君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第三章「訪問」

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「あ、ありがとう……」

 僕は恐る恐る部屋に上がり込む。

 部屋の中は冷房が効いていて、涼しい空気が全身を包み込んでいく。

 玄関を上がってすぐ右手にキッチンがあり、左手には扉があった。奥は部屋になっていて、中心に丸テーブル、窓際にはベッド、テレビと収納ケースが置かれていて、これが一人暮らしの部屋なのかとまじまじと見渡してしまう。

「突っ立ってないで、座ってください」

 荷物を片し終えた神近くんが、戻ってきてテーブルにコップとお茶のボトルを置く。

「一人暮らしだなんて凄いね……いろいろ大変そうだし」

 腰を下ろした僕に、神近くんはコップにお茶を注いでくれる。

「別に……そんな事ないですから」

 僕はありがたくコップに口を付けていく。汗を掻いたせいか、喉に染み渡る冷たさが心地いい。

「ありがとう。生き返る」

 空になったコップをテーブルに載せると、神近くんは「生き返らなくても良いですから」と言いつつもお茶を入れてくれる。

 口は悪いけど、やっぱり優しいと僕は頬が緩んでしまう。

「体調は大丈夫? 二日も休んでるみたいだったから」

 汗だくのままで気持ち悪かった僕は、鞄からボディーペーパーを取り出し、首や腕を拭いていく。

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