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10 命に掛けて

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▫︎◇▫︎

「ということがあり、わたしが挨拶に伺った次第だ」
「そ、そうですか。それは、なんともまぁ、………い、勇ましいことで」

 応接室で今日のパーティーで起こったことを説明したセレスティアに、ミシェルの父親たるくすんだ金髪に空色の瞳を持った小さな公爵が苦笑した。
 セレスティアは他所行きの妖艶な微笑みを深め、公爵を懇願するようにじっと見つめた。

皇女の双子の妹たるわたしと、ご子息との婚約を許していただけるだろうか?」
「ミシェルはどうなんだい?」
「僕は、………セレスの隣を歩きたい」

 弱々しさが鳴りを潜めたはっきりとした声で答えたミシェルに、公爵は目を見開いた。

「もう皇女殿下のことを愛称で呼ばせていただいているのですね」
「あぁ、あまりにも彼が可愛らしくて無理を言ってしまった」
「そうですか。………皇女殿下は可愛い男性が好みなのですね」
「賢くて、愛らしいのが好みだ」

 セレスティアはにやりと笑って隣に座るミシェルの腰を抱いた。

「だから男女逆だって」
「良いではないか」
「むぅー、良くないよ。それは僕からしたい!!」
「………ベタ惚れだな」

 公爵の溜め息のような呟きは、恋に不慣れでありながらとても大胆な2人には全くもって届かなかったが、気がついて顔を真っ赤にして慌てるよりはマシだろう。

「皇女殿下、婚約を認めます。どうか愚息のことをお願いいたします」
「あぁ、任されたぞ。この命に掛けて、彼を守ると約束しよう」

 深々と頭を下げた公爵に、セレスティアは凛々しい微笑みを浮かべて腰にある剣の柄をするりと撫でた。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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