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続編
67 わたくしはわかっていない
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ぷんすぷんすとわたくしが怒ってみせると、メアリーは困ったように微笑んだ。お母さまが生きていらっしゃったら、こんな感じだったのだろうか。わたくしは呆然と彼女のことを見つめながら、抱っこをねだる。
「………クラウディアお嬢さま、落ち着いて聞いてくださいね」
涙を拭いたメアリーが、わたくしに言い聞かせるかのように話し始める。
「クラウディアお嬢さまのお勉強は、今年いっぱい禁止となりました。もちろん、学園へ行くこともです」
「………?」
意味が分からないと言うようにわたくしが首を傾げれば、メアリーが鎮痛な面持ちで言葉を紡ぎ続ける。
「そして、ライアンお坊っちゃまの居場所が分からなくなりました。奥さまの情報網を持ってしても、発見不可能になってしまったそうです。もう、………生きているのかすらも、分かりません」
何を言っているのか分かっているはずなのに、分かりたくない。そんな気持ちのせいで、わたくしは何が起こっているのかさっぱり内容を理解することができない。
「クラウディアお嬢さま、今は元気にならなくてはいけません。………何が起ころうとも、今は元気であることが重要なのです」
「?」
▫︎◇▫︎
それから数週間、わたくしはメアリーになされるがまま、お世話され続けた。その間、お父さまやお義母さま、その他色々な人がわたくしの元へ訪れてきた。王太子殿下に、ティアラローズさま、他にも天敵公爵令嬢や、比較的仲の良い伯爵令嬢、みんな今の魂の抜けてしまったわたくしを見てから、泣きながら帰っていった。けれど、こんなにもたくさんの人が来てくれているのに、わたくしの元に、肝心の彼は、彼だけは訪れてくれない。
「メアリー、………ライアンは?」
「クラウディアお嬢さま、ですからライアンお坊っちゃまは………」
「いつ来てくれるの………?」
こてんと首を傾げると、メアリーがぐっとくちびるを噛み締めた。泣きそうなのを堪えている彼女なんて、とても珍しい。
「早く元気になって下さい、クラウディアお嬢さま。元気になったら、ライアンお坊っちゃまを一緒に探しに行きましょう」
「さがす?」
わたくしは未だに夢うつつ。
世界のことを、今起こっていることを、何も理解できていなかった。
********************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
「………クラウディアお嬢さま、落ち着いて聞いてくださいね」
涙を拭いたメアリーが、わたくしに言い聞かせるかのように話し始める。
「クラウディアお嬢さまのお勉強は、今年いっぱい禁止となりました。もちろん、学園へ行くこともです」
「………?」
意味が分からないと言うようにわたくしが首を傾げれば、メアリーが鎮痛な面持ちで言葉を紡ぎ続ける。
「そして、ライアンお坊っちゃまの居場所が分からなくなりました。奥さまの情報網を持ってしても、発見不可能になってしまったそうです。もう、………生きているのかすらも、分かりません」
何を言っているのか分かっているはずなのに、分かりたくない。そんな気持ちのせいで、わたくしは何が起こっているのかさっぱり内容を理解することができない。
「クラウディアお嬢さま、今は元気にならなくてはいけません。………何が起ころうとも、今は元気であることが重要なのです」
「?」
▫︎◇▫︎
それから数週間、わたくしはメアリーになされるがまま、お世話され続けた。その間、お父さまやお義母さま、その他色々な人がわたくしの元へ訪れてきた。王太子殿下に、ティアラローズさま、他にも天敵公爵令嬢や、比較的仲の良い伯爵令嬢、みんな今の魂の抜けてしまったわたくしを見てから、泣きながら帰っていった。けれど、こんなにもたくさんの人が来てくれているのに、わたくしの元に、肝心の彼は、彼だけは訪れてくれない。
「メアリー、………ライアンは?」
「クラウディアお嬢さま、ですからライアンお坊っちゃまは………」
「いつ来てくれるの………?」
こてんと首を傾げると、メアリーがぐっとくちびるを噛み締めた。泣きそうなのを堪えている彼女なんて、とても珍しい。
「早く元気になって下さい、クラウディアお嬢さま。元気になったら、ライアンお坊っちゃまを一緒に探しに行きましょう」
「さがす?」
わたくしは未だに夢うつつ。
世界のことを、今起こっていることを、何も理解できていなかった。
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