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35. 色々なあめ玉
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「……ジェフリー……。」
「そんなにうるうるした視線を向けても無駄ですよ。お嬢様ご自身で配ってください。」
上目遣いをも一蹴されてしまったわたしには、もう短時間でジェフリーに対して使える手が1つもない。
「……、あ、あめ玉配るから並びなさい。」
諦めたわたしは情けない怯えた顔つきと、震えた声で幼子たちに号令をかけた。
「うぅ、…いちごください。」
初めに並んだのは、やっぱりリスさんみたいな女の子だった。
欲しい味を覚えてはいたけれど、自信はあまりなかったから、味の注文をしてくれるのはありがたい。
え~っと、いちごは……。
「………ジェフリー、この桃色のがいちごのあめ玉かしら?」
「えぇ、そうです。早くお嬢様のお手から渡してあげてください。」
ジェフリーに促されたわたしは可愛らしい白い水玉模様の入った桃色の包み紙のあめ玉を女の子にプルプルと手渡した。
「……ど、どうぞ。」
「あ、ありがとーございます、うぅ。」
お礼を丁寧に伝えていてとっても偉い女の子は、ぺこりと頭を下げて次の子に場所を譲るためかそそくさと後ろに下がった。くるりと振り向いた時に、右側のほっぺたがぽこりとまあるく膨らんでいた。
「ひっく、みかん……。」
上目遣いでこてんと首を傾げたくすんだ金髪の男の子は、やっぱり天使のような容姿だ。
「……ジェフリー。」
「オレンジ色の包み紙です。」
「……ありがとう。」
ジェフリーはわたしが名前を呼んだ意図を察して、前もって教えてくれた。
今度は単色の包み紙だ。
「…どうぞ。」
「ひっく、ありが、とう。」
この子なんとなく、お菓子をもらい慣れている気がするのは、わたしの気のせいなのかしら……?
「ぼくは………。」
今度は唯一泣き止んでいるテオドールくんの番らしい。
味が決められなくて困ったように言い淀んでいる。
「テオは何が食べたいのですか?」
すかさず母親である先生が次の子を待たせないように助っ人に入った。
「うーん、……れもん!!」
「レモンはレース柄の淡い黄色です。」
「ん、………どうぞ。」
「ありがと、おねーちゃん。」
ジェフリーに言われなければ、わたしは危うくストライプの濃い黄色の包み紙のあめ玉を手渡していただろう。
「……君は何味がいい?」
先程『こわく、ないのがいい。』と注文してきた小さな男の子に再度わたしは質問した。
「こわくないのは?」
「……ジェフリー……。」
何味が怖く無いのか分からないわたしは、ジェフリーに丸投げした。
「…う~ん、メロンなんてどうかな?」
「めろ、ん?」
「そう、メロン。」
「うん、そーしゅる。」
……流石の誘導尋問ね……。
………子供相手に尋問ってどうなのかしら……?
わたしは淡い緑色のあめ玉を手渡した。
「……君は……。」
「うぅぁぁん、ぶ、ぶどー、ひっく。」
「あ、うん、どうぞ。」
わたしは唯一の紫色系のあめ玉を手渡した。
これでミッションコンプリートだ。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「そんなにうるうるした視線を向けても無駄ですよ。お嬢様ご自身で配ってください。」
上目遣いをも一蹴されてしまったわたしには、もう短時間でジェフリーに対して使える手が1つもない。
「……、あ、あめ玉配るから並びなさい。」
諦めたわたしは情けない怯えた顔つきと、震えた声で幼子たちに号令をかけた。
「うぅ、…いちごください。」
初めに並んだのは、やっぱりリスさんみたいな女の子だった。
欲しい味を覚えてはいたけれど、自信はあまりなかったから、味の注文をしてくれるのはありがたい。
え~っと、いちごは……。
「………ジェフリー、この桃色のがいちごのあめ玉かしら?」
「えぇ、そうです。早くお嬢様のお手から渡してあげてください。」
ジェフリーに促されたわたしは可愛らしい白い水玉模様の入った桃色の包み紙のあめ玉を女の子にプルプルと手渡した。
「……ど、どうぞ。」
「あ、ありがとーございます、うぅ。」
お礼を丁寧に伝えていてとっても偉い女の子は、ぺこりと頭を下げて次の子に場所を譲るためかそそくさと後ろに下がった。くるりと振り向いた時に、右側のほっぺたがぽこりとまあるく膨らんでいた。
「ひっく、みかん……。」
上目遣いでこてんと首を傾げたくすんだ金髪の男の子は、やっぱり天使のような容姿だ。
「……ジェフリー。」
「オレンジ色の包み紙です。」
「……ありがとう。」
ジェフリーはわたしが名前を呼んだ意図を察して、前もって教えてくれた。
今度は単色の包み紙だ。
「…どうぞ。」
「ひっく、ありが、とう。」
この子なんとなく、お菓子をもらい慣れている気がするのは、わたしの気のせいなのかしら……?
「ぼくは………。」
今度は唯一泣き止んでいるテオドールくんの番らしい。
味が決められなくて困ったように言い淀んでいる。
「テオは何が食べたいのですか?」
すかさず母親である先生が次の子を待たせないように助っ人に入った。
「うーん、……れもん!!」
「レモンはレース柄の淡い黄色です。」
「ん、………どうぞ。」
「ありがと、おねーちゃん。」
ジェフリーに言われなければ、わたしは危うくストライプの濃い黄色の包み紙のあめ玉を手渡していただろう。
「……君は何味がいい?」
先程『こわく、ないのがいい。』と注文してきた小さな男の子に再度わたしは質問した。
「こわくないのは?」
「……ジェフリー……。」
何味が怖く無いのか分からないわたしは、ジェフリーに丸投げした。
「…う~ん、メロンなんてどうかな?」
「めろ、ん?」
「そう、メロン。」
「うん、そーしゅる。」
……流石の誘導尋問ね……。
………子供相手に尋問ってどうなのかしら……?
わたしは淡い緑色のあめ玉を手渡した。
「……君は……。」
「うぅぁぁん、ぶ、ぶどー、ひっく。」
「あ、うん、どうぞ。」
わたしは唯一の紫色系のあめ玉を手渡した。
これでミッションコンプリートだ。
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