知性を与えられた猫たちは何を見る?

ChamalSei

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序章 知性を与えられた日

知性を与えられた猫たちは何を見る? 第13話

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セイくんとコタローに合流し、コタローにもう一度ぬいぐるみを着せて歩き出す。

「やっぱり無理があるんですよ」

コタローが言う。

「大丈夫だよ」

「そうだよ、似合ってるし」

セイくんと茶丸がそれに答える。

「あなたたちは自分たちが面白いだけでしょう?」

「えへへ」

「まあ、今日はこの辺にしておこうか?そろそろ帰る?」

私がそう言ったとき、コタローがふいに足を止めた。
その動きに私も2匹もつられて足を止める。

「周囲に異常なエネルギー波動を検出しました。」

コタローが機械的な口調で言った。

「え? 何もないじゃない。」

私は答えた。

「いえ、不自然な動きがあります。」

コタローが続ける。

「確認したところ、周囲の動きに不自然さがあります。敵の存在かもしれません。」

「敵って、何を言ってるの?この町には敵なんて…」

最初の設定をミスったのか。それともバグ?開発に報告しなきゃと考えていると

「私は感知しました。正確には、地球技術では発生し得ない…」

その言葉にドキッとする。地球技術では発生し得ない・・・。
普通の人なら笑い飛ばすところだが、私は実際に地球外の知性体と接触しているのだ。そう、それが実在していることを知っているのだ。

「律佳さん、後ろに気をつけてください。誰かが接近しています。」

コタローに言われて思わず振り返った。
15メートルほど後ろに黒い服をきた中肉中背の男性がうつむき加減で近づくのが見えた。

私は慌てて足を速める。
茶丸とセイくんも異変に気付き、走って付いてくる。

「律佳ちゃん!ここからだと家は遠い。人がいるところに行こう!」
セイくんが走りながら私に向かって叫んだ。

近くにスーパーマーケットがある。あのあたりまで行けば・・・・。
スーパーに近づくと人も増えてきた。そっと後ろをうかがうと男はまだ付いて来ている。

私は男をやり過ごすため、周りの人に不自然に思われないように靴ひもを結ぶふりをしてしゃがんだ。

男が近づく・・・近づくたびに、空気が重たくなるような感覚に包まれた。10メートル、5メートル・・・私は通りの隅でゆっくりと立ち上がる。もしも襲い掛かってきたら逃げられるだろうか・・・。心臓が早鐘のように打つ。

男は私の横の位置まで来たとき、通り過ぎずにその場に立ち止まった。3メートルくらい先で男は私の顔を一瞥し、次にその視線を茶丸に向けた。私は喉の奥でヒュッと息を飲んだ。茶丸の背中の毛が逆立ち、小さく唸り声を上げる。男の青白いその顔からは何も読み取れなかった。ドッドッドッと自分の鼓動が響く。

どれくらいの時間が経っただろう?
男は再び前を向いて歩き始めた。
男が過ぎ去っていく。
あたりはザワザワと人込みの中なのに、まるで私たちの回りだけが時間が止まったかのような静寂を感じた。

「追いかけよう!」

その静寂を茶丸が破った。

「ちょっと、あなたたち!やめなさい!」

私が止めるのにも関わらず、彼らは男を追う。
思わず、私も茶丸たちを追いかけた。

が、50メートルほど行ったであろうか、男はスーパーを過ぎ、少し人が少なくなってきたあたりで・・・。

突然、男は立ち止まり、その瞬間にヴンという不気味な振動とキンという耳鳴りが鼓膜に響いた。
それと同時に男はスッと、姿を消した。
視界の端には、一瞬だけ奇妙な光の輪が残された。

「!!」

物陰に隠れたわけでもなく、その男の姿かたちを一瞬前まで捕らえていたのに、次の瞬間に見えなくなっていたのだ。そう、文字通り、影も形もなく。
ほんの数十秒ほど前まで男がいた場所に行ってみたが何の痕跡もない・・・・・

「・・・・・消えた・・・」

私は半ば呆然自失な状態で立ち尽くした。
今見た出来事に頭の中は混乱状態だった。

消えた、消えた・・・。

その言葉が頭の中でグルグルと繰り返される。冷静になろうと努めたが、頭が回らなかった。

気が付くと私は嫌な汗をかき、そのせいか5月の陽気の中で寒さを感じ、震えていた。

ふと見下ろすと、二 2匹が見上げて私の顔をじっと見ていた。
そして突然「ニャッ」と茶丸が飛びついてきて私の腕に収まった。

「律佳ちゃん、帰ろう?」

腕の中の茶丸にそう言われ、歩き始めた。
猫の暖かさと柔らかい毛の感触を感じながら。

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