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84 アキレスの属性
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「それとこれとは置いといて、まずじゃあ読みは問題ないみたいだから、魔法についての解説を再開するね」
穏やかに微笑んだまま本を大きな1枚板の机の上に乗せて、本を撫でながらルーカスは朗々と語り始めた。
曰く、魔法とは選ばれた魔力を持つ人間のみが使用できるらしい。
曰く、魔法とは非科学的な現象を魔力を使用することで起こすものらしい。
曰く、魔法とは神に授けられた特別な力とされているらしい。
曰く、魔法とはそれぞれに適性というものが存在しているらしい。
曰く、魔法とは人々の安寧のために存在しているらしい。
全ての根本的な説明を教本と睨めっこしながら聴いた。とっても真面目な表情からは、王族への嫌悪も殺意も恐怖も、アイリスとアキレスが持っている全ての王族への悪の感情が消え去っていた。
「………ーーーそして、魔法は魔力量によって全てが変化する。神に与えられし魔力量こそが魔法の全てである」
最後の章を朗読し終えた、青を超えて白くなった顔色のルーカスはにこりと今にも倒れそうな顔で笑った。アイリスは一瞬顔を引き攣らせた後、口を開こうとした。
「アイリス」
けれど、首を横に振っている双子の弟アキレスのたった一言によって全てを包み隠されてしまった。
「ーーじゃあ、魔法属性と魔力を測ろうか。ちなみに僕は光、エドワード兄上は風、アンドリューは岩、父上も風で、母上は花だよ。君たちはどんな力を授かっているんだろうね」
心底楽しそうに夢見心地で優しく語る彼は、心の底から魔法を愛しているのだろう。アイリスはそんな彼の期待に応えたいと、不覚にも自分を見殺しにしていた王族の一員であるはずの彼に向けて思ってしまった。アキレスはそんなアイリスの葛藤を気付いてか否か、ぎゅっとアイリスの手を握って、先に魔法を測るという水晶にえいっと手を叩きつけた。
ーーーきらきらきら、
水色の光を発する氷が部屋中を舞い始めた。水晶からは張り裂けんばかりの白に近い水色の輝きが放たれていて、瞳を開けるのにも一苦労だ。
「こおり、か………」
ゆっくりと手を離したアキレスにルーカスが手を伸ばした。ビクッと身体を硬らせたアキレスの頭に、ルーカスが優しく手を乗せる。
「君の属性は氷。魔力量は兄上より下、アンドリューより上ぐらいかな」
(………僕は結局何番目なんだ?)
首をきょとんと傾げたアキレスの疑問の答えは結局はわからないままなのだった。
******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
穏やかに微笑んだまま本を大きな1枚板の机の上に乗せて、本を撫でながらルーカスは朗々と語り始めた。
曰く、魔法とは選ばれた魔力を持つ人間のみが使用できるらしい。
曰く、魔法とは非科学的な現象を魔力を使用することで起こすものらしい。
曰く、魔法とは神に授けられた特別な力とされているらしい。
曰く、魔法とはそれぞれに適性というものが存在しているらしい。
曰く、魔法とは人々の安寧のために存在しているらしい。
全ての根本的な説明を教本と睨めっこしながら聴いた。とっても真面目な表情からは、王族への嫌悪も殺意も恐怖も、アイリスとアキレスが持っている全ての王族への悪の感情が消え去っていた。
「………ーーーそして、魔法は魔力量によって全てが変化する。神に与えられし魔力量こそが魔法の全てである」
最後の章を朗読し終えた、青を超えて白くなった顔色のルーカスはにこりと今にも倒れそうな顔で笑った。アイリスは一瞬顔を引き攣らせた後、口を開こうとした。
「アイリス」
けれど、首を横に振っている双子の弟アキレスのたった一言によって全てを包み隠されてしまった。
「ーーじゃあ、魔法属性と魔力を測ろうか。ちなみに僕は光、エドワード兄上は風、アンドリューは岩、父上も風で、母上は花だよ。君たちはどんな力を授かっているんだろうね」
心底楽しそうに夢見心地で優しく語る彼は、心の底から魔法を愛しているのだろう。アイリスはそんな彼の期待に応えたいと、不覚にも自分を見殺しにしていた王族の一員であるはずの彼に向けて思ってしまった。アキレスはそんなアイリスの葛藤を気付いてか否か、ぎゅっとアイリスの手を握って、先に魔法を測るという水晶にえいっと手を叩きつけた。
ーーーきらきらきら、
水色の光を発する氷が部屋中を舞い始めた。水晶からは張り裂けんばかりの白に近い水色の輝きが放たれていて、瞳を開けるのにも一苦労だ。
「こおり、か………」
ゆっくりと手を離したアキレスにルーカスが手を伸ばした。ビクッと身体を硬らせたアキレスの頭に、ルーカスが優しく手を乗せる。
「君の属性は氷。魔力量は兄上より下、アンドリューより上ぐらいかな」
(………僕は結局何番目なんだ?)
首をきょとんと傾げたアキレスの疑問の答えは結局はわからないままなのだった。
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
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