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26 ミシェルが来た理由

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「そ、そういえば、ミシェル。今日は何故早朝から登城してきたのだ?」
「あ!忘れてた!!」

 ミシェルは目を見開いて慌て始めた。

「はい、婚約の書類。これがあったら、もしアリスティア皇女殿下が何かの弾みに心変わりしたとしても、大丈夫でしょう?」
「………そう、だな」

 セレスティアは少しだけ顔を顰めてから侍女にペンとインクと紙と蝋燭を持って来させ、寝室に自分の紋章が彫られている判子を取りに行った。

「アリスは皇位に就くためならば、君との再婚約を望むかもしれないな」
「うん、でも僕は何があったとしても君の隣に居たいんだ。だから、この書類」

 部屋に戻ってすぐに、書類をしっかりと読み込んでからサインをしたセレスティアは、皇帝に対して書簡を書いて蝋印を押した。

(昨日の今日だから、いきなりでも割と簡単に謁見の許可は出るだろう)
「エミリー、この書簡を皇帝陛下の側近に」
「承知いたしました」

 セレスティア専属の優秀な侍女は命令を受け、すぐさま部屋を出て行った。

「アリスティア皇女殿下の侍女と違ってとても優秀だ」
「だろう?アリス、あんなに優秀な子を自分に指図したからってだけで即刻首にしたんだぞ?」
「信じられないよ」
「あぁ、だから拾った」
「犬猫じゃないんだから拾ったじゃないでしょう………」

 にやりと悪い笑みを浮かべたセレスティアに、ミシェルは弱々しく注意した。ちょっとは強気になったと思っていたが、誰かに注意したりするのは昨日今日ではあまり上達しないらしい。

「まぁ、いいではないか」
「良くはないよ、良くは」

*******************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

『あの、……どなたでしょうか?』

という作品が本編完結いたしました。短編ですので、もしよろしければ読んでやってください(๑>◡<๑)
紹介文としましては、

「キャサリン・ルーラー
 爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」

見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………

「あの、……どなたのことでしょうか?」

まさかの意味不明発言!!

今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!

結末やいかに!!

です。
よろしくお願いいたします(*≧∀≦*)

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