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1巻
1-2
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「由乃、ここはわたくしに任せてもらえますか?」
「みゆり、やれるの?」
杜若さんは頷き、委員長を安心させるように言葉を続ける。
「ええ、わたくしのスキルを使ってみますわ」
それは歌声のようだった。
しかし杜若さんの口から声が出ているわけではない。
その身体中から波紋を描いて広がる霧が、周囲の雑音をかき消しながら広がる。
やがてそれが泣いてる獣人の子供の耳に届くと、杜若さんの声もすんなりと耳に入っていくように聞き届けられた。
「大丈夫ですよ、お姉さんたちがあなたのお母さんを見つけてあげますから。だから泣かないで」
「……ほんと?」
先ほどまでこちらの声に耳を傾けなかった獣人の子供が、杜若さんの言葉にしっかり返事をした。
委員長は俺と顔を見合わせて、そしてすかさず杜若さんに尋ねる。
「もしかしてみゆりの天性って?」
「『カウンセラー』という天性を授かりました。今のはスキルの〈精神安定〉の効果ですね」
補欠組に選定された人の共通点は、戦闘に活かしづらい天性を持っていることかもしれない。
俺はそんな風に考えつつ、無事母親探しができそうだと安堵して口を開く。
「じゃあ、後は母親を捜すだけだな」
「ええ、巻き込んでしまってごめんなさい」
「いいのいいの、どうせこれといった目的もないんだしさ」
俺の返答に、杜若さんは柔和に微笑んだ。
その後、俺たちは大声で少女のお母さんを呼びながら、街を歩く。
しばらくして、彼女のお母さんを発見することができた。
お母さんはこちらに気付くと、一目散に駆けてくる。
そしてお礼を言いながら、俺に何かを握らせた。
「うちの子がご迷惑をおかけしてごめんなさい。これ、少ないけどお礼です」
そう言って渡されたのは、この国のお金だった。
委員長の〈鑑定〉によれば、それは銅貨と呼ばれるもので、日本円換算で一枚が百円相当だそうだ。ちなみに、この世界では銅貨百枚で銀貨一枚に、銀貨百枚で金貨一枚になる。
それが三枚――つまり三百円ほど俺たちの手元に入ってきた。
別にお金が欲しくて助けたわけではなかったけど、向こうの厚意を無下にするのもよくないだろうということで、素直に受け取る。
「ほら、あなたもきちんとお礼しなさい」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。お母さんを見つけてくれてありがとうございます!」
少女は元気にそう言って、満面の笑みを見せた。
委員長は、そんな少女の頭を撫でる。
「いいのよ。今度お買い物に行く時は、お母さんから逸れないようにするのよ?」
「本当にありがとうございました」
「バイバーイ」
獣人親子と別れの挨拶をしてから、俺たちはその場を後にした。
ゆっくりと山間に沈む夕日を見上げ、時の流れの速さに驚く。
母親探しの時は夢中だったからあまり気にしていなかったけど、結構時間がたっていたらしい。
だが、せっかく街に出たので、もう少しその空気を味わいたい。
帰る前に、何かクラスメイトにお土産でも買っていかないかと俺が提案すると、みんな賛同してくれた。
街に繰り出して最初に見かけたアポーでも買おうかと話していたまさにその時、『アポー一つ銅貨五枚』の文字が目についた。
それを見て、委員長が怪訝そうな顔をする。
気になって彼女に聞いてみると、アポーはこの国で広く栽培されている馴染みの果実で、相場は高価なものでも銅貨三枚くらいらしい。
〈鑑定〉で調べた委員長が言うのだから、この情報は正確だろう。
問題は、それを銅貨五枚で売っているこのお店。
価値の分からない客を騙している可能性が高いというのが、俺たちの見立てだった。
普段は大人しい薫もこれにはムッとしたようだ。
「あんな売り方で街の人たちからお金を騙し取っているなんて、同じ商人として許せない!」
天性の影響か、すっかり心まで『商人』に染まっているらしい。
それはともかく……俺たちの意見は一致し、そのぼったくりのお店へと向かうことにした。
最初に薫が店の人に声をかける。
「おじさん、アポーを一つください」
「あいよ、銅貨五枚だ」
予想通りの返事に、薫はわざとらしく大きな声を出す。
「えっ、これ五枚もするんですか?」
俺や委員長も、薫のリアクションにあわせて驚いた表情を浮かべた。
しかし店主は特にそれに動じることなく、首を傾げる。
どうも値切りの交渉をするのだと察したらしい。
だが、薫も一歩も引かずに淡々と会話を続ける。
「ごめんなさい、向こうの通りでは銅貨三枚で見かけたので。てっきり銅貨三枚が相場かと思っていました」
「そりゃ、あそこは品質の悪い奴を格安で卸しているからな。俺のところは王国一の農園から直接仕入れてるんだぜ! だから他の店より値が張るんだ。分かったら銅貨五枚払ってくんな」
こちらが相場に疎いと察して、店長は強気な態度を貫く。
そこに委員長が指摘を入れた。
「それはおかしいですね。通常、王国産のアポーはお尻の部分が鮮やかな黄色に染まっています。しかしこれはどちらかと言うと紫です。紫色のは王国産ではないですよね?」
「うぐっ」
店長が言葉に詰まった。おそらく図星だったのだろう。
〈鑑定〉で物の情報を正確に得られる委員長がいれば、店長の誤魔化しも利かない。
そこへさらに薫が切り込んでいく。
「それに商品の傷みが激しいですよ。これは仕入れから何日後の商品ですか? もしこれが銅貨五枚ならクレームものです。街の人も薄々感じ取っているから、なかなか買う人がいなくてこの時間帯まで売れ残っているのでは?」
委員長と薫の言葉に、とうとう店長は黙り込んでしまう。
「そこで提案なのですが……銅貨一枚でこのアポーを譲ってもらえませんか? あなたも売れ残ったこいつを売ってしまいたいでしょうし……悪くない話だと思いますよ」
その言葉で、今まで静かだった店主の顔色がみるみる真っ赤になっていく。
「おいおい薫、それは流石にやり過ぎじゃないか?」
俺は慌てて薫に耳打ちするが、それと同時に店主が噴火した。
「こちらの足元見てるつもりか、ガキども!」
まぁ、たしかに吹っかけている自覚はある。
というか俺たちの内では、他の店と同様の価格の銅貨三枚まで引き下げるという話だったはずだ。
聞けば聞くほど、店主が随分ひどい品質のアポーを売っていたことは分かったが、そこまで絞らなくてもいいのではと、内心ハラハラする。
そこで、薫が委員長と何やら相談し始めた。
戻ってきた薫に、店主は諦めたように言い放つ。
「チッ、銅貨二枚。これ以上は負けられねぇ」
「もう一声」
「おい、こっちは仕入れ値を割ってるんだぞ!? これ以上の値下げは大損だ!」
「でも、このアポー。もう一つ知られちゃまずい秘密があるよね?」
疑問に思いながら店長の顔を見ると、今までに見たことないほど青ざめている。
薫はトドメとばかりに説明を始めた。
「そもそもアポーには、生食用と調理用があるみたいだけど、これは後者だ。本来なら相場は生食用よりさらに低いはずのね。それを生食用と偽った上で、さらに金額を銅貨五枚に設定しているんだよね? こんな売り方が他の人にバレたら大問題になると思うんだけど……」
さっき薫が委員長のもとに話しかけに行ったのは、ここのアポーの鑑定を頼んでいたわけか。
そこまでの秘密を抱えていたなら、交渉を途中でやめなかったのも分からなくもないな。
「分かったよ! 銅貨一枚で売ってやる! クソッ、持ってけ泥棒!」
「ありがとう。僕みたいに価値を正確に把握している人も世の中にはいるから、安易に高値で売るのはやめた方がいいと思うよ」
「うるせぇっ! もう二度と顔見せんな!」
勝ち誇った表情でアポーを掲げながら店を離れる薫と、疫病神を追い払うように塩を撒く店主。
俺たちはそそくさとその場を退散するのだった。
来た道を戻りながら、俺は薫に声をかけた。
「薫~、値切れとは言ったけど、あそこまでする必要あったか?」
「でも、あの店主の売り方だって悪かったし……」
出禁になるレベルまで値下げして、銅貨を二枚手元に余らせる程の立ち回り。
俺と女子二人の間で、密かに薫のニックネームが悪代官に決まった。
委員長は、若干申し訳なさそうな表情をしていた。
「私も協力した手前、少し罪悪感があったわよ?」
反対に杜若さんは、薫を擁護するように言う。
「ですが、あのお店の人はダメだと分かった上で、あのお値段で提示していたのですよね? そう思うと、薫君の行動は間違っていなかったかもしれません」
「だよね、だよね。杜若さんならそう言ってくれると思った」
「まぁ、さっきの行いはともかく……浮いたお金はどうすんの? そろそろ陽も落ちるぜ?」
太陽はもう随分と傾いていた。
そろそろ街を出ないと、城に戻れなくなるかもしれない。
「それはまた後で考えれば良いじゃん」
「そうですよ。残しておいて困るものではないですし……また外に出かける時の軍資金に使ったらどうです?」
薫と杜若さんが口々に言う。
「それもそうだな」
「そんなわけで、そのお金は雄介が預かってね」
薫がそう言って俺にお金が入った袋を寄越してきた。
話が終わり、みんなは先に歩き出す。
その後ろを付いて行きながら、俺はぼんやりと考えていた。
この四人の中で、今回俺だけが何の役にも立てていない。
同じ補欠扱いになったメンバーのはずが、委員長は情報集め、杜若さんはそのリラクゼーション効果で人から話を聞くのに一役買った。
薫も方法は賛否両論あったが、値切り交渉を成功させた。
俺だけが何もしていなかった。
そんな風に落ち込みかけた時だ。
俺の目の前に、今まで見たことがないメッセージが画面上に表示された。
〈条件を満たしました〉
〈ステータスガチャが回せます〉
〈一回/銅貨一枚〉
〈ステータスガチャを回しますか?〉
そして、最後に表示される「YES/NO」の二択。
唐突な出来事にキョトンとする。
まったく使い道の分からなかった俺のスキルが、ここぞという時に姿を現したからだ。
3 希望の光
「どうしたの雄介、置いてくよー?」
城へ帰る道すがら、突如立ち止まった俺を薫が促す。
俺は走りながら三人のもとに行き、今までうんともすんとも言わなかったスキルが扱えることを説明した。
「いや、なんかガチャが回せるって」
「阿久津君の天性は『ガチャ』だったわね」
「それで回したんですか?」
俺の発言に興味を示す委員長と杜若さん。
「いや、ガチャを回すのに銅貨が必要っぽいんだ。でもみんなで手に入れたお金だし、回す前に許可取っておこうかなって」
「ああ、なるほど。お金が無いとスキルを使えないのは面倒だね」
「そこなんだよな。それで回してもいいかな?」
薫たちは、何が起きるのか見てみたいからということで、賛同してくれた。
気合を入れて一回目。
もとの世界にあるようなカプセルが出てくるあの機械に近いものが、ボードに表示された。
ボード上のつまみを捻ると、ガラガラとボールが飛び出してきた。
そしてボールが開き、目の前に〈五等:筋力+5〉という表示が出てくる。
「どうでした?」
「あ、うん筋力が5上がったっぽい。多いのかどうか分からないけど」
もとが雀の涙のようなステータスだ。
ガチャで底上げできるのはすごいと思うが、初期の数値が低すぎて焼け石に水としか感じられない。
喜び半分、落胆半分で俺が結果を受け止めていると、自分のステータスを見ていた薫が驚いた。
紙が無くてもステータスを自由に確認できることは、二日目に城で教わった。
「どうした、薫?」
「どうしたもこうしたも、雄介が引いたガチャで僕のステータスが上がったんだよ!」
「は?」
俺はポカンとした。
こういうのって、ガチャを回した人だけが得られる恩恵じゃないの?
そう思ってると、すぐ横で委員長が薫と同じように驚きの声を上げた。
「本当だわ。私も2しかなかった筋力が7になってる……」
もしかして、俺のステータスガチャって、自分だけじゃなくてその場にいた全員に効果が分け与えられるのか?
一見チートっぽいスキルだけど、一回まわすのにお金が必要なんだよな。
ステータスが上がるといっても、稼ぐ手段がない俺たちからすると、どれだけ活用できるかは分からない。
それでも俺のガチャは、どこか将来が閉ざされていた補欠組メンバーの表情を明るくした。
クラスメイトに比べれば取るに足らないステータスかもしれないけど、何をしても上がらなかったステータスが変化した事実が、俺たちを勇気づける。
「阿久津さんのスキルはとても素晴らしいものなのですわね」
杜若さんが手放しで喜んでくれた。
普段表情を崩さない彼女が俺に微笑みを向けてくれたのはこれが初めてだ。
苦笑みたいなのは結構もらうんだけどな。
「それで雄介、もう一回できるんでしょ?」
薫が待ちきれないとばかりに声をかけてくる。
俺以上に、薫はガチャの魅力に取り憑かれてしまったようだ。
女子たちもまた、俺の手元のボードに注目する。
みんなの期待を背負いながら、俺は二回目を回した。
〈特賞:筋力+50、耐久+50〉の文字が、俺の目に飛び込んでくる。
「おおっしゃ! 特賞引いた!」
皆に見せつけるようにガッツポーズ。
「ナイス雄介! それで内訳は?」
「聞いて驚け、筋力と耐久が50ずつアップだ!」
「「「おぉ!」」」
三人の声がハモる。
「さっきの5でも十分ありがたかったけど、まさか特賞は二桁も上がるとは思わなかったわ」
「それも二つもステータスが上がるだなんて!」
委員長と薫が興奮気味に声を上げる。
「だから特賞なんだろうな。ガチャの結果が分かるまでのタメも、一度目より二度目の方が長かった気がする」
「つまり最初の+5はハズレってこと?」
「何でしょうか。阿久津さんのスキルがこの中で一番の当たりの気がしますわ!」
杜若さんは、手を叩きながら微笑む。
いやいや、それは言いすぎだろ。
でも褒められたら嬉しいのは事実だ。
俺もつい得意げな表情になる。
「そんなことも……あるかな?」
「もう、雄介ってば単純なんだから」
「それでも、このガチャは私たちにとっての希望よ?」
「そうね、頑張ろうという気持ちになります」
突っ込みを入れる薫も、委員長たちもどこか晴れやかな顔をしていた。
最後の最後で、俺にも見せ場のチャンスが巡ってきたことと、数値の上がったステータスボードに、俺は満足する。
画面上の数値はこんな感じになっていた。
〈ステータス〉
ユウスケ・アクツ
15歳 男 天性:ガチャLv1
筋力:10【+55】
耐久:8【+50】
敏捷:4
器用:12
賢さ:6
精神:20
幸運:5
〈スキル〉
◎ステータスガチャ
ステータス、特に敏捷が上がったことで移動スピードが向上し、俺たちは日が暮れる前に城に戻って来られた。
行きは二時間近くかかったのに、まさか半分ちょっとの時間で帰れるとは思わなかった。
丁度クラスメイトが訓練から戻ってくる時間と重なり、一緒に大部屋に戻る。
部屋に着くと、訓練を終えたメンバーを労いながら、今日の大冒険を語った。
ひとしきり話し終えると、木下という男が聞き返してきた。
野球部員で、『全属性魔法使い』という夢のある天性を授かった、レギュラー上位勢だ。
「じゃあ、阿久津はガチャを回すだけで楽々ステータスをアップできるってわけか」
「そんな感じ」
そこで薫が話に加わってくる。
「でも、すごいのはそこじゃないんだよね?」
「他にもあるのか?」
そこで俺はドヤ顔で木下に言い放つ。
「実はな、このスキル。回した時にいた全員に効果が反映されるみたいなんだ!」
「なっ!?」
流石の木下も驚いたらしい。
思っていた以上に大きな声になっていたようで、周囲の男子がチートじゃないかと集まってきた。
じゃあ俺たちにも使ってくれよ、というみんなの声を遮りながら、実はデメリットもあると付け足した。
「でも一回まわすのに銅貨が必要でさ。今回は自分たちのために使っちまったんで、手持ちはないんだ」
「それは残念だな」
だが言葉で言うほど残念がっていない様子の木下と他の男子陣を見て、俺は違和感を覚えた。
お金が必要とはいえ、ステータスが上がるんだぞ?
どんな天性を持っている人にとっても、便利なスキルだと思うんだが……
そこで、三上が俺たちのところにやってきた。
「話は分かった。でもそれは阿久津たちのためだけに使ってくれ」
先に風呂をいただいたのか湯上がりの三上が、体操着の隙間から見える引き締まった筋肉を見せつけながら、こっちは自分たちで頑張るからと言い出した。
普段だったら引き下がるところだが、ようやく手に入れたかもしれない役に立てるチャンスだ。
自分の居場所がなくなった気がして、俺は三上に食ってかかる。
「でもよ、苦労せずステータスが手に入るんだぜ?」
「たしかにそれはすごいが……俺たちはすでにもっと先に進んでいる。阿久津の気持ちも分かるけどさ、今の俺たちには雀の涙もいいところなんだ」
「え?」
三上の言葉が頭に入ってこない。
50も一気に上がるスキルが雀の涙!? 数を回せば三桁……四桁だって夢じゃない。
そう俺が語る前に、三上はさっさと自分の寝床に行ってしまった。
立ち去る三上を見送る俺を木下が慰める。
「ま、お前の気持ちも分かるけどさ。こればかりは三上の言っている通りなんだ」
「そんなにお前たちのステータスは高いのか?」
「ああ、三上と俺とじゃ伸びしろに違いこそあるが、阿久津が言う50や100程度じゃ成長補正で賄えるんだ」
「そんな……木下は今どれくらいあるんだ?」
「俺か? 俺は……」
そこで明らかになったのは、俺たちでは到底及ばないだろうステータスの高さ。
話を聞けば、初期値の段階で俺たちの平均が一桁、多くて二桁だというのに、木下は三桁だったという。
三上に至っては四桁からスタートしているらしい。
そしてレベルが上昇すればするほど、天性に応じたステータス補正が加わり、木下もすでに四桁まで上がっているらしい。
しかも彼らはそれを自慢ではなく、当たり前として扱っている。
そんな状況であれば、俺の能力をありがたがらないのは当たり前だった。
話を聞いていた他のクラスメイトも、夢から覚めたように俺の前から去っていく。
結局、俺は天性が使えるようになった後も、自分が活躍できる場所を得ることはできなかった。
前と同じ役立たずなのには変わりなかったが、一度上げてから落とされた分、ショックはより大きかった。
「みゆり、やれるの?」
杜若さんは頷き、委員長を安心させるように言葉を続ける。
「ええ、わたくしのスキルを使ってみますわ」
それは歌声のようだった。
しかし杜若さんの口から声が出ているわけではない。
その身体中から波紋を描いて広がる霧が、周囲の雑音をかき消しながら広がる。
やがてそれが泣いてる獣人の子供の耳に届くと、杜若さんの声もすんなりと耳に入っていくように聞き届けられた。
「大丈夫ですよ、お姉さんたちがあなたのお母さんを見つけてあげますから。だから泣かないで」
「……ほんと?」
先ほどまでこちらの声に耳を傾けなかった獣人の子供が、杜若さんの言葉にしっかり返事をした。
委員長は俺と顔を見合わせて、そしてすかさず杜若さんに尋ねる。
「もしかしてみゆりの天性って?」
「『カウンセラー』という天性を授かりました。今のはスキルの〈精神安定〉の効果ですね」
補欠組に選定された人の共通点は、戦闘に活かしづらい天性を持っていることかもしれない。
俺はそんな風に考えつつ、無事母親探しができそうだと安堵して口を開く。
「じゃあ、後は母親を捜すだけだな」
「ええ、巻き込んでしまってごめんなさい」
「いいのいいの、どうせこれといった目的もないんだしさ」
俺の返答に、杜若さんは柔和に微笑んだ。
その後、俺たちは大声で少女のお母さんを呼びながら、街を歩く。
しばらくして、彼女のお母さんを発見することができた。
お母さんはこちらに気付くと、一目散に駆けてくる。
そしてお礼を言いながら、俺に何かを握らせた。
「うちの子がご迷惑をおかけしてごめんなさい。これ、少ないけどお礼です」
そう言って渡されたのは、この国のお金だった。
委員長の〈鑑定〉によれば、それは銅貨と呼ばれるもので、日本円換算で一枚が百円相当だそうだ。ちなみに、この世界では銅貨百枚で銀貨一枚に、銀貨百枚で金貨一枚になる。
それが三枚――つまり三百円ほど俺たちの手元に入ってきた。
別にお金が欲しくて助けたわけではなかったけど、向こうの厚意を無下にするのもよくないだろうということで、素直に受け取る。
「ほら、あなたもきちんとお礼しなさい」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん。お母さんを見つけてくれてありがとうございます!」
少女は元気にそう言って、満面の笑みを見せた。
委員長は、そんな少女の頭を撫でる。
「いいのよ。今度お買い物に行く時は、お母さんから逸れないようにするのよ?」
「本当にありがとうございました」
「バイバーイ」
獣人親子と別れの挨拶をしてから、俺たちはその場を後にした。
ゆっくりと山間に沈む夕日を見上げ、時の流れの速さに驚く。
母親探しの時は夢中だったからあまり気にしていなかったけど、結構時間がたっていたらしい。
だが、せっかく街に出たので、もう少しその空気を味わいたい。
帰る前に、何かクラスメイトにお土産でも買っていかないかと俺が提案すると、みんな賛同してくれた。
街に繰り出して最初に見かけたアポーでも買おうかと話していたまさにその時、『アポー一つ銅貨五枚』の文字が目についた。
それを見て、委員長が怪訝そうな顔をする。
気になって彼女に聞いてみると、アポーはこの国で広く栽培されている馴染みの果実で、相場は高価なものでも銅貨三枚くらいらしい。
〈鑑定〉で調べた委員長が言うのだから、この情報は正確だろう。
問題は、それを銅貨五枚で売っているこのお店。
価値の分からない客を騙している可能性が高いというのが、俺たちの見立てだった。
普段は大人しい薫もこれにはムッとしたようだ。
「あんな売り方で街の人たちからお金を騙し取っているなんて、同じ商人として許せない!」
天性の影響か、すっかり心まで『商人』に染まっているらしい。
それはともかく……俺たちの意見は一致し、そのぼったくりのお店へと向かうことにした。
最初に薫が店の人に声をかける。
「おじさん、アポーを一つください」
「あいよ、銅貨五枚だ」
予想通りの返事に、薫はわざとらしく大きな声を出す。
「えっ、これ五枚もするんですか?」
俺や委員長も、薫のリアクションにあわせて驚いた表情を浮かべた。
しかし店主は特にそれに動じることなく、首を傾げる。
どうも値切りの交渉をするのだと察したらしい。
だが、薫も一歩も引かずに淡々と会話を続ける。
「ごめんなさい、向こうの通りでは銅貨三枚で見かけたので。てっきり銅貨三枚が相場かと思っていました」
「そりゃ、あそこは品質の悪い奴を格安で卸しているからな。俺のところは王国一の農園から直接仕入れてるんだぜ! だから他の店より値が張るんだ。分かったら銅貨五枚払ってくんな」
こちらが相場に疎いと察して、店長は強気な態度を貫く。
そこに委員長が指摘を入れた。
「それはおかしいですね。通常、王国産のアポーはお尻の部分が鮮やかな黄色に染まっています。しかしこれはどちらかと言うと紫です。紫色のは王国産ではないですよね?」
「うぐっ」
店長が言葉に詰まった。おそらく図星だったのだろう。
〈鑑定〉で物の情報を正確に得られる委員長がいれば、店長の誤魔化しも利かない。
そこへさらに薫が切り込んでいく。
「それに商品の傷みが激しいですよ。これは仕入れから何日後の商品ですか? もしこれが銅貨五枚ならクレームものです。街の人も薄々感じ取っているから、なかなか買う人がいなくてこの時間帯まで売れ残っているのでは?」
委員長と薫の言葉に、とうとう店長は黙り込んでしまう。
「そこで提案なのですが……銅貨一枚でこのアポーを譲ってもらえませんか? あなたも売れ残ったこいつを売ってしまいたいでしょうし……悪くない話だと思いますよ」
その言葉で、今まで静かだった店主の顔色がみるみる真っ赤になっていく。
「おいおい薫、それは流石にやり過ぎじゃないか?」
俺は慌てて薫に耳打ちするが、それと同時に店主が噴火した。
「こちらの足元見てるつもりか、ガキども!」
まぁ、たしかに吹っかけている自覚はある。
というか俺たちの内では、他の店と同様の価格の銅貨三枚まで引き下げるという話だったはずだ。
聞けば聞くほど、店主が随分ひどい品質のアポーを売っていたことは分かったが、そこまで絞らなくてもいいのではと、内心ハラハラする。
そこで、薫が委員長と何やら相談し始めた。
戻ってきた薫に、店主は諦めたように言い放つ。
「チッ、銅貨二枚。これ以上は負けられねぇ」
「もう一声」
「おい、こっちは仕入れ値を割ってるんだぞ!? これ以上の値下げは大損だ!」
「でも、このアポー。もう一つ知られちゃまずい秘密があるよね?」
疑問に思いながら店長の顔を見ると、今までに見たことないほど青ざめている。
薫はトドメとばかりに説明を始めた。
「そもそもアポーには、生食用と調理用があるみたいだけど、これは後者だ。本来なら相場は生食用よりさらに低いはずのね。それを生食用と偽った上で、さらに金額を銅貨五枚に設定しているんだよね? こんな売り方が他の人にバレたら大問題になると思うんだけど……」
さっき薫が委員長のもとに話しかけに行ったのは、ここのアポーの鑑定を頼んでいたわけか。
そこまでの秘密を抱えていたなら、交渉を途中でやめなかったのも分からなくもないな。
「分かったよ! 銅貨一枚で売ってやる! クソッ、持ってけ泥棒!」
「ありがとう。僕みたいに価値を正確に把握している人も世の中にはいるから、安易に高値で売るのはやめた方がいいと思うよ」
「うるせぇっ! もう二度と顔見せんな!」
勝ち誇った表情でアポーを掲げながら店を離れる薫と、疫病神を追い払うように塩を撒く店主。
俺たちはそそくさとその場を退散するのだった。
来た道を戻りながら、俺は薫に声をかけた。
「薫~、値切れとは言ったけど、あそこまでする必要あったか?」
「でも、あの店主の売り方だって悪かったし……」
出禁になるレベルまで値下げして、銅貨を二枚手元に余らせる程の立ち回り。
俺と女子二人の間で、密かに薫のニックネームが悪代官に決まった。
委員長は、若干申し訳なさそうな表情をしていた。
「私も協力した手前、少し罪悪感があったわよ?」
反対に杜若さんは、薫を擁護するように言う。
「ですが、あのお店の人はダメだと分かった上で、あのお値段で提示していたのですよね? そう思うと、薫君の行動は間違っていなかったかもしれません」
「だよね、だよね。杜若さんならそう言ってくれると思った」
「まぁ、さっきの行いはともかく……浮いたお金はどうすんの? そろそろ陽も落ちるぜ?」
太陽はもう随分と傾いていた。
そろそろ街を出ないと、城に戻れなくなるかもしれない。
「それはまた後で考えれば良いじゃん」
「そうですよ。残しておいて困るものではないですし……また外に出かける時の軍資金に使ったらどうです?」
薫と杜若さんが口々に言う。
「それもそうだな」
「そんなわけで、そのお金は雄介が預かってね」
薫がそう言って俺にお金が入った袋を寄越してきた。
話が終わり、みんなは先に歩き出す。
その後ろを付いて行きながら、俺はぼんやりと考えていた。
この四人の中で、今回俺だけが何の役にも立てていない。
同じ補欠扱いになったメンバーのはずが、委員長は情報集め、杜若さんはそのリラクゼーション効果で人から話を聞くのに一役買った。
薫も方法は賛否両論あったが、値切り交渉を成功させた。
俺だけが何もしていなかった。
そんな風に落ち込みかけた時だ。
俺の目の前に、今まで見たことがないメッセージが画面上に表示された。
〈条件を満たしました〉
〈ステータスガチャが回せます〉
〈一回/銅貨一枚〉
〈ステータスガチャを回しますか?〉
そして、最後に表示される「YES/NO」の二択。
唐突な出来事にキョトンとする。
まったく使い道の分からなかった俺のスキルが、ここぞという時に姿を現したからだ。
3 希望の光
「どうしたの雄介、置いてくよー?」
城へ帰る道すがら、突如立ち止まった俺を薫が促す。
俺は走りながら三人のもとに行き、今までうんともすんとも言わなかったスキルが扱えることを説明した。
「いや、なんかガチャが回せるって」
「阿久津君の天性は『ガチャ』だったわね」
「それで回したんですか?」
俺の発言に興味を示す委員長と杜若さん。
「いや、ガチャを回すのに銅貨が必要っぽいんだ。でもみんなで手に入れたお金だし、回す前に許可取っておこうかなって」
「ああ、なるほど。お金が無いとスキルを使えないのは面倒だね」
「そこなんだよな。それで回してもいいかな?」
薫たちは、何が起きるのか見てみたいからということで、賛同してくれた。
気合を入れて一回目。
もとの世界にあるようなカプセルが出てくるあの機械に近いものが、ボードに表示された。
ボード上のつまみを捻ると、ガラガラとボールが飛び出してきた。
そしてボールが開き、目の前に〈五等:筋力+5〉という表示が出てくる。
「どうでした?」
「あ、うん筋力が5上がったっぽい。多いのかどうか分からないけど」
もとが雀の涙のようなステータスだ。
ガチャで底上げできるのはすごいと思うが、初期の数値が低すぎて焼け石に水としか感じられない。
喜び半分、落胆半分で俺が結果を受け止めていると、自分のステータスを見ていた薫が驚いた。
紙が無くてもステータスを自由に確認できることは、二日目に城で教わった。
「どうした、薫?」
「どうしたもこうしたも、雄介が引いたガチャで僕のステータスが上がったんだよ!」
「は?」
俺はポカンとした。
こういうのって、ガチャを回した人だけが得られる恩恵じゃないの?
そう思ってると、すぐ横で委員長が薫と同じように驚きの声を上げた。
「本当だわ。私も2しかなかった筋力が7になってる……」
もしかして、俺のステータスガチャって、自分だけじゃなくてその場にいた全員に効果が分け与えられるのか?
一見チートっぽいスキルだけど、一回まわすのにお金が必要なんだよな。
ステータスが上がるといっても、稼ぐ手段がない俺たちからすると、どれだけ活用できるかは分からない。
それでも俺のガチャは、どこか将来が閉ざされていた補欠組メンバーの表情を明るくした。
クラスメイトに比べれば取るに足らないステータスかもしれないけど、何をしても上がらなかったステータスが変化した事実が、俺たちを勇気づける。
「阿久津さんのスキルはとても素晴らしいものなのですわね」
杜若さんが手放しで喜んでくれた。
普段表情を崩さない彼女が俺に微笑みを向けてくれたのはこれが初めてだ。
苦笑みたいなのは結構もらうんだけどな。
「それで雄介、もう一回できるんでしょ?」
薫が待ちきれないとばかりに声をかけてくる。
俺以上に、薫はガチャの魅力に取り憑かれてしまったようだ。
女子たちもまた、俺の手元のボードに注目する。
みんなの期待を背負いながら、俺は二回目を回した。
〈特賞:筋力+50、耐久+50〉の文字が、俺の目に飛び込んでくる。
「おおっしゃ! 特賞引いた!」
皆に見せつけるようにガッツポーズ。
「ナイス雄介! それで内訳は?」
「聞いて驚け、筋力と耐久が50ずつアップだ!」
「「「おぉ!」」」
三人の声がハモる。
「さっきの5でも十分ありがたかったけど、まさか特賞は二桁も上がるとは思わなかったわ」
「それも二つもステータスが上がるだなんて!」
委員長と薫が興奮気味に声を上げる。
「だから特賞なんだろうな。ガチャの結果が分かるまでのタメも、一度目より二度目の方が長かった気がする」
「つまり最初の+5はハズレってこと?」
「何でしょうか。阿久津さんのスキルがこの中で一番の当たりの気がしますわ!」
杜若さんは、手を叩きながら微笑む。
いやいや、それは言いすぎだろ。
でも褒められたら嬉しいのは事実だ。
俺もつい得意げな表情になる。
「そんなことも……あるかな?」
「もう、雄介ってば単純なんだから」
「それでも、このガチャは私たちにとっての希望よ?」
「そうね、頑張ろうという気持ちになります」
突っ込みを入れる薫も、委員長たちもどこか晴れやかな顔をしていた。
最後の最後で、俺にも見せ場のチャンスが巡ってきたことと、数値の上がったステータスボードに、俺は満足する。
画面上の数値はこんな感じになっていた。
〈ステータス〉
ユウスケ・アクツ
15歳 男 天性:ガチャLv1
筋力:10【+55】
耐久:8【+50】
敏捷:4
器用:12
賢さ:6
精神:20
幸運:5
〈スキル〉
◎ステータスガチャ
ステータス、特に敏捷が上がったことで移動スピードが向上し、俺たちは日が暮れる前に城に戻って来られた。
行きは二時間近くかかったのに、まさか半分ちょっとの時間で帰れるとは思わなかった。
丁度クラスメイトが訓練から戻ってくる時間と重なり、一緒に大部屋に戻る。
部屋に着くと、訓練を終えたメンバーを労いながら、今日の大冒険を語った。
ひとしきり話し終えると、木下という男が聞き返してきた。
野球部員で、『全属性魔法使い』という夢のある天性を授かった、レギュラー上位勢だ。
「じゃあ、阿久津はガチャを回すだけで楽々ステータスをアップできるってわけか」
「そんな感じ」
そこで薫が話に加わってくる。
「でも、すごいのはそこじゃないんだよね?」
「他にもあるのか?」
そこで俺はドヤ顔で木下に言い放つ。
「実はな、このスキル。回した時にいた全員に効果が反映されるみたいなんだ!」
「なっ!?」
流石の木下も驚いたらしい。
思っていた以上に大きな声になっていたようで、周囲の男子がチートじゃないかと集まってきた。
じゃあ俺たちにも使ってくれよ、というみんなの声を遮りながら、実はデメリットもあると付け足した。
「でも一回まわすのに銅貨が必要でさ。今回は自分たちのために使っちまったんで、手持ちはないんだ」
「それは残念だな」
だが言葉で言うほど残念がっていない様子の木下と他の男子陣を見て、俺は違和感を覚えた。
お金が必要とはいえ、ステータスが上がるんだぞ?
どんな天性を持っている人にとっても、便利なスキルだと思うんだが……
そこで、三上が俺たちのところにやってきた。
「話は分かった。でもそれは阿久津たちのためだけに使ってくれ」
先に風呂をいただいたのか湯上がりの三上が、体操着の隙間から見える引き締まった筋肉を見せつけながら、こっちは自分たちで頑張るからと言い出した。
普段だったら引き下がるところだが、ようやく手に入れたかもしれない役に立てるチャンスだ。
自分の居場所がなくなった気がして、俺は三上に食ってかかる。
「でもよ、苦労せずステータスが手に入るんだぜ?」
「たしかにそれはすごいが……俺たちはすでにもっと先に進んでいる。阿久津の気持ちも分かるけどさ、今の俺たちには雀の涙もいいところなんだ」
「え?」
三上の言葉が頭に入ってこない。
50も一気に上がるスキルが雀の涙!? 数を回せば三桁……四桁だって夢じゃない。
そう俺が語る前に、三上はさっさと自分の寝床に行ってしまった。
立ち去る三上を見送る俺を木下が慰める。
「ま、お前の気持ちも分かるけどさ。こればかりは三上の言っている通りなんだ」
「そんなにお前たちのステータスは高いのか?」
「ああ、三上と俺とじゃ伸びしろに違いこそあるが、阿久津が言う50や100程度じゃ成長補正で賄えるんだ」
「そんな……木下は今どれくらいあるんだ?」
「俺か? 俺は……」
そこで明らかになったのは、俺たちでは到底及ばないだろうステータスの高さ。
話を聞けば、初期値の段階で俺たちの平均が一桁、多くて二桁だというのに、木下は三桁だったという。
三上に至っては四桁からスタートしているらしい。
そしてレベルが上昇すればするほど、天性に応じたステータス補正が加わり、木下もすでに四桁まで上がっているらしい。
しかも彼らはそれを自慢ではなく、当たり前として扱っている。
そんな状況であれば、俺の能力をありがたがらないのは当たり前だった。
話を聞いていた他のクラスメイトも、夢から覚めたように俺の前から去っていく。
結局、俺は天性が使えるようになった後も、自分が活躍できる場所を得ることはできなかった。
前と同じ役立たずなのには変わりなかったが、一度上げてから落とされた分、ショックはより大きかった。
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