異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第二章 初学院編

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カーラ様についていくと、ある厳重な警備がされている部屋についた。これは、結界魔法が張られているな。アースのような重症者を治療する際には、このように結界を張ることがある。回復の効果を高めたり、回復中に襲われるのを防いだりすることなどが目的だ。今回は血液回復魔法を使うということで、衛生面を清潔に保つための措置だろう。

すると、部屋の中から少年が姿を現した。いや、少年のような顔の成人男性と言った方が適切かもしれないな。


「やあやあ、みなさんついたようだね。殿下にジール、そしてキース君にローウェル君久しぶりだね。A級複数相手によく帰ってきたね。」


「「お久しぶりです、ザール様。」」
「父上が帰ってきてくださるとは、心強いッス!」


そう、ジールと兄弟だと言われても何ら不思議ではないこの童顔の男性が、ジールの父上のザール様だ。ザール様はこの丁寧な態度と少年のような容姿を生かして、人の心に入り込むのが得意な方だ。外交といった対人関係のことになると、類稀なる才能を発揮する。もちろん、魔法の腕前も一級だ。


「叔父上、お久しぶりです。……早速で申し訳ないのですが、アースを診ていただいてもよろしいでしょうか?」

「そちらの彼が、我らバルザンス家の恩人であるアース様ですね。もちろんです、殿下。早速状態を見ましょう。この部屋に入るのは最小限の人数としたいです。アース様の状況説明のため、文官のローウェル君そして、殿下。それと、そこで姿を消している召喚対象の君も関係者のようだから、入ってくれるかな?」


さすが、ザール様だな。俺たちも近くにいることは知っていたけど、どこにいるかまではわからなかった。アースが召喚魔法を行使したことは、極秘事項であることを念押しした上で、一部の方々には手紙で伝えてある。



「俺を感知できるとは、そこそこの使い手のようだなぁ。この死にかけをしっかり回復させてくれよ。俺の楽しみがなくなってしまうからな。」


「もちろんだよ。君も、主人が死ぬところは見たくないだろうからね。」


「あ? そんなんじゃねーよ。俺はただ、こいつに代償を払わせたいだけだ。」


「うん、それは大事なことだね。僕もアース様に感謝を伝えたいから、最上級回復魔導士としての実力をもって必ず回復させるよ。」


ザール様はそういうと、早速部屋の中へと入っていった。俺と殿下もザール様に続いて中へと入った。アースが召喚したそいつは、何かが気に食わなかったのか、悪態をつきながら俺たちの後をついてきた。









ーー








ザール様は、アースの上着を脱がせた上で、ベット上にうつ伏せの状態でアースを寝かせた。



「肩を尋常ではないほど損傷しているね。この不思議な魔法で流血が止まっていなかったら、アース様の命はとうに尽きていただろうね。背中も大きく損傷しているけど、幸いにも背骨は損傷していないみたいだ。これなら、魔力と時間をかければ回復させることはできるだろうね。だけど、回復している間この不思議な魔法は使えないだろうから、その間アース様の命が持つかが問題だ。こればかりは、アース様の生命力に賭けるしかないね。」


説明もしていないのに、アースにかかっている時止めの魔法を看破してしまった。さすが、前魔導士団長だ。そのザール様が回復は可能だとおっしゃったのだから、傷の方は問題ないのだろう。だけど、その回復の間アースの命が持つのかが問題というわけか……。



「叔父上! 俺に、俺に何かできることはありませんか?」



主はそう言いながら、ザール様に詰め寄った。しかし、ザール様はゆっくりと首を振った。



「僕が使う血液回復魔法は、確かに他人の血の提供があれば効率が上がります。しかし、その血液は誰のものでもいいわけではありません。適合しない血液ですと、むしろ患者には毒となってしまうのです。アース様に血液の提供をお願いできるのは、アース様の母君とローウェル君ですね。僕は血液が適合するかどうか、その人が発する色で見分けることができるのですが、殿下はアース様とは適合しないのです。」


ザール様がそう諭すと、主は悔しそうにしながら下を向いてしまった。



「はっ。赤髪はずっと役立たずだな。木属性のやつといい、そこの文官見習いといい、お前の部下の方がよっぽど役に立っているな。」



こいつ……。もう我慢できない。俺がそいつにつかみかかろうとすると、ザール様によって制された。



「殿下、人には適材適所というものがございます。今回は、あまり役割がなかったかもしれませんが、あなたはここまで皆を導いてきました。王族として、主として、しっかり役目を果たしていますよ。それから、もう役目がないわけではございません。アース様に声をかけ続けてあげてください。このよう状態でも、アース様には皆さんの声がきっと届くはずですよ。」



ザール様がそういうと、主は袖で目元を拭ったあとに、ゆっくりと頷いた。



「さあ、早速治療に入りましょう。長丁場になると思いますが、みなさん、ご協力をお願いしますね。」













ーー











それから、アースの治療は三日間続いた。結果は、無事に治療は成功した。しかし、数日経ってもアースが目覚めることはなかった。ザールさんがいうには、傷は回復したがもう少し目覚めるのに時間がかかるだろうとのことらしい。アースは、生命の危機に瀕していたので、再び目覚めるまでに体の準備期間が必要といいうことだ。俺たちにできることは、アースの目覚めをただ待つ事だけだった。


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