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1巻
1-3
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そして翌日。
訓練に行くクラスメイトを見送った後、俺と薫が外に通じる門の前に向かうと、委員長と杜若さんが落ち込んだ様子で待機していた。
連絡を取り合っていたわけではなかったが、考えることは同じだったらしい。
俺たちと同じように、女子グループの方でも現実を突きつけられたのだろうか。
俺は重い空気を吹き飛ばすように、三人に向けて声をかける。
「とりあえずさ、気晴らしに外でも行く?」
「そうね」
「賛成」
「お供いたしますわ」
委員長たちは低いテンションのまま、それぞれ返事をくれた。
歩いている間、誰も一言も発しなかった。
だが三人の目からは、何がなんでも今より強くなってやろうという熱い気持ちを強く感じた。
街に着くなり、何かお金を手に入れる術はないかと辺りを見回す。
委員長たちも周囲を散策しながら、稼ぐ手段を探してあれこれ話し合っていた。
しばらく街を歩き回ったが、そう簡単に見つかるわけもなく、俺たちは途方に暮れた。
四人で円になって、ここからどうするか考えていると、ふと思いついたように委員長が口を開いた。
「何か商売でも始めてみたらどうかしら?」
「どうやってさ?」
その呟きに薫が問い返す。
「私が売れそうなものを〈鑑定〉し、冴島君が販売する。そしてその儲けで阿久津君がガチャを回して、私たちのステータスに変換する。能力値を底上げすることでスキルが強化されれば、また商売の効果もグーンとアップ。どうかしら?」
「それは名案だけど、上手くいくかな?」
薫は少し心配そうな表情をしていた。
「騒ぎになりそうだったら、杜若さんの〈精神安定〉の出番ね」
「それは……わたくしの出番がないことを祈るばかりですわ」
杜若さんは困り顔になった。
だが、委員長の案を試す価値があるという意見でみんな一致した。
結局、自ら動かない限りは金を得られることなんてないのだ。
まずは売るものを探すべく行動を開始する。
街角に落ちているものを〈鑑定〉し、商品になりそうなものを集めていく。
しかし思ったほどの成果は出なかった。
「分かっていたけど、売れそうな物は落ちてないわね」
「だね。そもそもそんなのがあったら他の誰かが使っていると思うよ?」
「そうよね」
委員長が疲れた表情を浮かべた。
そこで俺は異世界召喚ものの定番を思い出す。
「たしか異世界では、俺たちのような無職にモンスター討伐などの仕事を斡旋してくれる冒険者ギルドという場所があったはずだ」
なんとなく発した言葉を杜若さんが拾う。
「モンスター討伐ですか。ステータスの低いわたくしたちはあまり関わり合いになりたくない場所ですわね」
「そうは言っても、俺たちには他に道がないからな。クラスメイトからあまり離されたくないのもあるが、それ以上に俺たちの待遇がこのままずっと続くのか分からない」
「それはどういうこと?」
薫が不思議そうに聞き返した。
俺は、水野がよく話しているこういう時のお約束を語る。
「無能という扱いになると、追放されたり、有事の際の囮に使われたりするかもしれない」
俺の言葉に、三人が息を呑む。
この世界に関して言えば、そんなことはないかもしれない。
だが用心だけはしておいて損はないはずだ。
俺の言葉に三人が納得し、みんなは揃って冒険者ギルドへ向かうことにした。
人伝に冒険者ギルドの場所を聞き、無事目的地に辿り着く。
「本日はどのようなご利用で?」
俺たちが受付の前に立つと、猫耳のお姉さんが優しい口調で尋ねる。
交渉は口達者な薫に任せることに決めていた。
「はい。実は僕たち、早急にお金が必要でして……しかし先立つものがなく、ここで仕事を案内してもらえると聞いて来たんです」
流石に転移者の身分を明かすわけにいかないと思ったのか、薫が上手く説明してくれる。
その演技力でお姉さんはすっかり信用したようだ。
親身になって俺たちの話を聞いてくれる。
ナイス薫。
「なるほど。そういうことでしたか。登録でしたら、ライセンス発行に銀貨を一枚いただくことになっていますが……」
「あ……今持ち合わせがなくて」
「もちろん後払いでも構いませんが、その場合はライセンスの使用期間が設定されてしまいます。よろしいですか?」
「どれほどの期間になるのでしょうか?」
「十日間ですね。それまでに銀貨を一枚稼げれば、引き続きライセンスを利用していただくことができます」
十日か……どのような仕事が割り当てられるかを体験できる、まさにお試しのようなものか。
振り向いて確認する薫に、俺たちは頷いて同意する。
「それで構いません。無料期間中は何か制約はありますか?」
「そうですね。Fランクの依頼ですと、達成報酬から一割減です。そちらはアクシデントの対応処理、依頼未達成の時の手数料となっております。そこから銀貨の分の割り当てを幾ら支払うかを要相談という形になります」
「なるほど。了承しました。それで、どういう仕事があるのか見せていただいてもよろしいですか?」
流石は薫だ。
俺だったらここまですらすらと話せそうな気がしない。
そんなことを考えていると、薫は依頼の紙を持って俺たちのもとに戻ってきた。
それなりに危険の少ない薬草採取の依頼を受けたようだ。
ついでとばかりに、薫は採取道具を借りてくれていた。
採取したものを入れる鞄に手袋、採取用の鋏である。
銅貨十五枚相当の借金になるが、買って揃えるともっと高いらしく、必要経費だと割り切ることにした。
武器らしい武器を持っておらず、インドア派の四人組なので、モンスターが出たらダッシュで街に帰ることを共通認識として、採取に向かった。
採取先の森に着くと、委員長の〈鑑定〉が大活躍した。
採取対象であるヒール草の良し悪しを判別するだけでなく、採取の適切なやり方まで知ることができた。
今回の依頼での委員長の貢献度は計り知れない。
サクッと採取を終え、俺たち四人は依頼達成の報告をしにギルドへと戻った。
「もう帰って来たのですか! 初めてとは思えない手際の良さですね。では納品素材を確認します。はい……はい、確かに」
受付のお姉さんはそう言ってヒール草を受け取ってから、皿の上に銅貨を置き、俺たちに渡す。
「では、報酬が銅貨五十枚になります。このまま受け取りますか? それともライセンス維持のための費用に回しますか?」
色々と考えた結果、俺たちはそれをそのまま受け取ることにした。
ただでさえ金に困っているのだ。
駆け出し冒険者としてスタートするためにも、まずはステータスを上げたい。
4 ステータス祭り!
ギルドから出ると、委員長が満足げな表情で口を開く。
「思ったより上手く稼げたわね」
「それもこれも、冒険者ギルドの無料体験制度があったからこそだよね」
「俺だったら、そんな情報を聞き出す前に、受付の人と上手く話せずに諦めてたと思うわ。そういう意味じゃ、薫の大金星だよ」
「褒めたって何も出ないよ?」
冒険者としての初仕事が思いのほか上手くいったことに、俺と薫は浮かれた気持ちになる。
そんな俺たちに、杜若さんが一言。
「これから商売を始めるのでしょう?」
その言葉で我に帰り、俺は咳払いをする。
「そうだった。今回の依頼は薬草が十束で銅貨五十枚。俺たちはギルドに卸す分より多めに、商売に使う用のヒール草を採取してきた。そこまではいいか?」
最初にこの案を思いついたのは委員長だ。
俺に続いて薫が話し始める。
「ここからは僕と錦さんの出番だね。それで錦さん、冒険者ギルドのお姉さんの査定について、どう思った?」
「そうね、私が〈鑑定〉で得られる情報は、この世界の一般的な情報までってことは分かったわ」
委員長の言葉に、俺は少し引っかかりを覚える。
「つまり?」
「この前のアポーのように世界全体で共有されている情報は分かっても、地域単位で変動する情報は得られないかもしれないわ。特に商売での相場なんて水物でしょ? 売るにしたって、他の商売と競合せずに、どこでも満遍なく需要がある商品を選んだ方がいいかもしれないわね」
「薫、委員長が何言ってるか分かるか?」
俺は委員長の言葉を最後まで聞いてから、薫に尋ねる。
「そうだね。たとえば雨がすごく降る地域と全く降らない地域で傘を売った場合、どっちの方が儲けが出ると思う?」
「そりゃ……雨降ってる方……ってそういうことか。実際にヒール草をどれくらい必要としているかが街によって微妙に違っているんだな?」
「その通りよ。ごめんなさい、難しい言葉を使った覚えはなかったのだけど」
「ああ、いや。いまいちピンとこなくてさ。もうすっかり理解したから、先に進んで大丈夫だぞ」
ちなみに分かってるフリだ。
こういうのは情報を扱う本人が把握していれば良いからな。
それを俺に求められても困るってもんだぜ。
「他の露店を見た限りでは、ヒール草の売値はピンキリだったな」
「薄利多売に重点を置くか、品質をよくして値段を上げているってところかしら?」
委員長はしきりに頷きながら、平均よりも少し低めに値段を設定した。
「いいのか、儲けが低くなっても?」
「売れ残っても荷物になるでしょ? だったら安くても手元に銅貨を残す方が良いわ。銅貨になるのなら、それは阿久津君のスキルでステータスに変換できるもの」
「そういうもんか」
たしかに王宮への行き来に荷物は少ない方がいいもんな。
それ以前に、この草が日持ちする確証もない。
売れるうちに売ってしまいたい委員長の気持ちも分かるというものだ。
委員長の予想は的中したようで、見事に薬草は売り切れ。
俺たちは追加で銅貨七十五枚を手に入れた。
これで銅貨は合計百二十五枚。
つまり言い方を変えれば、銀貨が一枚に銅貨二十五枚だ。
「じゃあ、この銅貨百枚は次の活動資金にするとして、二十五枚は回しちゃっていいかな?」
俺が聞くと、期待に胸を膨らませる三人。
「「「賛成!」」」
そこで、委員長が俺に確認する。
「全部スカでも100ちょっと増えるのよね?」
「同じのが重なればな」
三人の顔を明るくするかどうかは、俺のガチャ運にかかっていた。
十枚ほど銅貨を投入したところで、画面にメッセージが現れる。
〈銅貨を十枚以上確認しました〉
〈条件を達成しました〉
〈ステータス十一連ガチャが回せるようになりました〉
そんな表示だった。
俺の手が止まったのを見て、薫が声をかけてくる。
「どうしたの、雄介? スカ引いちゃった?」
「いやさ、銅貨十枚で十一連ガチャが回せるって表示が出たんだ」
「十一連! 一回分お得なんだ。良いんじゃない?」
薫と俺のやり取りを聞いて、委員長と杜若さんが近寄ってくる。
「抽選確率は上がったりするのかしら?」
「そういう記載が何もないから怖くてさ。だから一応聞いてみた。どうかな?」
「今は藁にもすがる思いですし、わたくしも一回でもお得な方が嬉しいです」
「じゃあ全員賛成ってことで、回すぞ!」
ガチャがぐるぐると回り始める。
どれだけ待っても派手な演出は入らず。しかし十一個目に銀色のカプセルが出た。
今回は賢さ祭り――賢さのステータスがとにかく上がった。最後に引き当てた一等も、賢さの底上げだった。
今回の結果から、ガチャの等級ごとにステータス単体の伸びが良くなり、複数のステータスが一度に上がることが分かった。
隣では、杜若さんがあまりのステータスの上昇ぶりに瞳を輝かせている。
「すごい、全てのステータスが二桁になりましたわ!」
ようやく全てのステータスが一桁台から脱却した。
そして元の数値が高かった場合は三桁の数値も夢じゃなかっただろう。
まだ底辺ではあるが、クラスメイトたちの背中が見えて来た気分だった。
「喜ぶのは早いぞ、みんな。まだもう一度十一連が回せる! それに一発勝負も五回ある。ワクワクして来ただろう?」
「雄介最高!」
「阿久津君、次も頼むわよ!」
「阿久津さんなら最高の結果を出せると信じていますわ」
一度目の十一連でほとんどスカを引いたのにもかかわらずこれだけ頼られているのは、元のステータスが泣けるほどに低いからだった。
みんなの期待が高まる中、俺はえいやとガチャを回す。
なかなか当たりの演出が出ないまま――しかし最後にカットインの「!?」が入り、再抽選。
特殊演出よ来いと祈りながら抽選を待つ。
すると土壇場で願いが叶ったのか、うさぎの耳をした少女の映像が出てきて、金色のカプセルを俺たちのもとに届けてくれた。
〈特賞:敏捷+50、器用+50〉
「おっしゃ、特賞来た!」
「ヒャッホー! 雄介最高!」
薫がその場で跳ねた。
「ナイスですわ」
「他には?」
杜若さんと委員長も俺の近くに寄ってくる。
「待ってくれ、今確認する」
再抽選されたおかげか、不思議なことに五等を見かけなかった。
元のステータスも含めれば全体的に50を超えたってところだ。筋力に至っては初の三桁達成!
クラスメイトには及ばないものの、最初の数値のおよそ十倍。
これがガチャを回しただけで手に入ったと言うのだから驚きだ。
「これ、本当に僕のステータス? 夢じゃないよね?」
「やっぱ特賞が出たのがデカイな。俺、筋力だけなら100だぜ。元が10しかなかったのにさ」
「わたくしは賢さと精神が三桁になりましたわ」
杜若さんも100超えが出たようだ。
しかし俺も精神は高い方だと思ったが、この補正で100を超えるあたり元の数値がだいぶ高いんだろうな。
「私は賢さが150、器用さが120になったわ」
「僕は精神と幸運が150になったよ!」
俺の報告を受けてか、次々と100超えの声が上がる。
「さて、しかしまだ五回あるぜ。流石に特賞はもう来ないだろうけど、スカでも十分。いくぜ! 俺たちの力になってくれ!」
そいや!
気合十分で回した一回目は――
〈三等:幸運+15〉
二回目も――
〈三等:敏捷+15〉
「あれ?」
俺の反応に委員長が問いかける。
「どうしたの、阿久津君?」
「いや、連続で三等が出て戸惑ってる」
「等級だけ言われても分からないわよ」
「ああ、そっか。三等は+15だな」
俺と委員長の話に杜若さんが加わる。
「それは良いことではないのでしょうか?」
「良いことなんだけど、五等や四等を一切見かけないというのが俺の中では珍しくてさ」
「雄介の幸運は前と比べてどうなってる?」
何かに気付いたように俺に薫が質問する。
ん? なんでそこで俺の幸運が出てくるんだ。
たしか50は超えたが……って、そういうことか!
幸運が高くなったおかげでガチャの配当率が変わった!?
だとすれば、俺たちのステータスの伸び幅は今後高くなりっぱなしじゃないか?
「高くなってるよね?」
薫が再度確認してくる。
「ああ、だからなのか?」
「分からないけど、そう考えた方が理解しやすくない?」
「だな」
そのあと三回連続三等が出て、思わず変な笑いがこぼれそうになる。
これって最低保証で三等が出るということだろうか?
なんにせよ、気持ちのいい帰還になるのは間違いない。
さっきまで100超えが少なくて鬱屈していた気持ちが嘘のように吹き飛んだ。
気がつけば100超えのステータスが三つに増えてるではないか。
三等が最低保証ってやばすぎない?
「いやー、なんか楽しくなってきたね」
「ですわね。阿久津さんのおかげでやれることがどんどんと増えていきそうで、ほんと感謝しかありません」
杜若さんがペコリと俺に頭を下げる。
「そんな、俺なんてガチャを回しただけだぜ?」
俺がそう言うと、薫が肩を叩く。
「でも、ガチャを回せるのは現状雄介しかいないわけだし? そこは誇ってもいいんじゃない?」
「そうか。ならその感謝はありがたく受け取っておこうかな」
「ええ、そうしてください」
「私からも感謝しとくわ。ありがとね、阿久津君。おかげで商売でもっと稼いでやろうって気持ちが湧いてきた。レギュラーのみんなに負けてられないわよ。ね、冴島君?」
「だね!」
そう言って意気揚々と俺たちは城に帰還した。
クラスのみんなに外での出来事を話し、冒険者ギルドへの裏口登録の仕方や、ヒール草は実は納品するより露店売りの方が儲けが大きいことを語ると、なるほど~と声が上がる。
クラスメイトたちは戦う力こそ大きいが、それ以外の日常がどうなっているかなどの情報に飢えている。
受付のお姉さんが猫耳だったことを語ったら、可愛いかどうかに話題は移り、男たちの大部屋は盛り上がるのだった。
翌日、結局ステータスが上昇してもクラスメイトのように戦闘スキルがなければ戦えないと結論を出した俺たちは、昨日の帰りに話し合った通り冒険者ギルドに足を向けた。
徒歩五分。
初日に二時間以上かけた距離とは思えぬ速度でギルドに到着。
筋力や耐久力、敏捷の伸び率が、ここまで日常に差をつけるのだ。
ステータスが四桁になったクラスメイトからしたら、俺たちの動きなんて遅すぎてあくびが出るくらいかもしれない。
そう考えると、俺のガチャの恩恵が彼らに鼻で笑われてしまうのも納得だった。
昨日より速いスピードでギルドに到着したことに困惑しつつ、受付のお姉さんに昨日と同じく採取依頼を頼んだ。
武器も戦闘スキルも無いので討伐依頼は難しそうだというのが、俺たちの見解だった。
無理は禁物だ。
クラスメイトが気を遣うレベルということは、この世界においても弱いということだしな。
「ヒール草の他にポイゾナの根、パライズの花の受注でよろしいですか?」
「お願いします!」
「では、ポイゾナの根の採取ポイントだけお教えしますね──」
お姉さんはそう言って、昨日高品質のヒール草を納品した俺たちの実力を評価してくれたのか、採取ポイント以外にも俺たちに追加のアドバイスをくれた。
要約すると、良い品質のものを持ってきてくれたら、それに応じて色をつけるという話だった。
その言葉を聞いた後、薫が俺だけに見えるように怪訝そうな表情をする。
お姉さんに断りを入れつつ、俺は薫を連れてその場を離れた。
「なんであんなリアクションしたんだ」
薫は俺の質問に指を一本立てた。
「あのお姉さん、どうにも信用ならないんだよね」
「気になるところがあったのか?」
「初回じゃなくて二度目の依頼で高値で買い取る話をするあたり、今のうちに僕たちに唾をつけておこうっていう感じがねぇ」
薫的には情報の後出しが引っかかったようだ。
そこまで話したところで、俺らの動きが気になって付いて来た委員長が口を挟む。
「単純に最初はギルドの規定額を伝えただけじゃない? その後ギルド内でその品質の高さが証明されたから、ちゃんと品質に見合った金額で取引するようお達しが出たとか……」
「そういうもんか……あれ、そういえば杜若さんは?」
受付に目を向けると、お姉さんと会話をする彼女の姿があった。
どうやら俺たちが全員で離れると失礼だと思い、残ってくれたらしい。
すぐに受付に戻り、その後もお姉さんと少し話すと、四人揃ってギルドを後にする。
訓練に行くクラスメイトを見送った後、俺と薫が外に通じる門の前に向かうと、委員長と杜若さんが落ち込んだ様子で待機していた。
連絡を取り合っていたわけではなかったが、考えることは同じだったらしい。
俺たちと同じように、女子グループの方でも現実を突きつけられたのだろうか。
俺は重い空気を吹き飛ばすように、三人に向けて声をかける。
「とりあえずさ、気晴らしに外でも行く?」
「そうね」
「賛成」
「お供いたしますわ」
委員長たちは低いテンションのまま、それぞれ返事をくれた。
歩いている間、誰も一言も発しなかった。
だが三人の目からは、何がなんでも今より強くなってやろうという熱い気持ちを強く感じた。
街に着くなり、何かお金を手に入れる術はないかと辺りを見回す。
委員長たちも周囲を散策しながら、稼ぐ手段を探してあれこれ話し合っていた。
しばらく街を歩き回ったが、そう簡単に見つかるわけもなく、俺たちは途方に暮れた。
四人で円になって、ここからどうするか考えていると、ふと思いついたように委員長が口を開いた。
「何か商売でも始めてみたらどうかしら?」
「どうやってさ?」
その呟きに薫が問い返す。
「私が売れそうなものを〈鑑定〉し、冴島君が販売する。そしてその儲けで阿久津君がガチャを回して、私たちのステータスに変換する。能力値を底上げすることでスキルが強化されれば、また商売の効果もグーンとアップ。どうかしら?」
「それは名案だけど、上手くいくかな?」
薫は少し心配そうな表情をしていた。
「騒ぎになりそうだったら、杜若さんの〈精神安定〉の出番ね」
「それは……わたくしの出番がないことを祈るばかりですわ」
杜若さんは困り顔になった。
だが、委員長の案を試す価値があるという意見でみんな一致した。
結局、自ら動かない限りは金を得られることなんてないのだ。
まずは売るものを探すべく行動を開始する。
街角に落ちているものを〈鑑定〉し、商品になりそうなものを集めていく。
しかし思ったほどの成果は出なかった。
「分かっていたけど、売れそうな物は落ちてないわね」
「だね。そもそもそんなのがあったら他の誰かが使っていると思うよ?」
「そうよね」
委員長が疲れた表情を浮かべた。
そこで俺は異世界召喚ものの定番を思い出す。
「たしか異世界では、俺たちのような無職にモンスター討伐などの仕事を斡旋してくれる冒険者ギルドという場所があったはずだ」
なんとなく発した言葉を杜若さんが拾う。
「モンスター討伐ですか。ステータスの低いわたくしたちはあまり関わり合いになりたくない場所ですわね」
「そうは言っても、俺たちには他に道がないからな。クラスメイトからあまり離されたくないのもあるが、それ以上に俺たちの待遇がこのままずっと続くのか分からない」
「それはどういうこと?」
薫が不思議そうに聞き返した。
俺は、水野がよく話しているこういう時のお約束を語る。
「無能という扱いになると、追放されたり、有事の際の囮に使われたりするかもしれない」
俺の言葉に、三人が息を呑む。
この世界に関して言えば、そんなことはないかもしれない。
だが用心だけはしておいて損はないはずだ。
俺の言葉に三人が納得し、みんなは揃って冒険者ギルドへ向かうことにした。
人伝に冒険者ギルドの場所を聞き、無事目的地に辿り着く。
「本日はどのようなご利用で?」
俺たちが受付の前に立つと、猫耳のお姉さんが優しい口調で尋ねる。
交渉は口達者な薫に任せることに決めていた。
「はい。実は僕たち、早急にお金が必要でして……しかし先立つものがなく、ここで仕事を案内してもらえると聞いて来たんです」
流石に転移者の身分を明かすわけにいかないと思ったのか、薫が上手く説明してくれる。
その演技力でお姉さんはすっかり信用したようだ。
親身になって俺たちの話を聞いてくれる。
ナイス薫。
「なるほど。そういうことでしたか。登録でしたら、ライセンス発行に銀貨を一枚いただくことになっていますが……」
「あ……今持ち合わせがなくて」
「もちろん後払いでも構いませんが、その場合はライセンスの使用期間が設定されてしまいます。よろしいですか?」
「どれほどの期間になるのでしょうか?」
「十日間ですね。それまでに銀貨を一枚稼げれば、引き続きライセンスを利用していただくことができます」
十日か……どのような仕事が割り当てられるかを体験できる、まさにお試しのようなものか。
振り向いて確認する薫に、俺たちは頷いて同意する。
「それで構いません。無料期間中は何か制約はありますか?」
「そうですね。Fランクの依頼ですと、達成報酬から一割減です。そちらはアクシデントの対応処理、依頼未達成の時の手数料となっております。そこから銀貨の分の割り当てを幾ら支払うかを要相談という形になります」
「なるほど。了承しました。それで、どういう仕事があるのか見せていただいてもよろしいですか?」
流石は薫だ。
俺だったらここまですらすらと話せそうな気がしない。
そんなことを考えていると、薫は依頼の紙を持って俺たちのもとに戻ってきた。
それなりに危険の少ない薬草採取の依頼を受けたようだ。
ついでとばかりに、薫は採取道具を借りてくれていた。
採取したものを入れる鞄に手袋、採取用の鋏である。
銅貨十五枚相当の借金になるが、買って揃えるともっと高いらしく、必要経費だと割り切ることにした。
武器らしい武器を持っておらず、インドア派の四人組なので、モンスターが出たらダッシュで街に帰ることを共通認識として、採取に向かった。
採取先の森に着くと、委員長の〈鑑定〉が大活躍した。
採取対象であるヒール草の良し悪しを判別するだけでなく、採取の適切なやり方まで知ることができた。
今回の依頼での委員長の貢献度は計り知れない。
サクッと採取を終え、俺たち四人は依頼達成の報告をしにギルドへと戻った。
「もう帰って来たのですか! 初めてとは思えない手際の良さですね。では納品素材を確認します。はい……はい、確かに」
受付のお姉さんはそう言ってヒール草を受け取ってから、皿の上に銅貨を置き、俺たちに渡す。
「では、報酬が銅貨五十枚になります。このまま受け取りますか? それともライセンス維持のための費用に回しますか?」
色々と考えた結果、俺たちはそれをそのまま受け取ることにした。
ただでさえ金に困っているのだ。
駆け出し冒険者としてスタートするためにも、まずはステータスを上げたい。
4 ステータス祭り!
ギルドから出ると、委員長が満足げな表情で口を開く。
「思ったより上手く稼げたわね」
「それもこれも、冒険者ギルドの無料体験制度があったからこそだよね」
「俺だったら、そんな情報を聞き出す前に、受付の人と上手く話せずに諦めてたと思うわ。そういう意味じゃ、薫の大金星だよ」
「褒めたって何も出ないよ?」
冒険者としての初仕事が思いのほか上手くいったことに、俺と薫は浮かれた気持ちになる。
そんな俺たちに、杜若さんが一言。
「これから商売を始めるのでしょう?」
その言葉で我に帰り、俺は咳払いをする。
「そうだった。今回の依頼は薬草が十束で銅貨五十枚。俺たちはギルドに卸す分より多めに、商売に使う用のヒール草を採取してきた。そこまではいいか?」
最初にこの案を思いついたのは委員長だ。
俺に続いて薫が話し始める。
「ここからは僕と錦さんの出番だね。それで錦さん、冒険者ギルドのお姉さんの査定について、どう思った?」
「そうね、私が〈鑑定〉で得られる情報は、この世界の一般的な情報までってことは分かったわ」
委員長の言葉に、俺は少し引っかかりを覚える。
「つまり?」
「この前のアポーのように世界全体で共有されている情報は分かっても、地域単位で変動する情報は得られないかもしれないわ。特に商売での相場なんて水物でしょ? 売るにしたって、他の商売と競合せずに、どこでも満遍なく需要がある商品を選んだ方がいいかもしれないわね」
「薫、委員長が何言ってるか分かるか?」
俺は委員長の言葉を最後まで聞いてから、薫に尋ねる。
「そうだね。たとえば雨がすごく降る地域と全く降らない地域で傘を売った場合、どっちの方が儲けが出ると思う?」
「そりゃ……雨降ってる方……ってそういうことか。実際にヒール草をどれくらい必要としているかが街によって微妙に違っているんだな?」
「その通りよ。ごめんなさい、難しい言葉を使った覚えはなかったのだけど」
「ああ、いや。いまいちピンとこなくてさ。もうすっかり理解したから、先に進んで大丈夫だぞ」
ちなみに分かってるフリだ。
こういうのは情報を扱う本人が把握していれば良いからな。
それを俺に求められても困るってもんだぜ。
「他の露店を見た限りでは、ヒール草の売値はピンキリだったな」
「薄利多売に重点を置くか、品質をよくして値段を上げているってところかしら?」
委員長はしきりに頷きながら、平均よりも少し低めに値段を設定した。
「いいのか、儲けが低くなっても?」
「売れ残っても荷物になるでしょ? だったら安くても手元に銅貨を残す方が良いわ。銅貨になるのなら、それは阿久津君のスキルでステータスに変換できるもの」
「そういうもんか」
たしかに王宮への行き来に荷物は少ない方がいいもんな。
それ以前に、この草が日持ちする確証もない。
売れるうちに売ってしまいたい委員長の気持ちも分かるというものだ。
委員長の予想は的中したようで、見事に薬草は売り切れ。
俺たちは追加で銅貨七十五枚を手に入れた。
これで銅貨は合計百二十五枚。
つまり言い方を変えれば、銀貨が一枚に銅貨二十五枚だ。
「じゃあ、この銅貨百枚は次の活動資金にするとして、二十五枚は回しちゃっていいかな?」
俺が聞くと、期待に胸を膨らませる三人。
「「「賛成!」」」
そこで、委員長が俺に確認する。
「全部スカでも100ちょっと増えるのよね?」
「同じのが重なればな」
三人の顔を明るくするかどうかは、俺のガチャ運にかかっていた。
十枚ほど銅貨を投入したところで、画面にメッセージが現れる。
〈銅貨を十枚以上確認しました〉
〈条件を達成しました〉
〈ステータス十一連ガチャが回せるようになりました〉
そんな表示だった。
俺の手が止まったのを見て、薫が声をかけてくる。
「どうしたの、雄介? スカ引いちゃった?」
「いやさ、銅貨十枚で十一連ガチャが回せるって表示が出たんだ」
「十一連! 一回分お得なんだ。良いんじゃない?」
薫と俺のやり取りを聞いて、委員長と杜若さんが近寄ってくる。
「抽選確率は上がったりするのかしら?」
「そういう記載が何もないから怖くてさ。だから一応聞いてみた。どうかな?」
「今は藁にもすがる思いですし、わたくしも一回でもお得な方が嬉しいです」
「じゃあ全員賛成ってことで、回すぞ!」
ガチャがぐるぐると回り始める。
どれだけ待っても派手な演出は入らず。しかし十一個目に銀色のカプセルが出た。
今回は賢さ祭り――賢さのステータスがとにかく上がった。最後に引き当てた一等も、賢さの底上げだった。
今回の結果から、ガチャの等級ごとにステータス単体の伸びが良くなり、複数のステータスが一度に上がることが分かった。
隣では、杜若さんがあまりのステータスの上昇ぶりに瞳を輝かせている。
「すごい、全てのステータスが二桁になりましたわ!」
ようやく全てのステータスが一桁台から脱却した。
そして元の数値が高かった場合は三桁の数値も夢じゃなかっただろう。
まだ底辺ではあるが、クラスメイトたちの背中が見えて来た気分だった。
「喜ぶのは早いぞ、みんな。まだもう一度十一連が回せる! それに一発勝負も五回ある。ワクワクして来ただろう?」
「雄介最高!」
「阿久津君、次も頼むわよ!」
「阿久津さんなら最高の結果を出せると信じていますわ」
一度目の十一連でほとんどスカを引いたのにもかかわらずこれだけ頼られているのは、元のステータスが泣けるほどに低いからだった。
みんなの期待が高まる中、俺はえいやとガチャを回す。
なかなか当たりの演出が出ないまま――しかし最後にカットインの「!?」が入り、再抽選。
特殊演出よ来いと祈りながら抽選を待つ。
すると土壇場で願いが叶ったのか、うさぎの耳をした少女の映像が出てきて、金色のカプセルを俺たちのもとに届けてくれた。
〈特賞:敏捷+50、器用+50〉
「おっしゃ、特賞来た!」
「ヒャッホー! 雄介最高!」
薫がその場で跳ねた。
「ナイスですわ」
「他には?」
杜若さんと委員長も俺の近くに寄ってくる。
「待ってくれ、今確認する」
再抽選されたおかげか、不思議なことに五等を見かけなかった。
元のステータスも含めれば全体的に50を超えたってところだ。筋力に至っては初の三桁達成!
クラスメイトには及ばないものの、最初の数値のおよそ十倍。
これがガチャを回しただけで手に入ったと言うのだから驚きだ。
「これ、本当に僕のステータス? 夢じゃないよね?」
「やっぱ特賞が出たのがデカイな。俺、筋力だけなら100だぜ。元が10しかなかったのにさ」
「わたくしは賢さと精神が三桁になりましたわ」
杜若さんも100超えが出たようだ。
しかし俺も精神は高い方だと思ったが、この補正で100を超えるあたり元の数値がだいぶ高いんだろうな。
「私は賢さが150、器用さが120になったわ」
「僕は精神と幸運が150になったよ!」
俺の報告を受けてか、次々と100超えの声が上がる。
「さて、しかしまだ五回あるぜ。流石に特賞はもう来ないだろうけど、スカでも十分。いくぜ! 俺たちの力になってくれ!」
そいや!
気合十分で回した一回目は――
〈三等:幸運+15〉
二回目も――
〈三等:敏捷+15〉
「あれ?」
俺の反応に委員長が問いかける。
「どうしたの、阿久津君?」
「いや、連続で三等が出て戸惑ってる」
「等級だけ言われても分からないわよ」
「ああ、そっか。三等は+15だな」
俺と委員長の話に杜若さんが加わる。
「それは良いことではないのでしょうか?」
「良いことなんだけど、五等や四等を一切見かけないというのが俺の中では珍しくてさ」
「雄介の幸運は前と比べてどうなってる?」
何かに気付いたように俺に薫が質問する。
ん? なんでそこで俺の幸運が出てくるんだ。
たしか50は超えたが……って、そういうことか!
幸運が高くなったおかげでガチャの配当率が変わった!?
だとすれば、俺たちのステータスの伸び幅は今後高くなりっぱなしじゃないか?
「高くなってるよね?」
薫が再度確認してくる。
「ああ、だからなのか?」
「分からないけど、そう考えた方が理解しやすくない?」
「だな」
そのあと三回連続三等が出て、思わず変な笑いがこぼれそうになる。
これって最低保証で三等が出るということだろうか?
なんにせよ、気持ちのいい帰還になるのは間違いない。
さっきまで100超えが少なくて鬱屈していた気持ちが嘘のように吹き飛んだ。
気がつけば100超えのステータスが三つに増えてるではないか。
三等が最低保証ってやばすぎない?
「いやー、なんか楽しくなってきたね」
「ですわね。阿久津さんのおかげでやれることがどんどんと増えていきそうで、ほんと感謝しかありません」
杜若さんがペコリと俺に頭を下げる。
「そんな、俺なんてガチャを回しただけだぜ?」
俺がそう言うと、薫が肩を叩く。
「でも、ガチャを回せるのは現状雄介しかいないわけだし? そこは誇ってもいいんじゃない?」
「そうか。ならその感謝はありがたく受け取っておこうかな」
「ええ、そうしてください」
「私からも感謝しとくわ。ありがとね、阿久津君。おかげで商売でもっと稼いでやろうって気持ちが湧いてきた。レギュラーのみんなに負けてられないわよ。ね、冴島君?」
「だね!」
そう言って意気揚々と俺たちは城に帰還した。
クラスのみんなに外での出来事を話し、冒険者ギルドへの裏口登録の仕方や、ヒール草は実は納品するより露店売りの方が儲けが大きいことを語ると、なるほど~と声が上がる。
クラスメイトたちは戦う力こそ大きいが、それ以外の日常がどうなっているかなどの情報に飢えている。
受付のお姉さんが猫耳だったことを語ったら、可愛いかどうかに話題は移り、男たちの大部屋は盛り上がるのだった。
翌日、結局ステータスが上昇してもクラスメイトのように戦闘スキルがなければ戦えないと結論を出した俺たちは、昨日の帰りに話し合った通り冒険者ギルドに足を向けた。
徒歩五分。
初日に二時間以上かけた距離とは思えぬ速度でギルドに到着。
筋力や耐久力、敏捷の伸び率が、ここまで日常に差をつけるのだ。
ステータスが四桁になったクラスメイトからしたら、俺たちの動きなんて遅すぎてあくびが出るくらいかもしれない。
そう考えると、俺のガチャの恩恵が彼らに鼻で笑われてしまうのも納得だった。
昨日より速いスピードでギルドに到着したことに困惑しつつ、受付のお姉さんに昨日と同じく採取依頼を頼んだ。
武器も戦闘スキルも無いので討伐依頼は難しそうだというのが、俺たちの見解だった。
無理は禁物だ。
クラスメイトが気を遣うレベルということは、この世界においても弱いということだしな。
「ヒール草の他にポイゾナの根、パライズの花の受注でよろしいですか?」
「お願いします!」
「では、ポイゾナの根の採取ポイントだけお教えしますね──」
お姉さんはそう言って、昨日高品質のヒール草を納品した俺たちの実力を評価してくれたのか、採取ポイント以外にも俺たちに追加のアドバイスをくれた。
要約すると、良い品質のものを持ってきてくれたら、それに応じて色をつけるという話だった。
その言葉を聞いた後、薫が俺だけに見えるように怪訝そうな表情をする。
お姉さんに断りを入れつつ、俺は薫を連れてその場を離れた。
「なんであんなリアクションしたんだ」
薫は俺の質問に指を一本立てた。
「あのお姉さん、どうにも信用ならないんだよね」
「気になるところがあったのか?」
「初回じゃなくて二度目の依頼で高値で買い取る話をするあたり、今のうちに僕たちに唾をつけておこうっていう感じがねぇ」
薫的には情報の後出しが引っかかったようだ。
そこまで話したところで、俺らの動きが気になって付いて来た委員長が口を挟む。
「単純に最初はギルドの規定額を伝えただけじゃない? その後ギルド内でその品質の高さが証明されたから、ちゃんと品質に見合った金額で取引するようお達しが出たとか……」
「そういうもんか……あれ、そういえば杜若さんは?」
受付に目を向けると、お姉さんと会話をする彼女の姿があった。
どうやら俺たちが全員で離れると失礼だと思い、残ってくれたらしい。
すぐに受付に戻り、その後もお姉さんと少し話すと、四人揃ってギルドを後にする。
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