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85 次男の懇願
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「………やめなさい。ミーファ、僕は大丈夫。ミーファやお母様やレーファが笑顔で暮らせるのならば、何もいらない。だから、笑顔で暮らしておくれ。きっちりと守ってやれなくてすまなかったね。お母様にもそう伝えておいておくれ」
多数決の最中に尚訴えるように叫び声を上げる妹に、次男は静止の声を上げた。
「サイバーン侯爵、そして皇族の皆皆様、勝手ながら1つお願いがあります!此度の1件全ては父である男爵と我ら男兄弟の仕業です!!父男爵によって地下室に監禁されていた妹たちや母には、何の関係もございません!げほっ、げほっ、声を上げたミーファを含めて男爵家の女子供には御慈悲をいただきたく存じますっ。そして、屋敷の使用人たちも男爵に命令されていただけです。彼らの罪も我ら男爵家の男が背負って行きます!ですので、どうか、どうか御慈悲を!!はぁー、はぁー、」
他の兄弟に比べて細く弱々しい身体を床に叩きつけて、次男は咳き込みながら叫び声を上げた。今は息を切らして肩で必死に酸素を欲している。ぐちゃぐちゃに結ってある長い髪の首筋の隙間から、刃物で傷つけられた痛々しい生傷と首が絞められた手形の字が見えた。夥しい傷跡に、会場内の人間は皆息を飲んだ。
「お願い、します!どうかミーファ、お母様、レーファの罪は僕が全て背負います。鉱山でも、地獄でも、断頭台でも、どこへでも行きます!ですから、ミーファに、お母様に、レーファに御慈悲を!!」
泣きながら床に頭を擦り付け、他の男爵家の人間に罵詈雑言を浴びせられ、体当たりされながらも『お願いします、お願いします』と譫言のように懇願する次男はいっそのこと哀れだった。
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
多数決の最中に尚訴えるように叫び声を上げる妹に、次男は静止の声を上げた。
「サイバーン侯爵、そして皇族の皆皆様、勝手ながら1つお願いがあります!此度の1件全ては父である男爵と我ら男兄弟の仕業です!!父男爵によって地下室に監禁されていた妹たちや母には、何の関係もございません!げほっ、げほっ、声を上げたミーファを含めて男爵家の女子供には御慈悲をいただきたく存じますっ。そして、屋敷の使用人たちも男爵に命令されていただけです。彼らの罪も我ら男爵家の男が背負って行きます!ですので、どうか、どうか御慈悲を!!はぁー、はぁー、」
他の兄弟に比べて細く弱々しい身体を床に叩きつけて、次男は咳き込みながら叫び声を上げた。今は息を切らして肩で必死に酸素を欲している。ぐちゃぐちゃに結ってある長い髪の首筋の隙間から、刃物で傷つけられた痛々しい生傷と首が絞められた手形の字が見えた。夥しい傷跡に、会場内の人間は皆息を飲んだ。
「お願い、します!どうかミーファ、お母様、レーファの罪は僕が全て背負います。鉱山でも、地獄でも、断頭台でも、どこへでも行きます!ですから、ミーファに、お母様に、レーファに御慈悲を!!」
泣きながら床に頭を擦り付け、他の男爵家の人間に罵詈雑言を浴びせられ、体当たりされながらも『お願いします、お願いします』と譫言のように懇願する次男はいっそのこと哀れだった。
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