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続編

68 わたくし復活

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▫︎◇▫︎

 1ヶ月後、流石に本調子に戻ってきたわたくしは、朝からお散歩をしていた。体調を崩す前の日課を復帰することにしたのだ。

「はあー!!」

 息を吐き出せば真っ白に染まる銀世界。
 時の流れとは早いもので、もう冬がやってきてしまっていた。

 この時期になれば、もうわたくしは夢うつつから抜け出し、ライアンの身に起こったことをしっかりと理解ていた。最初はとても取り乱したし、人知れず静かに泣いた。けれど、そうしていても何もならないと理解してからの、状況を理解してから数日後のわたくしの行動は、とても早かった。

『メアリー!わたくしのおズボンとブラウスを出しなさい!!訓練に復帰するわ!!』

 昨日からではあるが、言うや否や、わたくしは体力を取り戻すために魔法、剣術、体術、弓術の訓練を再開した。お父さまはわたくしに『を今年いっぱい禁止』と命じただけで、は禁止していなかったからだ。最初は渋面を作って許して下さらなかったお父さまも、わたくしが命じられたとおりお勉強はしないからと満面の笑みを浮かべると、すぐに引いてくれた。
 わたくしの笑みは、そんなに怖いのかしら?

「………今日は1時間後に、1時間ランニング、その後に剣術のお稽古を2時間、お昼休憩30分を挟んだら、2時間弓のお稽古で、お着替えに10分休憩をとって、最後に2時間の魔法のお稽古。そうしたらあとは自由時間だから、2時間暗殺術のお稽古をお義母さまにつけてもらおうかしら?」
「良いわよ」

 後ろからいきなり声がして、わたくしはびゃっと飛び上がった。

「ふぎゃっ!?」
「うふふっ、気配を消されたくらいで気取れなくなるようじゃダメよ?私の気配ぐらいならば、簡単に読んで見せなくっちゃ」
「………うぅー、精進するわ」

 スパルタお義母さまからの言葉にしおしおと頷いたわたくしは、ぎゅっとワンピースの裾を握りしめた。

「どのくらいでわたくしは元の体力に戻れるかしら?」
「う~ん、ざっと見積もって、うちの愚息を迎えに行けるレベルまでと言ったら、早くて2ヶ月と言ったところかしら?春の始めあたりね」

 わたくしはぎゅっと眉間の皺を深くした。

「もっと速く、ライアン探しにいけないかしら?」

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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