異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第三章 ウェルカムキャンプ編

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対する魔物サイドは、グランデヒヒが渾身の力でパンチを繰り出し、その風圧で炎をかき消した。

あのゴリラは、筋肉に物を言わせて、様々な状況に対処してくるな。



「……すまない、遅くなった。状況を。」



上空から降ってきたキルたちは、俺の左肩を一瞬見やった後、すぐにナレハテどもに視線を向けた。

ここで、「俺は問題ない」などと嘘を言うのは今後に響いてくる。俺は、端的に事実を述べることにした。


「敵は正面2体と透明化の能力を持つ1体の計3体。3体とも格が上がり、AA級以上。俺の状態は、敵から麻痺毒を受け、左腕の感覚がなし。時間経過とともに、全身に毒が回ります。外傷は問題ありません。」


「アースはすぐに自己回復を。ジールはグランデヒヒ、キースはケシキレオンの相手をしろ。俺は、アースの護衛兼ナレハテどの監視を行う。全員が揃うまで、倒そうとはせずに
時間稼ぎをメインとしろ。」


「「はっ!」」


指示を受けたジールとキースは、すぐに戦闘態勢をとった。
ジールは詠唱、キースは周囲の様子を探るようにしながら目を閉じた。

1人のままでは、悠長に回復魔法を行使できなかった俺は、キルの指示を受け、すぐに回復魔法を行使することにした。
まず毒についてだが、即効性の高さから上級レベルの毒に違いない。さらに、ナレハテは俺のことを食べ、格を上げることが目的だ。自身に有毒なものを、食料である俺に放つことはしないだろう。魔物由来の毒は、魔物に効きにくいという性質があるため、人にとってのみ有害な魔物由来の毒を使ったに違いない。さらに、ナレハテが「スパイス」と表現したように独特な香辛料のようなにおいがする。……っと、ここまで分析はできた。

魔物由来の毒であれば、基本的に解毒魔法で対処可能だ。問題なのは、それ以外植物や自然物由来の毒だが、今は問題ない。

俺は、口が動かなくなる前に、すぐに詠唱を始めた。


『癒しと浄化を司る光の女神に希う、再び立ち上がる癒しの力を、邪悪を払う浄化の力を、我が力として授け給え 願わくはその御力で我が願いを奉らんことを 清流の回帰』



キラキラと光る水が、俺の左腕を包んでいく。それと同時に、左腕の感覚が戻っていく。

しかし、このままではケシキレオンの長い爪が刺さったまま、回復が行われてしまう。俺は右手で爪をもち、引き抜こうとした。けれども、かえしがついているようで、自力では抜くことが出来ない。

……嫌な役割をさせることになるかもしれないけど、仕方ないな。
俺は、横顔でもわかるくらい厳しい表情を浮かべて周囲を警戒しているキルにお願いすることにした。


「キル、ごめん。俺に刺さっているこの爪を抜いてくれないかな。自力だと抜けないんだ。」


俺がそういうとキルは、燃えんばかりに爛々と赤く光っている瞳を悲しそうにゆがめながら俺のことを見つめた。

貴族は、魔力回路が成熟すると、一定条件で瞳が光るようになっている。その一つが、強い感情を抱いた時だ。それからもう一つが、膨大な魔力を使用する時だ。

しかし、これでは様々な面で不便であるため、貴族は感情をコントロールする術や魔力制御を貴族院入学前から身につけるのだ。今のキルは、感情の抑えが利かないほどの激情を胸に抱いているということだ。



「………わかった。」


「手を切らないようにね。キルも毒を受けてしまうから。」


「ああ。」



騎士として、手袋を身につけてはいるが、万が一があってはいけない。
キルがナレハテから視線を切って、俺に刺さっている爪に手を伸ばした。その瞬間、背後から「キンッ!」という音が聞こえてきた。後ろを振り返ると、キースがケシキレオンの鋭い爪を受け止めていた。


「すまない、キース。問題ないか?」


「はい、問題ないです。こちらのことはお気になさらず。あのサルは、まだ持っているかもしれないので、お気を付けください。」


キースはそういうと、ケシキレオンの鋭い爪をはじき返して、ケシキレオンに追撃を始めた。
その動きは、まるで見えているかのようだった。


「じゃあ、アース。引き抜くからな。」


「うん、お願いします。」


キルはそういうと、爪を握りしめて、力を入れたが、かえしがついている爪はなかなか抜けそうにない。
あまりの痛みに、全身から汗が噴き出し、涙が出てきた。
しかし、何とか叫び声は出さずに済んだ。



「……アース、次は身体強化を使って、一気に引き抜く。すまないが、耐えてくれ。」


キルは、先程よりも強く輝く瞳で俺を見据えながらそう言った。
俺は、返事をするのも難しかったため、頷いて返した。そして、キルの気をそがないようにするために、自分の袖を噛んで声が出ないようにした。


キルは、俺の様子を確かめると、鋭い爪を強く握りしめて、一気に引き抜いた。


「ッツ!」


焼けるような強い痛みと共に、脂汗がドッと噴出してくる。
しかし、理性はしっかりと残っており、無駄な出血を防ぐために、すぐに回復魔法をかけた。

あと数分もすれば完治できるだろう。


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