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第三章「訪問」
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しおりを挟む「先輩が面倒事さえ持ち込まなきゃ、大丈夫です」
神近くんは僕の向かい側に腰を下ろす。確かに除霊だけでなく、家に送ってもらったりと色々と面倒事をかけてしまったのは否定出来ない。
「ごめん……」
僕が素直に謝ると「まぁー、俺も承諾したのでそんなに責めませんが」と言って神近くんは澄ました表情でコップに口を付ける。
十分に責めてきたようにも思っていたが、余計なことを言わない方が良いだろう。何より、神近くんの溜飲が下がればそれで良かった。
「ああ、そうだ! 入部届出してきたよ。それから夏休みの予定表も貰ったから」
僕は鞄から夏休みの予定表を取り出すと、机の上に乗せる。
「どうせ先輩は、夏休みの予定とかないじゃないですか」
神近くんの断定的な物言いに「僕だって予定ぐらいあるよ」とムキになって反論する。
「例えばなんですか?」
そう言われてしまうと、僕は言葉に詰まってしまう。バイトは学校で禁止されていて出来ないし、遊ぶのも大抵は泰明か、たまに他のクラスメイト。後は親戚の家に行って、お墓参りするぐらいだった。
「去年は……怪談ライブに行ったし、今年ももしかしたら行くかもしれない……」
「怖がりの先輩がそんなとこ行って大丈夫なんですか?」
神近くんの呆れたような視線に、「一人で行くわけじゃないし……」と何処か言い訳がましくなってしまう。
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