 >へと進軍したドロティア帝国軍はそこを拠点とし< ガンドレイド王国 >に一気に攻め入る。
< ガンドレイド王国 >で暮らすドワーフ族は武器や防具の扱いに長けても戦うことに関しては獣人に劣り、エルフ族の様に攻撃魔法も得意ではなかったため成すすべもなく次々とドロティア帝国の兵士に殺されていった。
街々は跡形もなく焼かれ、その土地の全ての資源や技術は奪われ、それは酷い惨状であったという。
そして< ガンドレイド王国 >が完全に占拠されようとした、まさにその瞬間だった。
アルバート王国が大軍を率いて助けに入ったのは。
防御に優れた戦い方をする< アルバード王国 >の兵は攻撃特化の< ドロティア帝国 >にとっては非常に厄介な戦い方をする相手で、だからこそドロティア帝国側としては最初に潰しておきたかった。
しかし国の配置的にそれは無理であったため、先に< ガンドレイド王国 >を占拠してから形勢を整え、ゆっくりと攻め入るつもりだったのだ。
この事態はドロティア帝国にとって完全な予想外、かつ不味い状況であった。
< ガンドレイド王国 >は助けに入ってくれた< アルバード王国 >に即座に武器や防具、そして様々な兵器を支給し、
それを支給されたアルバード王国兵達は、戦いで消耗していたドロティア帝国兵を次々と倒し国に攻め入っていたドロティア兵達は全滅。
そうして追い詰められた< ドロティア帝国 >と< ガリウス帝国 >は、< ガンドレイド王国 >から奪った分の資源や兵器を使い再度< ジェンス王国 >へ総攻撃を開始する。
初めて見る兵器の数々と魔法を使った攻撃の多彩な攻撃に、獣人達は苦戦を強いられていたがーー
それにも< アルバード王国 >は直ぐに援軍を送り完全にドロティア帝国の攻撃を退けたのだった。
当時アルバード王国の隣国であるエルフ族の住む< レイティア王国 >とは既に貿易の関係上良好な関係が築かれいたため、
< レイティア王国 >の隣に位置する< ジェンス王国 >への移動や援助物資はエルフ族の全面的な協力があったからこその勝利であった。
その事に感謝をしたドワーフ族の王と獣人の王は当時のアルバード王国の王に同盟を申し出て、その結果、結ばれたのが有名な【 4カ国同盟 】である。
応援ありがとうございます!
16
お気に入りに追加
1,920
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる