異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第二章 初学院編

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「布団冷たいな………。アース、一緒のベッドで寝ようか? その方が温かいだろ?」



へ………? 一緒のベッドで寝るだって? 

ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリだって!! そんなことをしたら、そのまま永眠してしまうかもしれない。


「………お誘いはうれしいけど、一緒に寝るには狭いんじゃないかな?」


「狭い? このベッドの大きさを見て、本当に狭いと思っているのか?」



うっ………確かにその通りだ。成人男性が四人くらい寝られるほどの、貴族仕様の大きさだ。狭くて寝られないというのは、かなりテンパってしまった言い訳だ。冷静に考えてみると、お断りできるような良い理由が思い浮かばない。従者の身でありながら主と共に………と言えば、「今は二人きりだから友人だ」と反撃されるだろう。

………俺は目を泳がせることしかできなかった。



「迷惑でなければ、俺がそっちに行ってもいいか?」


………これはもう、避けられない状況だ。ならば、意識を保てるように最善の手を尽くすことにしよう。キルがこちらに来る場合、ポジション取りなどで俺の思うようにできない可能性がある。だから、俺の方から行って広いベッドを逆手に取り、いい感じの距離でポジションを取ることができれば、何とかなりそうだ。



「俺が行くよ!」



俺はそういって、素早い動きでキルのベッドへともぐりこんだ。よし、作戦通り端を確保することができたぞ。これなら、一緒のベッドというよりはむしろ、隣り合ったベッドで寝ていると思えるくらいの距離感だ。



「おい、なんでそんなに離れているんだよ? それじゃあ、一緒のベッドで寝る意味がないだろ。」



もっともな意見だ。少しなら近づけるけど、再び「遠い」と言われるのがオチだな。さて、どうしようか。このまま寝たふりをするのもアリだけど、起こされる可能性も否定できない。

よし、俺からかなり近づいてキルの方から距離をとってもらうようにしよう。すでにいっぱいいっぱいの頭では、この作戦が限界だ。俺はのそのそとキルがいる中央付近まで近づいていき、キルとの距離が拳一つ分くらいになるところで止まった。

あ………近すぎた。普段ならこの距離で会話することが多いけれど、ベッドでこの距離は色々まずい。


「よし、この距離なら問題ないな。」



問題しかないよ! 俺のことはみじんも意識していないキルからすれば問題ないだろうけど、俺からすれば問題だらけだよ。よし、もうこれはさっさと寝るしかない。



「………お気に召したようで何よりです。温かいのでぐっすり寝られそうです。では、おやすみなさい。」


「ちょっと、待て。お前が敬語になるときは何かがあるときと決まっているが………今は深くは追及しない。だからその代わり、もう少し話そう。先ほどローウェルから、こういう泊りの時に話す定番の話題があるらしいからそれを話そう。」



泊りの時の定番の話題………? 嫌な予感しかしないな。それに、発言者がローウェルときた。これはもう、あの話題しかないだろう。



「………ちなみにその話題とは?」


「恋バナだ。」



………はー。やっぱりそうなるよな、恋バナ。自分のことを話すのはまあ、男性でも女性でもあり得そうなことを話せばいいから苦ではないけど、キルの好きな女性のタイプは流石に聞きたくないな………。

だけど、キルがすごく興味深々そうだし断るのもな………。側近として、主の好みを把握する仕事だと思って頑張ろうか。



「わかった。………ねーキル、恋バナを持ちかけるということは、キルは気になっている人がいるの?」


「………特にいない。」



キルはそっぽを向きながら、そう答えた。うーん、わかりやすいな。完全にいるよね、気になっている人。側近のみんなは騙されてくれないと思うけどな………。そのしぐさはグッとくるので、少し意地悪したくなってくる。



「なるほど、ちなみにどんな人なの?」

「は、はぁ!? だから、いないと言っているだろ!」



ここでキルの癖を指摘したら、今後隠すことがうまくなってしまうかもしれない。大事なことを隠されると、命取りになる可能性があるため、ここは温かい目をすることで引くとしよう。キルの反応は言うまでもなく、とてもかわいかった。


「その小さい子供を見るような目はやめろ! 何かあればそういう温かい目で俺のことを見て………。本当に今はいないからな!」


今は、ね………。


「はいはい、誰にも言わないから安心して。」


「………だから、いないと言って………。なんで俺ばかり、恥ずかしい気持ちになるんだよ! アースにはいないのか、気になっている人!」



「気になっている人はまだいないかな。ほら、俺はまだ人とかかわりだしたばかりだから好きとかそういう気持ちにはまだなっていないかな。」




俺はできるだけ冷静に話した。ここで動揺したら、わかりやすいキルのようになってしまうから。ただいないというだけでは、ツッコまれる可能性があるので、もっともらしい理由を添えておいた。


「な、なるほどな………まだいないのか。そうか………。ならば、好きな人のタイプは何かあるか?」


「そうだね、俺の好きなタイプは………。自分をしっかり持っている人で、あとは食事を美味しそうに食べる人かな。」



これは事実だ。女性にも当てはまると思うから、変には思われないだろう。あとは俺のフェチの関係で筋肉が………など色々あるけど、そこはもちろん省かせてもらう。



「自分をしっかり持っているとは、具体的にはどういうことだ?」


「具体的に、と言われると、自分でも難しいね………。芯が通っているというか、ちゃんとしているっていう感じかな。」


俺がそういうと、キルは少し考え込むようになにやらつぶやいていた。それにしても、キルの今の体勢はちょっとあれだよね。なんというか、事後感があるというかなんというか………。肩肘を立てて、手のひらの上に頭をのせている。確かこういうポーズの大仏が日本にあったような気がする。

そういえば、キルの好きな人のタイプはどんな感じなのだろうか? 気になっている人はいるようだけど、タイプまではまだ聞いていない。よし、聞いてみよう。



「キル、キルの好きな人のタイプはどんな感じなの?」


俺がそういうと、俯きながら考えこんでいた視線を上げてニヤリと笑った。あ、もったいぶるつもりだな。



「秘密だ。俺ばかり恥ずかしい思いをしたから、不公平だ。」



ふーん、そう来るのか。恥ずかしい思いをしたのは、キルがわかりやすすぎるのが原因だ。それを俺のせいにされたら困る。それをいうなら、俺ばかり好きなタイプを聞かれて不公平ではないだろうか? うん、きっとそうに違いない。キルがそのつもりなら、俺にも考えがある。
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