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第58話 復讐鬼
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リーン。リーン。リーン。リーン。リーン……。
近い!
目の前にいる冒険者は全員、手に剣を持っている。空いている方の手には何も持っていない。腰にもベルらしき物をつけている人はいない。いったい誰なんだ。
「ガウ!」
「何をする!」
「リル!」
リーン……。
振り上げた足からリルが吹っ飛ばされてきた。何とかキャッチして驚く。リルがベルを咥えていた。そっか足につけてあったんだ。草に隠れて見えないし、動けば音がなる!
『やはり彼だったか』
「レモンスさんなんで……」
「っち。それを返せ!」
『そのベルを鑑定しろ!』
「わかった。鑑定!」
『ヨイドレイのベル』アイテムランク:E
魔素酔いしたモノを操る事が出来る。
◆契約した者が使う事が出来る。
◆契約魔法:ベルの使者
「え? ちょ……これって!」
『何! 契約魔法だと! 詳細を見てみろ』
「これ作ったの?」
『作ってないから見てみろと言っている!』
「うわぁ」
いきなり吹き飛ばされた。
「あ、わりぃ。余裕がなかった!」
見れば、レモンスさんの剣をリトラさんが受け止めていた。周りを見れば驚いてこっちをチラッと見ている。モンスターと戦いながらだからこっちになかなかこれないみたい。
リトラさんが、レモンスさんの攻撃を受けてくれたんだ。
「ありがとう」
「何があった!」
ロメイトさんが叫ぶ。
「わからないが、マルリードが何かに感づいたみたいだ。だろ?」
「うん。操っていたのってレモンスさんだ!」
「……ふん。もう遅い。ベルが鳴らなくてもどんどんモンスターが出てくるだろう」
「なぜそんな事をした!」
今度は、ディルダスさんが叫んだ。
「復讐だ」
「復讐だと? 我々が何をしたというのだ」
「相手は、私の親だよ。私を捨てたな」
親って、フェニモード家の事?
「もう知ってるんだろ? フェニモード家に隠し子がいた事を。それが私だ」
「けど、お金持ちのお嬢さんと結婚する事になったんだろう?」
リトラさんが言うと、ふんと鼻を鳴らす。
「私が捨てられたと知ったのは16歳の時、冒険者になり周りが持つ錬金が自分と違う事に気が付いた。私が持っている錬金は、魔素錬金。育ての親に聞けば、その魔素錬金のせいで捨てられたらしい。それなのに君を手に入れるために、私を呼び戻した。ここに自由に行き来できるようにするから素性は漏らすなと言っていたのにな!」
「あぁそうか。だとしてなぜマルリードを殺す必要がある! 彼は悪くないだろう!」
レモンスさんの攻撃を跳ね返しリトラさんが聞いた。僕も聞きたい。というか、魔素錬金って何?
『さあな。錬金にはかわりないのだろうがな』
「まさか魔素を消されるとは思ってもみなかった。行ってみたら本当に消えていて驚いた。魔素を消したのがマルリードだと思った。魔狼もどうやってかわからないが連れ出していた。しかも魔素酔いしているはずなのに、そんなに動けるようになっている。生かしておけば予定通りいかない。そう思って予行練習もかねてスライムで襲った」
スライムで襲っただけ? リルは関係ない? 僕だけが狙い?
『そうなのか? でもいつ知ったのだ? マルリードが魔素を消したと』
「僕が消したとなぜ思ったの? 真相に近づいたから?」
そういえば、魔法陣の話をした時、絶対ないと話を遮った。
「あぁ。それで確信したが、ポーチに魔狼がいたのがランプを渡す時に見えたからな。まさかとは思ったが、あそこに魔素が大量にあったのを知っていたしありえると思ってな!」
『そういう事か。リルは、彼が使った魔法に驚いて暴れた。ならやはり、あの時魔法を使う気だったのか?』
あの時って?
『エドラーラにリルが威嚇していた時だ。リルが威嚇しているので辺りを一応探ったのだ。スライムの時に居た人物と似た者がいた』
え? 探ったの? なんで教えてくれなかったの?
『確証がなかったからだ。リルがレモンスに威嚇したのか、わからなかったのだ』
そこに居たのがレモンスさんだったの?
『どうやらあの鎧は、魔素を使ったものらしく、魔素を通して見ると特徴ある人物になるのだ。だがその後君を狙った犯人と、エドラーラが取引している相手は違うという事になったので、私の中でも違うのだろうとなったのだ』
「一旦婚約を破棄すると言ったのはなぜ? こうやってここに僕をおびき寄せる為? なんでみんなと一緒に来たの?」
もし僕をおびき寄せる作戦ならすでに来ているだろう?
「私は、両親を殺すつもりでいた。その相手が私だと知っている人物がほしかったが、あいつらに従うなんて真っ平御免だ! だからちょうどいい理由が出来たと思っていた。エドラーラが乗り込んで来て、君が核を採取するマジックアイテムを買いに行くことになりちょうどよいと思った。親が気に入っている君もやはり殺そうとな。本当は、私がついて行ってやるつもりでいたのだが、まあ結果オーライだ!」
「何が結果オーライだ! 親を襲うって街ごとだろう? モンスターが親だけ狙うわけない!」
リトラさんが叫ぶ。
「あははは。あいつらが生き延びても生き地獄。そうしないと復讐にならないだろう?」
狂ってる……。
レモンスさんは、復讐鬼になっていた。
近い!
目の前にいる冒険者は全員、手に剣を持っている。空いている方の手には何も持っていない。腰にもベルらしき物をつけている人はいない。いったい誰なんだ。
「ガウ!」
「何をする!」
「リル!」
リーン……。
振り上げた足からリルが吹っ飛ばされてきた。何とかキャッチして驚く。リルがベルを咥えていた。そっか足につけてあったんだ。草に隠れて見えないし、動けば音がなる!
『やはり彼だったか』
「レモンスさんなんで……」
「っち。それを返せ!」
『そのベルを鑑定しろ!』
「わかった。鑑定!」
『ヨイドレイのベル』アイテムランク:E
魔素酔いしたモノを操る事が出来る。
◆契約した者が使う事が出来る。
◆契約魔法:ベルの使者
「え? ちょ……これって!」
『何! 契約魔法だと! 詳細を見てみろ』
「これ作ったの?」
『作ってないから見てみろと言っている!』
「うわぁ」
いきなり吹き飛ばされた。
「あ、わりぃ。余裕がなかった!」
見れば、レモンスさんの剣をリトラさんが受け止めていた。周りを見れば驚いてこっちをチラッと見ている。モンスターと戦いながらだからこっちになかなかこれないみたい。
リトラさんが、レモンスさんの攻撃を受けてくれたんだ。
「ありがとう」
「何があった!」
ロメイトさんが叫ぶ。
「わからないが、マルリードが何かに感づいたみたいだ。だろ?」
「うん。操っていたのってレモンスさんだ!」
「……ふん。もう遅い。ベルが鳴らなくてもどんどんモンスターが出てくるだろう」
「なぜそんな事をした!」
今度は、ディルダスさんが叫んだ。
「復讐だ」
「復讐だと? 我々が何をしたというのだ」
「相手は、私の親だよ。私を捨てたな」
親って、フェニモード家の事?
「もう知ってるんだろ? フェニモード家に隠し子がいた事を。それが私だ」
「けど、お金持ちのお嬢さんと結婚する事になったんだろう?」
リトラさんが言うと、ふんと鼻を鳴らす。
「私が捨てられたと知ったのは16歳の時、冒険者になり周りが持つ錬金が自分と違う事に気が付いた。私が持っている錬金は、魔素錬金。育ての親に聞けば、その魔素錬金のせいで捨てられたらしい。それなのに君を手に入れるために、私を呼び戻した。ここに自由に行き来できるようにするから素性は漏らすなと言っていたのにな!」
「あぁそうか。だとしてなぜマルリードを殺す必要がある! 彼は悪くないだろう!」
レモンスさんの攻撃を跳ね返しリトラさんが聞いた。僕も聞きたい。というか、魔素錬金って何?
『さあな。錬金にはかわりないのだろうがな』
「まさか魔素を消されるとは思ってもみなかった。行ってみたら本当に消えていて驚いた。魔素を消したのがマルリードだと思った。魔狼もどうやってかわからないが連れ出していた。しかも魔素酔いしているはずなのに、そんなに動けるようになっている。生かしておけば予定通りいかない。そう思って予行練習もかねてスライムで襲った」
スライムで襲っただけ? リルは関係ない? 僕だけが狙い?
『そうなのか? でもいつ知ったのだ? マルリードが魔素を消したと』
「僕が消したとなぜ思ったの? 真相に近づいたから?」
そういえば、魔法陣の話をした時、絶対ないと話を遮った。
「あぁ。それで確信したが、ポーチに魔狼がいたのがランプを渡す時に見えたからな。まさかとは思ったが、あそこに魔素が大量にあったのを知っていたしありえると思ってな!」
『そういう事か。リルは、彼が使った魔法に驚いて暴れた。ならやはり、あの時魔法を使う気だったのか?』
あの時って?
『エドラーラにリルが威嚇していた時だ。リルが威嚇しているので辺りを一応探ったのだ。スライムの時に居た人物と似た者がいた』
え? 探ったの? なんで教えてくれなかったの?
『確証がなかったからだ。リルがレモンスに威嚇したのか、わからなかったのだ』
そこに居たのがレモンスさんだったの?
『どうやらあの鎧は、魔素を使ったものらしく、魔素を通して見ると特徴ある人物になるのだ。だがその後君を狙った犯人と、エドラーラが取引している相手は違うという事になったので、私の中でも違うのだろうとなったのだ』
「一旦婚約を破棄すると言ったのはなぜ? こうやってここに僕をおびき寄せる為? なんでみんなと一緒に来たの?」
もし僕をおびき寄せる作戦ならすでに来ているだろう?
「私は、両親を殺すつもりでいた。その相手が私だと知っている人物がほしかったが、あいつらに従うなんて真っ平御免だ! だからちょうどいい理由が出来たと思っていた。エドラーラが乗り込んで来て、君が核を採取するマジックアイテムを買いに行くことになりちょうどよいと思った。親が気に入っている君もやはり殺そうとな。本当は、私がついて行ってやるつもりでいたのだが、まあ結果オーライだ!」
「何が結果オーライだ! 親を襲うって街ごとだろう? モンスターが親だけ狙うわけない!」
リトラさんが叫ぶ。
「あははは。あいつらが生き延びても生き地獄。そうしないと復讐にならないだろう?」
狂ってる……。
レモンスさんは、復讐鬼になっていた。
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