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45. 雰囲気は和やか
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侯爵と楽しく?会話していると、カツンカツンという靴音を鳴らして、今回のお葬式を担当していただく、司祭さまが入場してきた。顔には困惑という文字がデカデカと張り付いていた。
まぁ、それが普通の反応よね。
お葬式場であるこのお部屋は、惨状になってしまっている。たくさんの大人は、縄で結ばれて跪いてうなだれており、千切れ千切れになった紙を虚な視線で眺めており、子供たちはぐすぐすと泣き叫んでいる。
「………えっと、この状況は……。」
「……ちょっとマイグレックヒェンに属する人間のお掃除をしたの。もうすぐで片付くから待ってちょうだい。」
「は、はぁ……。」
困惑の声を上げた司祭に笑いかけて、わたしはジェフリーと共にお掃除に加わるために、惨状と化しているお部屋の中心に歩みを進めた。
「如何お掃除する気ですか?お嬢様。」
「……さぁ?お兄さま次第ではないかしら。死なないように口添えくらいはしてやるつもりだけれど。」
後ろからついてくるメイソンを横目で見ながら、ここを血沼にする気はないと返答した。
「相変わらずお嬢様は甘いですね。」
「……鉱山送りで、重労働くらいが妥当かしら。」
「………前言撤回、お嬢様は鬼畜だよ。」
敬語が抜けたジェフリーは『うわー、ひでー。』という表情を浮かべて、信じられない物を見る目でわたしを見つめた。
「……使える物はゴミでも使う、わたしのモットーよ。」
「だから、まともな労働者にならないであろうお貴族ぶっているお貴族を重労働である鉱山に送り込む、と。」
呆れた声音から、そんなの送り込んでも無駄だろう?という副声音が聞こえてくる。
「ふふふ、……タダで働いてくれるのだったらいいと思うけれど?」
「鬼畜だね。」
「……即刻死刑にしようとしていたあなたほどでは無いと思うけれど?」
にやりと悪い笑みを浮かべると、ジェフリーは死刑の方があいつらにとってはましじゃないの?と視線で口外に言ってきた。
罰は苦痛を感じてこそ罰だとわたしは思うのだけれど?
だから、わたしは視線でこう返す。
「ごもっともなことで。」
ひょいと肩をすくめたジェフリーとくすくすと笑い合う。
側から見ていれば、お花畑で穏やかなお話しをしながら和やかにお散歩をしているかのような雰囲気だろう。
まぁ、実際に話していることは罪人の処分方法だが……。
「……さて、そろそろ到着ね。どうなるのかしら?」
「ここら辺は空気が汚いので、お嬢様は長居するべきではありません。さっさと終わらせて離れましょう。」
「……相変わらず過保護ね。」
呆れたようなわたしの声は完璧に無視されてしまった。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
まぁ、それが普通の反応よね。
お葬式場であるこのお部屋は、惨状になってしまっている。たくさんの大人は、縄で結ばれて跪いてうなだれており、千切れ千切れになった紙を虚な視線で眺めており、子供たちはぐすぐすと泣き叫んでいる。
「………えっと、この状況は……。」
「……ちょっとマイグレックヒェンに属する人間のお掃除をしたの。もうすぐで片付くから待ってちょうだい。」
「は、はぁ……。」
困惑の声を上げた司祭に笑いかけて、わたしはジェフリーと共にお掃除に加わるために、惨状と化しているお部屋の中心に歩みを進めた。
「如何お掃除する気ですか?お嬢様。」
「……さぁ?お兄さま次第ではないかしら。死なないように口添えくらいはしてやるつもりだけれど。」
後ろからついてくるメイソンを横目で見ながら、ここを血沼にする気はないと返答した。
「相変わらずお嬢様は甘いですね。」
「……鉱山送りで、重労働くらいが妥当かしら。」
「………前言撤回、お嬢様は鬼畜だよ。」
敬語が抜けたジェフリーは『うわー、ひでー。』という表情を浮かべて、信じられない物を見る目でわたしを見つめた。
「……使える物はゴミでも使う、わたしのモットーよ。」
「だから、まともな労働者にならないであろうお貴族ぶっているお貴族を重労働である鉱山に送り込む、と。」
呆れた声音から、そんなの送り込んでも無駄だろう?という副声音が聞こえてくる。
「ふふふ、……タダで働いてくれるのだったらいいと思うけれど?」
「鬼畜だね。」
「……即刻死刑にしようとしていたあなたほどでは無いと思うけれど?」
にやりと悪い笑みを浮かべると、ジェフリーは死刑の方があいつらにとってはましじゃないの?と視線で口外に言ってきた。
罰は苦痛を感じてこそ罰だとわたしは思うのだけれど?
だから、わたしは視線でこう返す。
「ごもっともなことで。」
ひょいと肩をすくめたジェフリーとくすくすと笑い合う。
側から見ていれば、お花畑で穏やかなお話しをしながら和やかにお散歩をしているかのような雰囲気だろう。
まぁ、実際に話していることは罪人の処分方法だが……。
「……さて、そろそろ到着ね。どうなるのかしら?」
「ここら辺は空気が汚いので、お嬢様は長居するべきではありません。さっさと終わらせて離れましょう。」
「……相変わらず過保護ね。」
呆れたようなわたしの声は完璧に無視されてしまった。
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
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