モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき

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第四部:オケアノス海の冒険 3

第131話 アータル撃退作戦 その3

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 フランメが猛スピードで、アータルに接近した。
 もう、先刻のような熱量は精霊王から感じない。

 蒸気で視界が悪いが、ローズの力で俺達が行く先だけは偶然に吹いた風が蒸気を散らす。

「見えた!」

 すぐに手が届きそうなところに、アータルの核……火竜の卵が見える。
 岩石化した胸部から半ばまで露出して、赤く輝いていた。

 随分近くまでやって来たものだ。
 さて、これを取り外す手段は既に考えてある。

『オオオオオオッ!!』

 アータルが俺達の接近に気付いて、払い落とそうとする。
 だが、ところどころ岩石化した精霊王の動きは鈍い。
 その隙に、俺は炸裂弾をスリングにセットできている。

「卵に当てないように……っと!」

 連続して、炸裂弾を投擲する。
 射程距離こそ弓より短いものの、熟練すればスリングの連射速度と命中精度は弓のそれに匹敵する。
 特に、こういう近距離で、遠心力による威力増強をしなくていい特殊弾の場合はなおさらだ。

 腕が接近するまでに四発。
 卵の四方に炸裂弾を打ち込んだ。

 岩石化した肌が爆発し、ぼろぼろと崩れ落ちる。
 その奥から、炎が吹き上がってくる。

 しかし卵を固定する力はかなり減少したようで、火竜の卵がグラグラしていた。

『来るぞ! 一時退避ーっ!!』

 フランメが叫んで、一気に上昇していく。
 俺達がいたところを、アータルの腕が通り過ぎていった。

 いやあ、ギリギリだった。

『お前、どこを攻撃すれば卵が崩れるかをずっと考えていたな? 動きに無駄が無さすぎる』

「それはもちろん。作戦の肝になるのは俺だからね」

 今回の作業は、クルミにもアルディにもアリサにもできない。
 最適なのは俺なのだ。

 最適な人選で、なおかつ最善の動きをして、最高のスペックを叩き出すためにはイメージでシミュレーションしておくのは必須ということだ。

『ゴオオオオオオオッ!!』

 アータルが高らかに咆哮した。
 やつの足元にある溶岩が、煮立ってきている。
 それが冷えた精霊王の肉体をめぐり始め、再び岩石が赤熱化、そしてマグマに戻りつつある。

 こりゃあ猶予が無いぞ。
 オケアノスと言えど、同格の精霊王を長い間妨害してはいられないということだ。

「フランメ、決めるぞ!」

『アータル様が露骨に警戒しているぞ!』

「だからだよ。つまり今が一番、攻撃されたらやばいってことじゃないのか」

『呆れた男だなお前は』

『ちゅちゅーっ!』

 フランメが嘆息し、ローズがが前足で俺の襟元をペチペチ叩いた。
 よし、突撃!

『オオオーッ!!』

 腕が振り回され、俺達を叩き落とそうとする。
 アータルのもう片方の腕は、火竜の卵を覆い隠していた。

 その腕をどけさせてやる。
 スリングを両手に装備する。

 ローズがそこに、炸裂弾を二個落とした。
 これをバッチリキャッチして、回転で得た遠心力でもって精霊王の顔面に投げつける!

 アータルの大きな目玉に、二発が同時に炸裂した。

『オオオーッ!!』

 アータルが吠えながら、卵を守っていた腕を思わず顔に向ける。

「連続で行くぞ!」

『ちゅっちゅちゅー!』

 ローズがいいお返事をした。
 炸裂弾が、ポロポロとこぼれ落ちてくる。
 これをキャッチしながら、スリングで次々に放り投げる。

 俺の動きの遠心力で、他の炸裂弾が宙に浮く。
 空中にあるそれをキャッチしながら、次々にアータルの胸元へ叩きつけるのだ。

 精霊王はこれに気付いたが、反応しようとした時にはもう遅い。

 グラグラしていた火竜の卵が、ついにその束縛を破壊され、アータルの体からこぼれ落ていった。

『オオッ……オオオオオオッ!!』

「うおっ! アータルの腕が!」

 猛烈な勢いで、精霊王の腕が振り下ろされてきた。
 動きの正確さも何もあったものではない。
 俺達に火竜の卵を奪わせないためだけの動きだ。

 これでは、落下した卵は割れてしまう!

『わおおおお────ん!!』

 その時、咆哮が轟いた。
 空を覆っていた暗雲が、円形に切り裂かれる。

 覗いた空は、昼だったはずなのに暗く、そして月が浮かんでいた。

「ブラン!」

 真っ白な犬が、山を駆け上がってくる。 
 その速度は加速し、それと同時にブランの全身が赤く硬質に変化する。

 ブラン本気モードだ!

『おおおおおお────んっ!!』

 跳ね上がったブランは、真っ向からアータルの腕と衝突した。
 圧倒的に大きなはずの精霊王の腕が、ブランの突撃を抑えられずに跳ね上げられる。

『わおんっ!!』

『おう!』

 フランメがブランの呼びかけに応じる。
 フェニックスが急加速した。

 アータルの腕の下へと潜り込み、今まさに地面へ接触するところだった卵へ、その翼を滑り込ませる。
 ふわり、と卵が宙を舞った。

「おっと!!」

 俺はこれをキャッチする。
 よし!
 標的確保!

「撤収ーっ!!」

 俺は高らかに宣言した。

『わふ!』

 ブランの毛並みが、また真っ白でモフモフとしたものに戻る。
 彼は空中でターンすると、そのまま山裾へと飛び降りていった。
 凄まじいショートカットをするなあ。

 これと同時に、空に浮かんでいた月が薄れて消え、夜空は青空に、そして暗雲が戻ってきて空を覆い隠す。

『オオッ、オオオッ、オオオオオオオッ!!』

 アータルが叫んでいる。
 振り返ると、その巨体がぼろぼろと崩れ落ちていくところだった。
 全身がまとまりのない溶岩となり、どろりと溶けて火口に飲み込まれていく。

 核を失い、アータルが形状を維持できなくなったのだろう。

 炎の精霊王アータル、これにて撃退完了!
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