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第2章 境界線の向こう側
知性を与えられた猫たちは何を見る? 第28話
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翌日。
あたりは日も暮れて、そろそろ夕闇が訪れる頃だった。西の空には太陽が残したかすかな明るさが、雲の影を映し、データセンターの駐車場の街灯に灯った明かりは、夕暮れ時を知らせていた。
私が車のエンジンを切ると、窓の外に虫の声が聞こえた。
私たちはこれからの行動を確認した。
「今日やることは、センター内のコンピューター端末で削除されたというファイルを確認すること。そのために私達は、削除されたファイルを復元ツールを使って復元して、それをコピーして入手するの。」
セイくんが私の後に続ける。
「で、センター内へどうやって入るかって事なんだけど、まずこれから、データセンターのセキュリティカメラに小さな異常を発生させる。そうすると不審者対応の警報が鳴るから、警備会社が出勤するはず。そこで僕達は彼らが到着する前に、警備会社のスタッフになりすまして潜り込むんだ」
私たちは頷いた。
そしてセイくんはコタローに用意しておいたバックパックを装着するよう指示する。
「コタロー、この中にある装置を建物の裏に設置してきて。これがカメラやセンサーに干渉する微弱な信号を送る」
「了解」
コタローが即答し、軽快な足取りで動き出した。その後、コタローが戻ってくると、セイくんは次の指示を続ける。
「さあ、そろそろ警報が鳴った頃だ。行くよ」
私たちは警備会社のロゴが入った作業服に着替え、受付に向かった。
「○○警備会社の者です。不審者対応で来ました」
「お疲れ様です。コントロールルームは2階です」
堂々と受付を通ってセンター内に入った私たちは、コントロールルームに向かう振りをして、そこを通り過ぎ、該当の端末のある部屋を探す。
廊下の向こうでは人型の清掃ロボットが作業しているのが目に入った。白く光るボディは汚れ一つなく、床に向けた吸引機がせわしなく動いていく。それ以外は、日曜の夜間というのもあって、人の姿は見当たらなかった。
「この部屋だ」
その部屋は廊下が突き当たる角にあった。外から部屋の中を見ると、スタッフらしき人影がキーボードを叩いているのが見えた。
「これじゃ、見れないね」
「それにスタンドアローンのようだから、ネットワークからの侵入も無理ね」
「それなら、USBドロップ攻撃だね。このUSBデバイスをターゲットの端末に差し込むことで、外部アクセス出来ない端末にもデータを送り込んだり、逆に引き出したりできるんだ。特に今回のネットワークに繋がっていないスタンドアローンの端末には、これが一番手っ取り早い」
セイくんはそう言ってソロリソロリと部屋の中を這うようにして進んだ。
さすが、猫。まったく音をさせずに目的の端末へと近づいていく。
私は周りを見回し、
「誰も来てないよね?」
と確認する。
コタローが耳をピクピクさせながら、確認する。
「大丈夫です。今のところ、接近はありません」
セイくんが端末の裏手に近づき、そっとUSBを挿しこむ。わずかにUSBが光るのが見えた。
その時、ガタッと音がして私たちに一瞬緊張が走る。スタッフが身をかがめて椅子の下を覗き込むのが見えた。
「あ、あぶない、見つかる!」
セイくんは身を縮めてPCの陰に隠れる。
スタッフは何やら探しているようだ。
と、その時、セイくんは自分の足元に消しゴムが転がってきているのを見つけた。セイくんはヒョイと前足で、スタッフが見ていない彼の近くに消しゴムを転がし、身を潜めた。
スタッフは消しゴムに気付いて拾い上げ、作業を続けた。
ほうっと息をつき、私たちは見守る。USBが光り、挿しこまれたUSBにあらかじめ仕込まれた侵入スクリプトが送られている様子を見守る。
と、その時、コタローが突然低い声で警告した。
「エレベーターが動きました。警備員が降りてきます。」
私達の中に緊張が走る。
「ここまで来る?」
「可能性は高いです。」
「どうする?」
「中断しよう!」
セイくんがそう言って、USBを取り外そうとしたが、その時、茶丸がそれを制した。
「待って。僕に任せて」
あたりは日も暮れて、そろそろ夕闇が訪れる頃だった。西の空には太陽が残したかすかな明るさが、雲の影を映し、データセンターの駐車場の街灯に灯った明かりは、夕暮れ時を知らせていた。
私が車のエンジンを切ると、窓の外に虫の声が聞こえた。
私たちはこれからの行動を確認した。
「今日やることは、センター内のコンピューター端末で削除されたというファイルを確認すること。そのために私達は、削除されたファイルを復元ツールを使って復元して、それをコピーして入手するの。」
セイくんが私の後に続ける。
「で、センター内へどうやって入るかって事なんだけど、まずこれから、データセンターのセキュリティカメラに小さな異常を発生させる。そうすると不審者対応の警報が鳴るから、警備会社が出勤するはず。そこで僕達は彼らが到着する前に、警備会社のスタッフになりすまして潜り込むんだ」
私たちは頷いた。
そしてセイくんはコタローに用意しておいたバックパックを装着するよう指示する。
「コタロー、この中にある装置を建物の裏に設置してきて。これがカメラやセンサーに干渉する微弱な信号を送る」
「了解」
コタローが即答し、軽快な足取りで動き出した。その後、コタローが戻ってくると、セイくんは次の指示を続ける。
「さあ、そろそろ警報が鳴った頃だ。行くよ」
私たちは警備会社のロゴが入った作業服に着替え、受付に向かった。
「○○警備会社の者です。不審者対応で来ました」
「お疲れ様です。コントロールルームは2階です」
堂々と受付を通ってセンター内に入った私たちは、コントロールルームに向かう振りをして、そこを通り過ぎ、該当の端末のある部屋を探す。
廊下の向こうでは人型の清掃ロボットが作業しているのが目に入った。白く光るボディは汚れ一つなく、床に向けた吸引機がせわしなく動いていく。それ以外は、日曜の夜間というのもあって、人の姿は見当たらなかった。
「この部屋だ」
その部屋は廊下が突き当たる角にあった。外から部屋の中を見ると、スタッフらしき人影がキーボードを叩いているのが見えた。
「これじゃ、見れないね」
「それにスタンドアローンのようだから、ネットワークからの侵入も無理ね」
「それなら、USBドロップ攻撃だね。このUSBデバイスをターゲットの端末に差し込むことで、外部アクセス出来ない端末にもデータを送り込んだり、逆に引き出したりできるんだ。特に今回のネットワークに繋がっていないスタンドアローンの端末には、これが一番手っ取り早い」
セイくんはそう言ってソロリソロリと部屋の中を這うようにして進んだ。
さすが、猫。まったく音をさせずに目的の端末へと近づいていく。
私は周りを見回し、
「誰も来てないよね?」
と確認する。
コタローが耳をピクピクさせながら、確認する。
「大丈夫です。今のところ、接近はありません」
セイくんが端末の裏手に近づき、そっとUSBを挿しこむ。わずかにUSBが光るのが見えた。
その時、ガタッと音がして私たちに一瞬緊張が走る。スタッフが身をかがめて椅子の下を覗き込むのが見えた。
「あ、あぶない、見つかる!」
セイくんは身を縮めてPCの陰に隠れる。
スタッフは何やら探しているようだ。
と、その時、セイくんは自分の足元に消しゴムが転がってきているのを見つけた。セイくんはヒョイと前足で、スタッフが見ていない彼の近くに消しゴムを転がし、身を潜めた。
スタッフは消しゴムに気付いて拾い上げ、作業を続けた。
ほうっと息をつき、私たちは見守る。USBが光り、挿しこまれたUSBにあらかじめ仕込まれた侵入スクリプトが送られている様子を見守る。
と、その時、コタローが突然低い声で警告した。
「エレベーターが動きました。警備員が降りてきます。」
私達の中に緊張が走る。
「ここまで来る?」
「可能性は高いです。」
「どうする?」
「中断しよう!」
セイくんがそう言って、USBを取り外そうとしたが、その時、茶丸がそれを制した。
「待って。僕に任せて」
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