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85 双子だからといって
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「じゃあ次はアイリスだね。手をかざして」
ーーーぶぉんっ!
アイリスが水晶に手をぺちゃりとくっつけた次の瞬間に舞い上がったのは真っ赤な炎だった。水晶の制御装置によってアキレスの氷の冷たさが無かったのと同様に、熱さは全く感じない。けれど、炎はこの部屋全体を覆うようにして海の波のように荒れ狂っている。水晶からは真っ赤な光が上がっていた。
アイリスは自分の炎を客観的に見つめた後に水晶から手を離した。
「火?」
「う~ん、どっちかと言ったら、あれは炎かな場所によっては青みかかっていたから、火より高温な魔法である炎だとお思う」
アイリスは気が付かなかったが、どうやらガスを燃やした時のような色彩の炎の場所があったらしい。
「まほー属性ちがったね」
「そーだね。以外だ」
ぎゅっと手を繋ぎ合ってにへらと笑う。アイリスとアキレスはいつも同じように過ごして同じようなことを感じてきた。けれど、やっぱりアイリスはアイリスで、アキレスはアキレスなのだ。別の人間なのだ。全てが一緒なわけではない。それどころか、全く違うところも存在している。でも、そんなところこそが、お互いに正反対だからこそ助け合える力も含めて、お互いに愛おしくて、幸せなのだ。
「………取り乱すかと思ったんだが………………」
「双子だからって全部がいっしょなわけないじゃないか。なあ、アイリス」
「うんうん。そもそも、わたしたちは一緒なよーでちがうんだよ?」
全く同じ黄金の太陽のように輝く髪は、アイリスが長くてアキレスが短い。サファイアをはめ込んだかのようなきらきらと輝く青い瞳は、アイリスの方が柔らかくてアキレスの方がちょっとだけ切長だ。身長も姉であるアイリスの方が、並んで全く同じように立てば高い。アイリスとアキレスは全てが全く一緒なようで少しずつ違っている。けれど、双子にはもっともっと大きな根本的な違いがある。
「「だって、」」
「わたしは女の子で」
「ぼくは男の子だもん」
ぎゅっと手を繋いでアイリスはアキレスの額にこつんと自分の額を当て、アキレスはアイリスの額にこつんと自分の額を当てた。
「「でも、それが」」
「わたしたち」「ぼくたち」
「「なんだよ」」
アイリスとアキレスは1人称も違っている。声を揃えて話せば、一人称はもちろんのこと稀に語尾なども揃わない。でも、それこそがお互いの違いで尊重すべき点なのだ。
「「双子だからって、全部がいっしょであるひつよーなんてない」」
ふわっとルーカスに笑いかけた双子は、心底幸せそうにお互いの顔を見合った。
******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
ーーーぶぉんっ!
アイリスが水晶に手をぺちゃりとくっつけた次の瞬間に舞い上がったのは真っ赤な炎だった。水晶の制御装置によってアキレスの氷の冷たさが無かったのと同様に、熱さは全く感じない。けれど、炎はこの部屋全体を覆うようにして海の波のように荒れ狂っている。水晶からは真っ赤な光が上がっていた。
アイリスは自分の炎を客観的に見つめた後に水晶から手を離した。
「火?」
「う~ん、どっちかと言ったら、あれは炎かな場所によっては青みかかっていたから、火より高温な魔法である炎だとお思う」
アイリスは気が付かなかったが、どうやらガスを燃やした時のような色彩の炎の場所があったらしい。
「まほー属性ちがったね」
「そーだね。以外だ」
ぎゅっと手を繋ぎ合ってにへらと笑う。アイリスとアキレスはいつも同じように過ごして同じようなことを感じてきた。けれど、やっぱりアイリスはアイリスで、アキレスはアキレスなのだ。別の人間なのだ。全てが一緒なわけではない。それどころか、全く違うところも存在している。でも、そんなところこそが、お互いに正反対だからこそ助け合える力も含めて、お互いに愛おしくて、幸せなのだ。
「………取り乱すかと思ったんだが………………」
「双子だからって全部がいっしょなわけないじゃないか。なあ、アイリス」
「うんうん。そもそも、わたしたちは一緒なよーでちがうんだよ?」
全く同じ黄金の太陽のように輝く髪は、アイリスが長くてアキレスが短い。サファイアをはめ込んだかのようなきらきらと輝く青い瞳は、アイリスの方が柔らかくてアキレスの方がちょっとだけ切長だ。身長も姉であるアイリスの方が、並んで全く同じように立てば高い。アイリスとアキレスは全てが全く一緒なようで少しずつ違っている。けれど、双子にはもっともっと大きな根本的な違いがある。
「「だって、」」
「わたしは女の子で」
「ぼくは男の子だもん」
ぎゅっと手を繋いでアイリスはアキレスの額にこつんと自分の額を当て、アキレスはアイリスの額にこつんと自分の額を当てた。
「「でも、それが」」
「わたしたち」「ぼくたち」
「「なんだよ」」
アイリスとアキレスは1人称も違っている。声を揃えて話せば、一人称はもちろんのこと稀に語尾なども揃わない。でも、それこそがお互いの違いで尊重すべき点なのだ。
「「双子だからって、全部がいっしょであるひつよーなんてない」」
ふわっとルーカスに笑いかけた双子は、心底幸せそうにお互いの顔を見合った。
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