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56 しばかれた2人

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「………ーーーそういうのは自室でやれっての!!」

ーーーバコン!!ボコン!!

「イテッ、」「はぶっ、」

 アリスティアの書類で2人の頭を叩くという暴挙のおかげか、セレスティアとミシェルは皇女と公子らしからぬ声を出したあと、ここがどこか思い出して赤面した。

「………セレスのせいだ」
「………これは十中八九危険なことに手を伸ばしたミシェルのせいだ」
「言い訳はよろしい!!さっさとこのクソ野郎ぶちのめして楽しいパーティーにするわよ!!」

 ボソボソと文句を言いながら、正座でアリスティアに向き合ったセレスティアとミシェルは苦笑した。いくら性根の腐り切ったクソ野郎であるとしても、国の重鎮相手に真っ向からクソ野郎呼ばわりするとは本当にアリスティアは肝が据わっている。

「ミシェル、気付け薬」
「え、ねぇセレス、もうよくない?」
「アリスの名誉挽回とグートハイル男爵家のお取り潰しがおわっていないよ」

 セレスティアは至極真面目にそう言ったが、ミシェルは何が面白かったのかクツクツと笑い始めた。アリスティアも苦笑している。

「分かったよ。我が姫………、………なんかこの呼び方はしっくりこないなぁ」
「我が騎士様の方がしっくりくるんじゃないかしら?」
「あぁ、成る程。ありがとうございます。アリスティア皇女殿下」

 律儀に深々と頭を下げたミシェルに、アリスティアは肩をすくめた。

「アリスでいいわよ。わたくし、思っていたよりもあなたのことが気に入ったから」

 アリスティアの言葉に、セレスティアが余裕なくアリスティアのことを睨んだ。

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