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第78話 〜和やかな昼飯〜
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「てっぺ、おにぎり作って」
立っとる者は子でも使え、おかんは味付け海苔と塩を俺に押し付けてきた。まぁそんくらいはしますけどもよと塩を入れてご飯を混ぜ、ビニール手袋をはめてから俵型のおにぎりを握っていく。
「てっぺちゃん、海苔巻いていこか?」
「おぉ、助かるわ」
ルミちゃんも席を立ってビニール手袋をはめ、握った順に味付け海苔を巻いてくれる。ホンマ姉と違うて気の利く子や、そういうとこ晴おばちゃんにそっくりやわ。ほんで頭のええところは小学校教員の武おじさんに似てると思う、姉でご苦労なさった分妹がええ子に育って良かったと他人事ながらも感慨深く思う俺。
「お二人仲良いね」
金子さんは俺らを見てそう言うてくる。
「家お隣やからきょうだいみたいなもんですよ」
「へぇ、いいねそういうの」
「この二人に関してはそうでもええ事ばかりやあらしませんで。昔旦那同士が喧嘩した時なんかもう気まずうて気まずうて、あの二人どっちもが意固地でなぁ」
「へぇ、そんな事あったん?」
あの穏やかな武おじさんが?おとんは短気な方やったから分からんでもないが。
「でもまぁ若い頃の話よ。こんなん子供らには見せられん言うて遼生が生まれてからは無うなったけど」
「あ~、けどお父ちゃんがお姉ちゃんぶん殴った時は怖かったわぁ。あんな状態で喧嘩なんかしたら激しそうやね」
「そらもう目ぇも当てられんくらいやったで」
おかんは俺の知らん若い頃の自分らを懐かしんどる。ガチの喧嘩をしとった武おじさんとおとんかぁ……想像出来んわ。
「ところでどない?金子さん」
「もう少し炊いた方が……」
「ほな先に味付してしまおか、その間に火ぃ通るやろ」
雑い、そういうとこマジで雑い。けど金子さんは優しいからそうですねとおかんに合わせてくれる。ここでもまた雑さ全開で砂糖、酒、醤油をテキトーにどぼどぼ入れよる、何でもええから匙くらい使えよ。水との対比いうても水の時点で蛇口から鍋へダイレクトいう感じやったわ、今更気にしても無意味なんか。
「ふぅん、まぁまぁやな」
おかんは汁が沸いてから軽く味見しよる。
「私芋煮って初めてなんですけど……美味しいですね」
彼女は雑いおかんの味付の芋煮を味見して笑顔になる。その笑顔俺にもください……ってゴリマッチョみたいになってきとる俺。にしてもその雑さで味を決められるて凄技やわ、これ男には真似出来ん。神業すぎる主婦の雑さの傍らで俺とルミちゃんもおにぎりを握り終え、いよいよ豪勢な昼飯を頂ける事となった。
立っとる者は子でも使え、おかんは味付け海苔と塩を俺に押し付けてきた。まぁそんくらいはしますけどもよと塩を入れてご飯を混ぜ、ビニール手袋をはめてから俵型のおにぎりを握っていく。
「てっぺちゃん、海苔巻いていこか?」
「おぉ、助かるわ」
ルミちゃんも席を立ってビニール手袋をはめ、握った順に味付け海苔を巻いてくれる。ホンマ姉と違うて気の利く子や、そういうとこ晴おばちゃんにそっくりやわ。ほんで頭のええところは小学校教員の武おじさんに似てると思う、姉でご苦労なさった分妹がええ子に育って良かったと他人事ながらも感慨深く思う俺。
「お二人仲良いね」
金子さんは俺らを見てそう言うてくる。
「家お隣やからきょうだいみたいなもんですよ」
「へぇ、いいねそういうの」
「この二人に関してはそうでもええ事ばかりやあらしませんで。昔旦那同士が喧嘩した時なんかもう気まずうて気まずうて、あの二人どっちもが意固地でなぁ」
「へぇ、そんな事あったん?」
あの穏やかな武おじさんが?おとんは短気な方やったから分からんでもないが。
「でもまぁ若い頃の話よ。こんなん子供らには見せられん言うて遼生が生まれてからは無うなったけど」
「あ~、けどお父ちゃんがお姉ちゃんぶん殴った時は怖かったわぁ。あんな状態で喧嘩なんかしたら激しそうやね」
「そらもう目ぇも当てられんくらいやったで」
おかんは俺の知らん若い頃の自分らを懐かしんどる。ガチの喧嘩をしとった武おじさんとおとんかぁ……想像出来んわ。
「ところでどない?金子さん」
「もう少し炊いた方が……」
「ほな先に味付してしまおか、その間に火ぃ通るやろ」
雑い、そういうとこマジで雑い。けど金子さんは優しいからそうですねとおかんに合わせてくれる。ここでもまた雑さ全開で砂糖、酒、醤油をテキトーにどぼどぼ入れよる、何でもええから匙くらい使えよ。水との対比いうても水の時点で蛇口から鍋へダイレクトいう感じやったわ、今更気にしても無意味なんか。
「ふぅん、まぁまぁやな」
おかんは汁が沸いてから軽く味見しよる。
「私芋煮って初めてなんですけど……美味しいですね」
彼女は雑いおかんの味付の芋煮を味見して笑顔になる。その笑顔俺にもください……ってゴリマッチョみたいになってきとる俺。にしてもその雑さで味を決められるて凄技やわ、これ男には真似出来ん。神業すぎる主婦の雑さの傍らで俺とルミちゃんもおにぎりを握り終え、いよいよ豪勢な昼飯を頂ける事となった。
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