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第三章 ウェルカムキャンプ編
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「………1人で戦わせてすまなかった。」
引き抜いた爪を雑に投げ捨てたキルは、周囲を警戒しながら、そう言った。
「キルたちは十分早く来てくれたよ。むしろ、ナレハテなんかの攻撃を受けてしまって、申し訳ないよ。」
「早くこれたのは、ローウェルの影移動のおかげだ。限界まで魔力を使ってくれたローウェルは、魔力欠乏症をおこしかけとても戦闘に参加できる状態じゃない。氷壁の近くにいたオルト様たちに任せてきた。」
「………そうか。早く終わらせて、ローウェルを安静な場所に連れて行こう。ということで、キル。治療終わったと同時に、まずはナレハテを潰そう。あいつが一番厄介で、一番倒しやすい。ジールとキースが抑えてくれてるうちに、2人で倒すよ。」
俺がそういうと、キルはナレハテから俺を隠すようにしながら、少しかがんだ。
そして、俺の傷口にそっと手を当てた。
「了解。圧迫止血するふりをしながら、俺がナレハテの視線を切る。回復が終わり次第、アースは攻撃魔法の詠唱を始めてくれ。中級にするか?」
「いいや、上級魔法にするよ。まだまだ魔力量には余裕があるから、妥協はなしだ。」
「頼もしくて何よりだ。アースの攻撃と同時に、俺も全速力でアイツに攻撃を仕掛ける。」
「了解。」
あと少しで回復は完了する。
さっと、周りに目を向けると、グランデヒヒの身体に無数の太い蔓がまとわりついているのが見える。グランデヒヒが圧倒的なタフネスとパワーで蔓を引きちぎっている。しかし、拮抗するように無数の蔓が湧き続ける。そして周囲では、鋭い金属音が断続的に聞こえている。キースが見えないケシキレオンの攻撃をすべて裁いている音だ。
っと、さて、治療完了だ。
俺は上級攻撃魔法の詠唱のために、大きく息を吸い込んだ。
『変化を司る水の女神に希う、万象を受け止める凪いだ力を我が力として授け給え、願わくはその御力で我が願いを叶え奉らんことを 流々止水』
詠唱が終わるのと同時に、大量の水が1本の柱となって、まるで龍の体のように天空へと伸びていき、そしてナレハテめがけて降り注いだ。
そして、キルも同時にナレハテにむかって駆け出した。全力の身体強化を使っているのか、まるで油を伝って勢いよく燃え広がる炎のようにすさまじい速さだ。
『愚カナ。』
ナレハテはぼそりとそういうと、俊敏なスピードで氷壁に向かって駆け出した。いや、既に駆け出していた。
そうだ。こいつは、逃げ足の速さも持ち合わせているんだった。予測する頭脳と小柄で俊敏な身体がなせる業だ。
しかし、俺達はこの時のために修行してきたのだ。
俺は、大量の水流を操作し、ナレハテを追尾した。しかし、大量の水のせいか、ナレハテのスピードにはあと少し追い付かずに、ナレハテを追尾するにとどまっている。
その様子と見たナレハテは、じっとりを気色の悪い笑みを浮かべるのと同時に近くにいるジールに向かって突撃していった。
「仲間ノ魔法デ死ヌガイイ。」
「いいや、愚かなのは其方の方だ。」
初めから、ジールのもとに最短距離で駆け出していたキルが、ナレハテの正面に回り込んでいた。
そして、目では追いきれないスピードで剣を振りぬいた。
その剣は、ナレハテの胴体を裂き、ナレハテは後方へと吹き飛ばされ巨大な水流にのみ込まれた。
「銀髪ノヤツ、無駄二大量ノ水ヲ出シタトオモッタラ、俺ノ視線カラ種馬ヲカクスタメダッタノカ。」
何やらごぼごぼと水の中で言いながら、すさまじい形相でナレハテは俺のことを睨みつけていた。
しかし、何を言っているのかなんてどうでもいいことだ。俺はそのまま天空へと水を打ち上げた。
水圧でボロボロとなったうえに深く傷を負った体で、ナレハテは自由落下を始めた。このまま、地面にたたきつけられて死ぬだろう。しかし、念には念を入れる。
キルはしっかりと剣を構えて、自由落下し回避不可能なナレハテを見据えた。そして、横に一閃。
ナレハテの頭部がゴトリと音を立てて、地面を転がった。
「キース、ジール、よく抑えてくれた。キースはジールと共にグランデヒヒを仕留めてくれ。ケシキレオンは俺とアースで仕留める。」
「はっ!」
キルはナレハテの頭部を一瞥すると、すぐに俺達に次の指示を出した。
これで、2対1の状況がつくれた。
最後の勝負だ。
引き抜いた爪を雑に投げ捨てたキルは、周囲を警戒しながら、そう言った。
「キルたちは十分早く来てくれたよ。むしろ、ナレハテなんかの攻撃を受けてしまって、申し訳ないよ。」
「早くこれたのは、ローウェルの影移動のおかげだ。限界まで魔力を使ってくれたローウェルは、魔力欠乏症をおこしかけとても戦闘に参加できる状態じゃない。氷壁の近くにいたオルト様たちに任せてきた。」
「………そうか。早く終わらせて、ローウェルを安静な場所に連れて行こう。ということで、キル。治療終わったと同時に、まずはナレハテを潰そう。あいつが一番厄介で、一番倒しやすい。ジールとキースが抑えてくれてるうちに、2人で倒すよ。」
俺がそういうと、キルはナレハテから俺を隠すようにしながら、少しかがんだ。
そして、俺の傷口にそっと手を当てた。
「了解。圧迫止血するふりをしながら、俺がナレハテの視線を切る。回復が終わり次第、アースは攻撃魔法の詠唱を始めてくれ。中級にするか?」
「いいや、上級魔法にするよ。まだまだ魔力量には余裕があるから、妥協はなしだ。」
「頼もしくて何よりだ。アースの攻撃と同時に、俺も全速力でアイツに攻撃を仕掛ける。」
「了解。」
あと少しで回復は完了する。
さっと、周りに目を向けると、グランデヒヒの身体に無数の太い蔓がまとわりついているのが見える。グランデヒヒが圧倒的なタフネスとパワーで蔓を引きちぎっている。しかし、拮抗するように無数の蔓が湧き続ける。そして周囲では、鋭い金属音が断続的に聞こえている。キースが見えないケシキレオンの攻撃をすべて裁いている音だ。
っと、さて、治療完了だ。
俺は上級攻撃魔法の詠唱のために、大きく息を吸い込んだ。
『変化を司る水の女神に希う、万象を受け止める凪いだ力を我が力として授け給え、願わくはその御力で我が願いを叶え奉らんことを 流々止水』
詠唱が終わるのと同時に、大量の水が1本の柱となって、まるで龍の体のように天空へと伸びていき、そしてナレハテめがけて降り注いだ。
そして、キルも同時にナレハテにむかって駆け出した。全力の身体強化を使っているのか、まるで油を伝って勢いよく燃え広がる炎のようにすさまじい速さだ。
『愚カナ。』
ナレハテはぼそりとそういうと、俊敏なスピードで氷壁に向かって駆け出した。いや、既に駆け出していた。
そうだ。こいつは、逃げ足の速さも持ち合わせているんだった。予測する頭脳と小柄で俊敏な身体がなせる業だ。
しかし、俺達はこの時のために修行してきたのだ。
俺は、大量の水流を操作し、ナレハテを追尾した。しかし、大量の水のせいか、ナレハテのスピードにはあと少し追い付かずに、ナレハテを追尾するにとどまっている。
その様子と見たナレハテは、じっとりを気色の悪い笑みを浮かべるのと同時に近くにいるジールに向かって突撃していった。
「仲間ノ魔法デ死ヌガイイ。」
「いいや、愚かなのは其方の方だ。」
初めから、ジールのもとに最短距離で駆け出していたキルが、ナレハテの正面に回り込んでいた。
そして、目では追いきれないスピードで剣を振りぬいた。
その剣は、ナレハテの胴体を裂き、ナレハテは後方へと吹き飛ばされ巨大な水流にのみ込まれた。
「銀髪ノヤツ、無駄二大量ノ水ヲ出シタトオモッタラ、俺ノ視線カラ種馬ヲカクスタメダッタノカ。」
何やらごぼごぼと水の中で言いながら、すさまじい形相でナレハテは俺のことを睨みつけていた。
しかし、何を言っているのかなんてどうでもいいことだ。俺はそのまま天空へと水を打ち上げた。
水圧でボロボロとなったうえに深く傷を負った体で、ナレハテは自由落下を始めた。このまま、地面にたたきつけられて死ぬだろう。しかし、念には念を入れる。
キルはしっかりと剣を構えて、自由落下し回避不可能なナレハテを見据えた。そして、横に一閃。
ナレハテの頭部がゴトリと音を立てて、地面を転がった。
「キース、ジール、よく抑えてくれた。キースはジールと共にグランデヒヒを仕留めてくれ。ケシキレオンは俺とアースで仕留める。」
「はっ!」
キルはナレハテの頭部を一瞥すると、すぐに俺達に次の指示を出した。
これで、2対1の状況がつくれた。
最後の勝負だ。
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