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3章 お爺ちゃんと古代の導き

101.お爺ちゃんと孫③

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「さて、早速攻略と行きますか」


 開き直ったかのような態度でジキンさんが音頭取りを始める。
 それに続く私達。どこか不安気に、それでいてどんな采配を見せてくれるだろうかと期待しつつ。

 だってねぇ、さっきの今でしょ?
 心配の方が勝るってもんですよ。


「じいじ、平気か? あんまよく見せようとして無理しなくて良いんだぞ?」

「大丈夫だ。じいじは敵が来ても戦えないが、みんなを導く力は凄いんだぞ? その代わり敵が来たらケンタに任せても良いか?」

「まかしとけ! セカンドルナ周辺だったら向かうところ敵無しだぜ。な、親父?」

「まぁお前の実力ならな。だが今回はパーティで来ている。全部自分一人で解決せず、他のメンバーの取り分も考えておけよ? それがカッコいい男の生き様だ」

「おう!」


 ジキンさんを筆頭に、ケンタ君、金狼氏と続く。
 なんだい、息子も良いものじゃないか。
 深く語らずとも分かり合ってる。そんな感じを見せつけられた。若干ジキンさんがにやけ顔なのが余計に苛立ちを加速させる。


「そうだよ、微力ながら私達も手伝おう」

「爺ちゃん戦えんの?」

「戦えないが空は飛べるぞ!」

「すげー!」


 子どもとは単純なものだ。
 少し浮いて見せれば目を輝かせて興奮し出した。
 だが空を飛べるアプローチはこれ以上ないくらいに伝わったようだ。金狼氏も実に羨ましがっている。ジキンさんに睨み付けられた。あまりヘイトを取りすぎるのもよくないな。
 程々にしておこう。


「それ以前に、現状古代語を読み解けるのもお義父さんくらいですしね」

「あと何気にイベント連続踏破者だよね、お爺ちゃん」


 私が身を引こうとしてるのに、ここぞとばかりに身内からの援護射撃が入った。
 ジキンさんのこめかみに血管が浮いている。
 違うんですよ、これは私の意図したところじゃ……
 
 けれど逆にそれが良かったのだろう、ケンタ君は興奮状態のまま続けた。


「じいじ、こっちも負けてらんねーな! 向こうの爺ちゃんよりうちの血筋が優れてるんだってことを見せつけてやろーぜ!?」

「ああ、もちろんだとも! じいじも全力で事に当たるぞ。我が家の団結力を見せつけてやろう!」

「血筋を出されたらこちらも手を抜けないな。ケンタ、どんどん俺も頼れ。今日ばかりは父親だからと遠慮することはないぞ」

「分かった!」


 なるほど、これを狙っていたのか。
 娘だと追い込むと厄介なことにしかならないが、息子の場合は違うと。
 思えば私も逆境に対してどう対処してやろうかと考えを巡らせていたものだ。

 息子、いいじゃないか!
 くそぅ、今になってジキンさんが羨ましくなってきたぞ。
 オクト君に目配せしたが、反応はイマイチだった。

 うーん、これがクール系と熱血系の違いか。

 うちの息子も熱血系が良かった。
 いや、今の時代に金狼氏のような熱血系の息子の方が珍しい。
 やはり育て方か!?
 そうなのか? しかしジキンさん夫婦は放任主義だと聞くし違うのか?

 ウチは甘やかしすぎたのだろうか。
 うーん、わからん!
 昭恵さん、どう思う?

 変に悶々としながら、私はジキンさんの号令に続いた。
 悔しいので意地悪して古代言語で嘘を教えたが、マリンにそういうのはよくないって顔で制されてしまった。

 お爺ちゃん泣くぞ?
 少しくらいお爺ちゃんを贔屓してくれても良いじゃないか。
 でもそれがマリンの正義だもんな。
 それを曲げることは私にはできない。
 ここは私が折れるしかないのか。
 ぐぬぬ……

 向こうの家族に対してこっちの家族の連携が取れてないのはやはり特性の違いなのかもしれないな。

 向こうは3人とも熱血系。だから阿吽の呼吸ができてる。

 それに対してこちらは私だけが熱血系で他二人がクール系だ。
 私がもっとクールになれば良いのだろうけど、60年生きてきて今更生き方を変えろとかそれこそ無理だ。


 そして私達は問題のボス部屋へと至った。
 楽勝ムードのケンタ君を筆頭に、金狼氏とジキンさんが続く。
 対してマリンだけが額に汗を浮かべていた。

 ここのダンジョンはパーティを組んだ時の最大スキル所持数で難易度が大きく変わる。
 マリンと入った40個相当の時ならまだしも、今回はランクAクラス(70個相当)のオクト君やランクAA(100個相当)クラスの金狼氏が居る。
 どうもそのことを懸念しているようだった。

 つまり、出てくるエネミーのサイズと数が全くの未知数であるのだと、そう言っていた。
 
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