異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

文字の大きさ
53 / 179
第二章 初学院編

52

しおりを挟む
「誰だ!!」



男性二人の警戒度が一気に上がったのを感じた。

うーんこの感じ、キルに初めて会った時のことを思い出すな………。ここは素直に自己紹介から………と思った矢先、少年が二人の男性を手で制した。



「もしかしてその銀色の髪は………「白銀の狼」様でいらっしゃいますか?」



おっと、その呼び名を聞くのは夏休み前以来だな………。その呼び方は何というか、厨二心をくすぐられるような気持ちになるので、できれば知らないうちに忘れ去られてくれるといいな。





「えーと、一部ではそう呼ばれているらしいですね。改めまして、アース・ジーマルと申します。訓練のお邪魔をしてしまい、申し訳ございませんでした。」



「いえ、構いませんよ。僕の方こそ、初学院で噂のジーマル様にお会いできて光栄です。あ、僕は初学院の一年生です。」



やはり年下だったらしい。初学院では他学年とはあまり会うことはなく、会うことがあるとすれば食堂くらいだ。アルベルト殿下や兄上たちとも、会おうとしなければ会うことはめったにないのだ。




「俺はただの学生ですよ。では、俺はもう行きますね。訓練を邪魔しては悪いですから。それでは、頑張ってください!」



長くあの場を離れてしまえば、キルとキースに心配をかけてしまうかもしれない。そうなる前に、元の場所に戻ろう。

俺がお辞儀をしてその場から去ろうとすると、少年が俺を引き留めた。何か俺と話したいことがあるのだろうか? まあ、自身が初学院で少し有名であるという自覚はあるけど………。



「あの………ジーマル様は、キルヴェスター殿下の側近でいらっしゃいますよね? よろしければ、側近になった経緯と言いますか、決め手をお聞かせ願いますか?」




うん? 初めてされる質問だな。こういう質問をするということは、この少年は誰かの側近になりたいのだろうか? まあ、それくらいなら答えるけど………。

経緯に関しては、色々あったよな………。渡された腕時計が側近の証付きで、そのまま側近になったわけだからあまり参考にはならないと思う。決め手は………下心がないと言えばうそになるけど、それだけではもちろんない。キルの力になりたいと思ったし、キルに必要とされることがうれしかったから側近になろうと決めた。



「いいですよ。俺が殿下の側近になろうと思った理由は、殿下の力になりたいと思ったからです。あとは、殿下に必要とされることがうれしかったからです。………ありきたりな理由で、あまり参考にならないかもしれませんね。」



「いえ、そんなことはありませんよ! 必要とされるのはうれしいですよね。だけど………王族の方に側近にならないかと誘われたら、断れないという一面もありますよね?」



うーん、まあ確かに王族に言われたら断れる貴族はほとんどいないと思うけど………。この少年は、側近になりたくないのかもしれないな。あまり、無責任なことはいえないけど………。



「ないとはいえませんね。それだけ王族の方は強い力を持っていいますからね。………ただ俺自身は、側近側にも主を選ぶ権利はあると思うのです。私が知っているのはアルベルト殿下とキルヴェスター殿下の側近の方々だけですが、全員が実力があり努力を怠らない方たちです。側近として求められる者には、それ相応の何かを持っていると思います。だからこそ、それに見合うだけの主を選ぶ権利はあると思います。………無責任なことはいえないですが、もしかするとあなた自身が側近について色々悩んでいるのかもしれません。ですが、この国の殿下方、第三王子殿下のことはよく存じ上げませんが、他のお二人はとても素晴らしい方たちですよ。」




俺がそういうと、少年は少しフリーズした後に何かを考えこんでしまった。選ぶ権利があるとはいっても、実際はそうはいかない場面の方が多いような気がする。アルベルト殿下とキルなら、断られたからと言って罰することはないとは思うけど、どちらかというと少数派なような気もする。



「側近側にも選ぶ権利がある、ですか………。その発想はなかったです。主側も欲しい側近を手に入れるために、努力をしなければいけませんね。ジーマル様は、思った通り面白い方ですね。」


「え、えーと、お力になれたのなら光栄です。」



俺は面白い人だと思われていたようだ。まさか変なイメージが独り歩きして、問題児のようなイメージが俺についているわけではないよな?



「よろしければ、機会がありましたら魔法についてもアドバイスをいただけますか? ジーマル様の魔法のお話も聞いてみたいです。実は僕、魔導士志望でして騎士の訓練は教養として取り組んでいるのですよ。」


あーそういうことだったのか。騎士の訓練が初心者向けだったのは、魔導士志望だったからか。納得はしたけど、俺にアドバイスは適任ではないと思うけど………。なぜなら、俺が訓練を始めたのは今年の四月からだから、一年生とあまり変わりはないと思う。



「私でよろしければいいですけど………。今年から訓練を始めた俺は、一年生とあまり変わりはないと思いますよ?」


「僕はジーマル様とお話ができれば充分ですよ。」


「えーと、わかりました。俺でよければ、お話ししましょう。あ、ジーマルって呼びにくいですよね? よろしければ、アースと呼んでください。」



俺がそういうと、待ってましたと言わんばかりに少年の雰囲気が明るくなったのを感じた。もしかして、この少年は俺のファンだったりするのだろうか?



「はい、アース様! 僕のことは………ウェルと呼んでください!」


「ウェル君ですね、わかりました。」


すると、騎士たちの訓練の音が徐々に止み始めた。そろそろ休憩時間だから、キルたちが俺のいないことに気づいてしまう。戻らないと、心配をかけてしまうな………。


「ウェル君、そろそろ戻りますね。休憩時間になったみたいだから、俺がいないと心配をかけてしまいますから。」


「わかりました。またお会いできることを楽しみにしています!」



一瞬彼が大きな尻尾を振っているように見えるけど、きっと気のせいだろう。

俺はウェル君に手を振って、元の場所へと急いで戻った。

しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

処理中です...