知性を与えられた猫たちは何を見る?

ChamalSei

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序章 知性を与えられた日

知性を与えられた猫たちは何を見る? 第12話

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「あれは…何だったの?」

私は昨日の出来事を振り返っていた。不審な男が突然消えた場面が、頭の中で何度も再生される。そして男の暗い表情・・・私はゾクッと身震いした。

「ただの見間違いじゃない…でも、どうやってあんなことが?」

その時、コタローが横で淡々と報告を始めた。

「律佳さん、昨夜の場所で特殊なエネルギー反応を検知しました。」

「エネルギー反応?それってどういうこと?」

「正確には分かりませんが、通常の地球技術では発生し得ない周波数の信号です。」

私はその言葉に不安を覚えた。地球の技術では発生し得ない・・・ならば、ジョン達、異星人が関わっている?けれども、あの男は地球人に間違いなかった。

以前、ジョンは自分達の姿は地球人とは異なると言っていた。ジョンとの通信が基本的には音声通信のみであるのは、エネルギー的な問題だけではなく、おそらく、私が恐れたり嫌悪感を持つのではないかとの配慮であろうと私は思っている。

ならば、あの男は地球人でありながら、何らかの手段で姿を消すことができて、そこに異星の技術が使われているということだ。ひょっとするとあの男も、ジョン達異星人と関係あるのかもしれない。しかし、それにしても…

私はあの男の言いようのない悪意に満ちた目を思い出した。いや、悪意という言葉では表現しきれない敵意のようなもの…。あの目に、私の中にある野生の防衛本能のようなものが、反応し、私自身にアラートを鳴らす。
私は、これを相談できるのは一人しかいないと結論付けた。
私は2匹に頼んでジョンに連絡を取ろうと決めた。

ジョンとは2匹のことでこれまでに何度か連絡をとったことがある。
何度か話すうちに、お互いフランクに話が出来るようになった。というか、おそらく最初は地球人のしきたりに合わせていたのだろう。実際はまわりくどい挨拶はせずに、端的に話すことを好むようだ。

「ジョン、私・・・昨日信じられないものを見たの。」

私が不安と興奮混じりの声で通信を繋ぐと、ジョンの冷静な声が返ってきた。

「すごいものとは?」

「…人が突然消えたの。普通じゃ考えられないけど・・・見間違いでもなくて、茶丸もセイくんも見てる!」

「それに、コタローが何か特殊なエネルギー反応を検知したらしいの。」

通信越しにジョンの表情が僅かに曇った。

「コタローのそのログは見れるかい?」

コタローはログを一旦私のコンピュータにアップロードした。セイくんがそれをジョンに送信する。

「…これは、消えたのではなくテレポートした可能性が高い。」

「テレポート?そんなの映画の話じゃなくて?」

「いいや。律佳、テレポート技術は私たちの世界では完成している。ただ、非常に高度でまだ稀少な技術だ。一般的に使われるようなものではない。そして・・・・これまで言わなかったが…地球に接触している異星人は私たちだけではない。もっと危険な目的を持つ一派がいる。」

「危険な目的って、どういうこと?」

「彼らは地球人を操るための準備を進めている可能性がある。」

ジョンからの突然の衝撃的な話の内容に、私は一瞬、ジョンが冗談を言ってるのかと思った。しかし、ジョンはそうではないようだ。

「操るって…それじゃあ、私達、人類を自由に動かせなくするってこと?」

「そうだ。彼らは長年、地球の情報やエネルギー資源を調査していた。そして最近になって、より積極的な干渉を始めた兆候がある。」

ジョンは一瞬沈黙した後、静かに言った。

「やつらがテレポートを使ったのなら、かなり大規模にそれを進めている可能性があると考えられる。律佳、まず冷静に聞いてくれ。その技術を抑える方法を今すぐ考えないといけない。」

「抑える方法?」

「テレポートを妨害する装置を用意できるよう準備をしよう。おそらくある程度の範囲内で動作を制限できるだろう。」

ジョンのホログラムが抑制装置の設計図を映し出す。

「抑制装置の仕組みを簡単に説明する。この装置はテレポート時に発生する空間の歪みを感知し、特定の周波数を放出することで、転送を強制的に停止させる仕組みだ。ただ、まだ実験段階で、範囲は数十メートルに限られる。」

「それでも十分よ。まずは身の回りの安全を確保したい。」

「ただし、使用にはタイミングが重要だ。正確にテレポートの兆候を感知しないと効果は薄い。」

私はその説明を聞きながら、不謹慎だが、装置の実物を見るのが少し楽しみに思えてきた。

「この抑制装置があれば、彼らが自由にテレポートするのを防ぐことができる。ただし、準備に少し時間がかかる。」

「分かった。手伝えることがあれば協力するわ。他には・・・あ、そうだ!コタローの性能を強化して対抗できないかしら?」

「分かった。抑制装置の準備と同時に、コタローのアップグレードも考えよう。彼もこれからさらに重要な役割を果たすはずだ。」

「ありがとう。」

通信の後、私はしばらく考え込んだ。
地球人を操ろうとしている異星人がいる・・・。この信じがたい事実を一人で抱えなくてはいけないとは・・・。どうしてこんな事になったのか、弱音を吐きたくなった。

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