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44. お兄さまのお子さま時代

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「……そういえば侯爵家でお兄さまは幼少期を過ごしたのよね?」
「極秘情報であったにも関わらず、よくご存じていらっしゃる。」
「……わたしが贔屓にしている情報屋さんはそこそこ優秀なのよ?」

 人差し指をくるくると回しながら言うと、侯爵は苦笑いを浮かべた。
 本当にこのおじさまは扱いやすそうだ。

「…そうですな、姫の贔屓にしている情報屋の高い能力は脱帽ものですな。」
「……でしょう?お気に入りなの。」

 まぁ、実質教えてくれたのはフレイアさまとジェフリーのお父君なのだけれど、それは言ってしまうと、後々面倒な事になりそうだから、黙っておこう。

「いてっ!!」
「……これくらい我慢しなさい。」
「これは流石に痛いよ、レティー。」

 ぎゅっと強めに包帯を巻くとジェフリーが悲鳴を上げた。

 愛称呼びで上目遣いをしても無駄なんだからね!!

 僅かに包帯を緩めて巻き切ったわたしは再び侯爵に視線を戻した。

「……それで、お兄さまはどんなお子さまだったの?」
「………。本当におふたりは仲がよろしいようで。」
「……その話題を今出すのはタブーだと思うけれど?」

 必死にいつも通り振る舞おうとしたが、少々声が低くなって視線が剣呑になってしまったのはご愛嬌だ。

「そ、そうですね。えーっと、ぼ、坊っちゃまは幼い頃からそれはそれは賢いお方でしたよ。」

 王家の盾と呼ばれる侯爵家の当主ならば、これくらいの殺気に充てられず、もっとしっかりとして欲しいものね。

「それは無知かと思います。お嬢様の殺気は閣下と同等レベルなのですから。」
「失礼ね。あんな化け物級な殺気なはずないでしょう?」
「いいえ、ございます。」

 わたしの心を勝手に読んだジェフリーは即答した。
 主人に対して本当に酷い物言いだ。

「はぁー、……それで?お兄さまのことよ、賢いだけではないのでしょう?」
「まぁ、はい、お強くもいらっしゃいましたよ。魔法に目覚めた1歳の頃からは特に賢く強い傾向が強くなりましたね。」

 ……わたしが魔法に目覚めたのは4歳の頃だったが、お兄さまはもっと早かったらしい。だが、普通の異能者としてはお兄さまであっても、遅い方かもしれない。普通の異能者は生まれた頃から異能者としての才覚があり、文武両方に優れていおり、生後半年くらいで魔法に目覚めることが普通なのだから。
 まぁ、歴代の中で最も遅く異能者として目覚めた人間は6歳の頃だったらしいから、目覚める年齢は人それぞれなのかもしれない。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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