君との怪異に僕は溺れる

箕田 悠

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第三章「訪問」

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 駅から徒歩二十分ほどの距離に、神近くんの暮らしているであろうアパートを見つけることが出来た。

 グレーの壁色が綺麗に塗られた二階建てで、まだ新し目のお洒落なアパートだ。

 僕は緊張した面持ちで階段を上がり、言われていた一番奥の部屋の表札を見る。ちゃんと神近と書かれているのを確認した僕は、インターホンを鳴らす。

 しばらくすると扉が開き、神近くんが顔を顰めて現れた。ボーダー柄のTシャツに黒のスキニーパンツとラフな格好で、学生服とは違った雰囲気だ。容姿端麗でスタイルが良いと、どんな服でも似合ってしまうから羨ましい。

「汗だくじゃないですか……」

「だって外凄く暑いからさ。お見舞いに色々買っちゃった。気にいるか分からないけど……」

 そう言って僕は買ってきた物を手渡す。

「……ありがとうございます」

 ちょっと買いすぎじゃないですかと付け足し、神近くんは呆れたように溜息を零す。

「じゃ、僕は帰るから」

 顔色もそこまで悪くない事にホッとした僕は、立ち去ろうとする。

「……良いですよ。上がってください」

「えっ?」

 まさかそんな事を言われるとは思っても見ず、僕は驚いて神近くんを見つめる。

「熱中症になられても困るんで」

 そう言って神近くんはどうぞ、と言って僕を中に促した。

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