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第二章 初学院編
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「ということは、アースが最近まで療養していたことと、殿下の母上が亡くなった原因は魔力過多によるものということっスか………?」
「そうであるとみて、兄上たちが調査をしているところだ。ただ、状況証拠はそろっているということだけはいえるな。」
するとキースが、俺とキルに向かって頭を下げた。
「アース、申し訳ない。そのような事情があるとは知らずに俺は、酷いことを言ってしまった。重ねて殿下、母上殿を侮辱するような発言をしてしまい、申し訳ございません。処罰はいかようにでもお受けします。」
長年誰も気づかなかったことだ。それは仕方がない。キルもキースのことを強く咎めるつもりはないだろう。
「俺は処罰を望んでいない。アースもそうだろ?」
「もちろん。俺は自分が病弱で貧弱なことを受け入れているから、気にしていないよ。処罰と言うなら、俺の筋トレや走り込みに付き合ってもらおうかな。監督がいないとキルを心配させてしまうからね。あ、それよりも俺の剣術向上に付き合ってもらう方が良いかな?」
俺たちがそういうと、キースはゆっくりと顔を上げた。
「剣術は勘弁してほしい………。俺には荷が重そうだ。それ以外なら、付き合う。殿下もお許しくださり、ありがとうございます。」
「キースにも荷が重そうか………。他にあてがある人は………」
俺がそういう途中で、全員が目をそらした。そこまであからさまに否定しなくたっていいじゃないかよ………。
ドンッ! 突然大きな音が扉の方から聞こえてきたと思ってみてみると、そこには兄上が立っていた。
「アース、無事かい? 騎士団長殿がアースのことを脆弱だと罵り、そのうえで自分の相手を無理やりさせ、アースを叩きのめしたと聞いたけどそれは本当かい?」
誰がそんなデマ情報を言ったんだよ! 部分的にはなんとなく合っていそうだけど、大筋が間違っている。兄上が勝手に脳内変換をしたわけではないよね?
「心配していただきありがとうございます、兄上。ですが、少し誤解があるようですね。私は筋トレや体力づくりの一環で体力を使い切ってしまっただけで、騎士団長殿に叩きのめされたわけではありません。あと、脆弱ではなく貧弱そうだと言われました。脆弱だと言ったのはここにいるキースです。」
「おい、アース!」
ちょっとばかしの仕返しである。
「キース? 君の兄は僕の話を聞かないうえに、弟の君まで僕のかわいい弟を雑に扱うというのかい? 君たち兄弟には、僕のアースに対するこの思いを思う存分表現して理解してもらう必要がありそうだね。ということでキース。今すぐ剣をもって訓練場に来てもらおうか。」
兄上はそういうと、いつものにこやかな表情を崩してキースを真顔で見つめた。え、ものすごく怖い。普段怒らない人が怒ると、ものすごくやばいというやつだ。マクウェル兄上もそれに属するらしく、表情だけでものすごく怖い。キースも普段は飄々としているけど、こればかりは流石に効いたらしい。安易に仕返しなんかするものではないな………。
「あ、兄上! 今日は体力をたくさん使ってしまったので、甘いものが食べたくなってきました。もう放課後ですし、一緒にどうですか?」
俺がそういうと兄上は、さっきまでのことがどうでもよくなったかのようにいつもの笑顔に戻った。
「アースと一緒に甘いもの………。よし、今すぐ行こうか! さあ、僕の背中に乗ってくれるかい? アルフォンスばかりずるいからね。」
兄上はそういうと、その場にしゃがみこんでおんぶの構えを見せた。いえですから、俺はもう八歳で体力も回復しましたので………。などと言えるわけがなく、校内をおんぶされて歩くという羞恥プレイを受け入れる覚悟を決めるしかなかった。
「………キース。後でお肉が美味しい料理店、おごりね。」
「………ああ、恩に着る。」
――
次の日。昨日の兄弟おんぶプレイが、校内で話題になっているとは夢にも思わない俺は、ウッキウキで登校した。なぜなら今日は、魔法実技の授業があるからである。前から楽しみにしていたし、なにより剣術の授業とは違い、筋トレを課されたり、外周させられたりしないだろうからだ。楽しみすぎて今日は少し早く初学院に来てしまった。キルたちもまだ来てはおらず、教室にいる人もまばらだ。早く来たものの、魔法実技の授業は午後からだ。午後からなのはもどかしいが、ゆっくり待つことにしよう。
俺が魔法基礎の教科書を読んでいると、ぽつぽつと話しかけてくれる人が現れだした。昨日倒れた件を心配してくれたのだ。それからお菓子や疲労回復グッズなどの差し入れをしてくれる人もいた。ここにいる人たちはとても親切のようだ。すると、マーガレット様御一行が教室に入ってくると、俺の所に向かってきた。
「アース様、おはようございます。体調はもうよろしいのでしょうか?」
「はい、もう大丈夫です。ご心配頂き、ありがとうございます。」
「よかったですわ、安心しました。これは私たちからのお見舞い品ですわ。よろしければ、受け取っていただけるでしょうか?」
マーガレット様がそういうと、マリア様とムンナ様が俺にお菓子の包みを差し出した。あ、これは………。一昨日にローウェルに紹介してもらったお店のはちみつましましのカップケーキだ。はちみつがしみており、俺はいたく気に入ってしまった。よくご存じで………というよりは、有名店のようだし偶然かな。
「ありがとうございます。俺、このカップケーキが先日好物になったんですよ。ありがたく頂戴します。マリア様とムンナ様もありがとうございます。」
「「いえ………、とんでもないですわ。」」
「アース様、もうひとつよろしいでしょうか? こちらはアース様の歓迎会の参加リストですわ。クラスメイトを中心に他クラスの生徒もいらっしゃいます。そして、アルベルト殿下とその側近の皆様もいらっしゃるようです。私も最高級のお店を用意させていただきましたわ。是非楽しみにしていらしてくださいませ。」
俺はお礼を言って、差し出された参加者リストを見た。何だこれ………。そこには五十名以上の参加者の名前が連ねてあった。こんなにいっぱい………。さらに、アルベルト殿下ご一行も参加するのか………。ますます緊張するではないか。だけど俺のためにこんなに用意してくれたんだ、ありがたく頂戴しよう。
「ありがとうございます。当日を楽しみにしていますね。」
「ええ。いい歓迎会にいたしましょう。では、ごきげんよう。」
マーガレット様たちはそういうと、自分たちのいつもの定位置へと戻っていった。そして彼女たちと入れ替わるように、キルたちが教室に入ってきた。
「そうであるとみて、兄上たちが調査をしているところだ。ただ、状況証拠はそろっているということだけはいえるな。」
するとキースが、俺とキルに向かって頭を下げた。
「アース、申し訳ない。そのような事情があるとは知らずに俺は、酷いことを言ってしまった。重ねて殿下、母上殿を侮辱するような発言をしてしまい、申し訳ございません。処罰はいかようにでもお受けします。」
長年誰も気づかなかったことだ。それは仕方がない。キルもキースのことを強く咎めるつもりはないだろう。
「俺は処罰を望んでいない。アースもそうだろ?」
「もちろん。俺は自分が病弱で貧弱なことを受け入れているから、気にしていないよ。処罰と言うなら、俺の筋トレや走り込みに付き合ってもらおうかな。監督がいないとキルを心配させてしまうからね。あ、それよりも俺の剣術向上に付き合ってもらう方が良いかな?」
俺たちがそういうと、キースはゆっくりと顔を上げた。
「剣術は勘弁してほしい………。俺には荷が重そうだ。それ以外なら、付き合う。殿下もお許しくださり、ありがとうございます。」
「キースにも荷が重そうか………。他にあてがある人は………」
俺がそういう途中で、全員が目をそらした。そこまであからさまに否定しなくたっていいじゃないかよ………。
ドンッ! 突然大きな音が扉の方から聞こえてきたと思ってみてみると、そこには兄上が立っていた。
「アース、無事かい? 騎士団長殿がアースのことを脆弱だと罵り、そのうえで自分の相手を無理やりさせ、アースを叩きのめしたと聞いたけどそれは本当かい?」
誰がそんなデマ情報を言ったんだよ! 部分的にはなんとなく合っていそうだけど、大筋が間違っている。兄上が勝手に脳内変換をしたわけではないよね?
「心配していただきありがとうございます、兄上。ですが、少し誤解があるようですね。私は筋トレや体力づくりの一環で体力を使い切ってしまっただけで、騎士団長殿に叩きのめされたわけではありません。あと、脆弱ではなく貧弱そうだと言われました。脆弱だと言ったのはここにいるキースです。」
「おい、アース!」
ちょっとばかしの仕返しである。
「キース? 君の兄は僕の話を聞かないうえに、弟の君まで僕のかわいい弟を雑に扱うというのかい? 君たち兄弟には、僕のアースに対するこの思いを思う存分表現して理解してもらう必要がありそうだね。ということでキース。今すぐ剣をもって訓練場に来てもらおうか。」
兄上はそういうと、いつものにこやかな表情を崩してキースを真顔で見つめた。え、ものすごく怖い。普段怒らない人が怒ると、ものすごくやばいというやつだ。マクウェル兄上もそれに属するらしく、表情だけでものすごく怖い。キースも普段は飄々としているけど、こればかりは流石に効いたらしい。安易に仕返しなんかするものではないな………。
「あ、兄上! 今日は体力をたくさん使ってしまったので、甘いものが食べたくなってきました。もう放課後ですし、一緒にどうですか?」
俺がそういうと兄上は、さっきまでのことがどうでもよくなったかのようにいつもの笑顔に戻った。
「アースと一緒に甘いもの………。よし、今すぐ行こうか! さあ、僕の背中に乗ってくれるかい? アルフォンスばかりずるいからね。」
兄上はそういうと、その場にしゃがみこんでおんぶの構えを見せた。いえですから、俺はもう八歳で体力も回復しましたので………。などと言えるわけがなく、校内をおんぶされて歩くという羞恥プレイを受け入れる覚悟を決めるしかなかった。
「………キース。後でお肉が美味しい料理店、おごりね。」
「………ああ、恩に着る。」
――
次の日。昨日の兄弟おんぶプレイが、校内で話題になっているとは夢にも思わない俺は、ウッキウキで登校した。なぜなら今日は、魔法実技の授業があるからである。前から楽しみにしていたし、なにより剣術の授業とは違い、筋トレを課されたり、外周させられたりしないだろうからだ。楽しみすぎて今日は少し早く初学院に来てしまった。キルたちもまだ来てはおらず、教室にいる人もまばらだ。早く来たものの、魔法実技の授業は午後からだ。午後からなのはもどかしいが、ゆっくり待つことにしよう。
俺が魔法基礎の教科書を読んでいると、ぽつぽつと話しかけてくれる人が現れだした。昨日倒れた件を心配してくれたのだ。それからお菓子や疲労回復グッズなどの差し入れをしてくれる人もいた。ここにいる人たちはとても親切のようだ。すると、マーガレット様御一行が教室に入ってくると、俺の所に向かってきた。
「アース様、おはようございます。体調はもうよろしいのでしょうか?」
「はい、もう大丈夫です。ご心配頂き、ありがとうございます。」
「よかったですわ、安心しました。これは私たちからのお見舞い品ですわ。よろしければ、受け取っていただけるでしょうか?」
マーガレット様がそういうと、マリア様とムンナ様が俺にお菓子の包みを差し出した。あ、これは………。一昨日にローウェルに紹介してもらったお店のはちみつましましのカップケーキだ。はちみつがしみており、俺はいたく気に入ってしまった。よくご存じで………というよりは、有名店のようだし偶然かな。
「ありがとうございます。俺、このカップケーキが先日好物になったんですよ。ありがたく頂戴します。マリア様とムンナ様もありがとうございます。」
「「いえ………、とんでもないですわ。」」
「アース様、もうひとつよろしいでしょうか? こちらはアース様の歓迎会の参加リストですわ。クラスメイトを中心に他クラスの生徒もいらっしゃいます。そして、アルベルト殿下とその側近の皆様もいらっしゃるようです。私も最高級のお店を用意させていただきましたわ。是非楽しみにしていらしてくださいませ。」
俺はお礼を言って、差し出された参加者リストを見た。何だこれ………。そこには五十名以上の参加者の名前が連ねてあった。こんなにいっぱい………。さらに、アルベルト殿下ご一行も参加するのか………。ますます緊張するではないか。だけど俺のためにこんなに用意してくれたんだ、ありがたく頂戴しよう。
「ありがとうございます。当日を楽しみにしていますね。」
「ええ。いい歓迎会にいたしましょう。では、ごきげんよう。」
マーガレット様たちはそういうと、自分たちのいつもの定位置へと戻っていった。そして彼女たちと入れ替わるように、キルたちが教室に入ってきた。
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