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番外編 騒動のその後色々
新妻のつぶやき
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「よう、若奥様。こっちこっち」
「うっ!…どうも先輩…」[
「いやぁ、まさかお前が伯爵夫人になる日が来るとは思わなかったぜ」
久しぶりに会う隊のみんなにからかわれたり、冷やかされたり。でもちゃんと祝福の気持ちは伝わってくる。
気の良い人達ばかりだけれど、大酒飲みなのが玉に瑕だ。
「あの俺、前の様のには飲めませんからね。トールキン様に恥をかかせるわけにはいきませんから。」
「何、今日は身内だけの気を使わない集まりだ。多少の無礼講は許すと閣下自身が言っておられた。」
笑いながらマカフィー先輩がなみなみと注がれたグラスを手にやってくる。その隣にはジョッシュ先輩。一番厄介な先輩だ。
「それよりローラン、いつまでも俺たちの事先輩よばわりしてちゃダメだろ。ほら言ってみろよ、ジョッシュ、マカフィーつまみ持ってこいって」
「言えませんよ、そんなこと…」
肩に手を回しながらおおらかに笑う。こんなやり取りも久しぶりだ。
「『ジョッシュ、マカフィーつまみ持ってこい!』ほら早く!ローランさんを困らせないの!飲んでますか~ローランさん。お兄様とののろけ話聞きに来ました~。」
「アデル様…もうっ!」
違った、一番厄介なのはこの人だった。
なにかやらかしてはトールキン様にお叱りをうけるアデル様は、こうして俺から兄の弱みを探ろうとする。
通信石を無駄使いしては俺に内緒話を持ち掛けるので、この間はデラ奥様にも叱られていた。懲りない人だ。
「ところで生誕珠はまだ賜りに行かないんですか?グラナダ様からもワイアットお兄様からも十分な協力はあったと思ったんだけど…」
「あ、ええ。それどころかデューリー子爵までもがご協力を下さいまして…。二人目までは安心して考えられそうです。その実は…」
「あっ!まさか…」
アデル様が大きな声で歓喜をあげるものだから皆にそれが知れ渡ってしまった。
アデル様ったら意味深な目で俺を見るけど…
昔アデル様が言っていた、「生誕珠を孕んだ人には自分の痴態がばれてしまってるみたいで恥ずかしい」の意味が今ならすごく良く分かる。
本当にあれは…翌朝のダイニング、奥様の慈愛に満ちた眼差しとハモンさんから差し出された喉に良いと言われる薬効の飴。
これから先の人生にだってあんな恥ずかしい瞬間は二度とないだろう。
末の弟アデルが大きな声で騒ぐものだから、ローランの妊娠が皆に知れてしまった。
私の口からきちんとした場で父や閣下にはご報告申し上げようと思っていたのだが…
困った弟だ。後できつく叱っておかなくては。
「そうかおめでとうトールキン。これでお前も肩の荷が下りたであろう。しっかり者のローランと共にカマーフィールドを頼んだぞ」
「お任せください父上。父上が宮廷の職を辞して田舎で隠居生活を営むその日までにカマーフィールドをさらに豊かな領民の笑顔あふれる地にしてみせましょう。気立ての良い妻と共に」
「カマーフィールド卿、まさかここでこんな目出たい話を聞けるとは。ふふ、ルミエにまた一人従兄弟ができた」
「トールキン兄上、なんてすばらしい!ローランには感謝しかありませんね。兄上のお子を孕んでくれた事、それ以上に兄上の心を射止めてくれた事。」
「ローランは元気が取り柄の丈夫なやつだ。受精行為にも耐えられたであろう?布施なら協力は惜しまぬからいくらでも作るが良い。我がバーガンディと競ってはどうだ」
まさか私が王家の方々とこうして肩を並べて話をするような立場になるとは、人生とはわからぬものだ。
それにしても辺境伯閣下の明け透けな物言いには恐れ入る…ワイアットも頬を染めているではないか。
確かにあれは…あ、いや。
そう、とても…何を思い出してるんだ、私は!
だがしかし、ローランのあの姿は…いや実に…
いつの間にやら背後に迫ったアデルがこっそりささやいた。
「お兄様、いま思い出していましたね。ローランさんとの受精の夜を。お兄様はむっつりですか?」
「うっ!…どうも先輩…」[
「いやぁ、まさかお前が伯爵夫人になる日が来るとは思わなかったぜ」
久しぶりに会う隊のみんなにからかわれたり、冷やかされたり。でもちゃんと祝福の気持ちは伝わってくる。
気の良い人達ばかりだけれど、大酒飲みなのが玉に瑕だ。
「あの俺、前の様のには飲めませんからね。トールキン様に恥をかかせるわけにはいきませんから。」
「何、今日は身内だけの気を使わない集まりだ。多少の無礼講は許すと閣下自身が言っておられた。」
笑いながらマカフィー先輩がなみなみと注がれたグラスを手にやってくる。その隣にはジョッシュ先輩。一番厄介な先輩だ。
「それよりローラン、いつまでも俺たちの事先輩よばわりしてちゃダメだろ。ほら言ってみろよ、ジョッシュ、マカフィーつまみ持ってこいって」
「言えませんよ、そんなこと…」
肩に手を回しながらおおらかに笑う。こんなやり取りも久しぶりだ。
「『ジョッシュ、マカフィーつまみ持ってこい!』ほら早く!ローランさんを困らせないの!飲んでますか~ローランさん。お兄様とののろけ話聞きに来ました~。」
「アデル様…もうっ!」
違った、一番厄介なのはこの人だった。
なにかやらかしてはトールキン様にお叱りをうけるアデル様は、こうして俺から兄の弱みを探ろうとする。
通信石を無駄使いしては俺に内緒話を持ち掛けるので、この間はデラ奥様にも叱られていた。懲りない人だ。
「ところで生誕珠はまだ賜りに行かないんですか?グラナダ様からもワイアットお兄様からも十分な協力はあったと思ったんだけど…」
「あ、ええ。それどころかデューリー子爵までもがご協力を下さいまして…。二人目までは安心して考えられそうです。その実は…」
「あっ!まさか…」
アデル様が大きな声で歓喜をあげるものだから皆にそれが知れ渡ってしまった。
アデル様ったら意味深な目で俺を見るけど…
昔アデル様が言っていた、「生誕珠を孕んだ人には自分の痴態がばれてしまってるみたいで恥ずかしい」の意味が今ならすごく良く分かる。
本当にあれは…翌朝のダイニング、奥様の慈愛に満ちた眼差しとハモンさんから差し出された喉に良いと言われる薬効の飴。
これから先の人生にだってあんな恥ずかしい瞬間は二度とないだろう。
末の弟アデルが大きな声で騒ぐものだから、ローランの妊娠が皆に知れてしまった。
私の口からきちんとした場で父や閣下にはご報告申し上げようと思っていたのだが…
困った弟だ。後できつく叱っておかなくては。
「そうかおめでとうトールキン。これでお前も肩の荷が下りたであろう。しっかり者のローランと共にカマーフィールドを頼んだぞ」
「お任せください父上。父上が宮廷の職を辞して田舎で隠居生活を営むその日までにカマーフィールドをさらに豊かな領民の笑顔あふれる地にしてみせましょう。気立ての良い妻と共に」
「カマーフィールド卿、まさかここでこんな目出たい話を聞けるとは。ふふ、ルミエにまた一人従兄弟ができた」
「トールキン兄上、なんてすばらしい!ローランには感謝しかありませんね。兄上のお子を孕んでくれた事、それ以上に兄上の心を射止めてくれた事。」
「ローランは元気が取り柄の丈夫なやつだ。受精行為にも耐えられたであろう?布施なら協力は惜しまぬからいくらでも作るが良い。我がバーガンディと競ってはどうだ」
まさか私が王家の方々とこうして肩を並べて話をするような立場になるとは、人生とはわからぬものだ。
それにしても辺境伯閣下の明け透けな物言いには恐れ入る…ワイアットも頬を染めているではないか。
確かにあれは…あ、いや。
そう、とても…何を思い出してるんだ、私は!
だがしかし、ローランのあの姿は…いや実に…
いつの間にやら背後に迫ったアデルがこっそりささやいた。
「お兄様、いま思い出していましたね。ローランさんとの受精の夜を。お兄様はむっつりですか?」
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