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32,5 俺の妻
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「で?話とは何だ。エミリア」
部屋を出て早々問い掛ければ、一瞬ライアンの方を見た彼女は何事もなかったかのように作り笑い感満載の笑みを浮かべた。
「ふふふっ、言わなくとも分かっているでしょうに。………ディアの言葉についてよ」
「………お前、俺への扱いが物凄く雑になっていないか?」
「敬う必要性を感じないからよ。ディアのあの様子から言って当たり前ね」
俺は何も言い返せず、ただ黙って顔だけは天使のような女を見つめた。本当に、息子共々顔だけは良い。言っていることはえげつないほどに毒舌なようだが。
「………俺も驚いている。体調を崩しがちなのは知っていたが、あそこまで自分を痛めつけているとは考えもしなかった」
「はあー、………身体が弱いのは母親譲り?」
「そうだ。クロエ譲りだ」
「………あの子がすみれが好きなのも?」
「!!」
『菫』という単語に、俺は片眉を上げた。確かにクロエは自分の瞳の色と同じ菫の花をこよなく愛していた。クラウディアの部屋の壁紙も、淡い色彩の薔薇と伸び伸びとしたデザインの菫の花が絡み合った柄だ。今更だが、男が生まれたらどうするつもりだったのだろうか。………彼女のことだから、おそらくは何も考えていなかったのだろう。
「アレは『菫』が好きなのか?」
「本人は否定しているわ」
隣でライアンの駆け出す音が聞こえた。庭園の方に足を向けていたから、花でも摘みに行こうとしているのだろう。存外気遣いのできる男なようだ。
「あの、診察が終わりました」
医者の声に、俺とエミリアは会話を止めた。元クロエの主治医は、今はクラウディアの主治医になっている。
「過度の過労とストレスによる疲労が蓄積したことが原因かと思います。環境の変化は体調を崩しやすくなりますから、十分に気をつけるようにしてください。お薬を3日分処方しておくので、また何か起こりましたら、ご召集ください。それではお暇させていただきます」
ガンッ!!
「………………」
エミリアが廊下の壁を力一杯殴っていた。悔しそうに顔を歪め、今にも泣きそうな表情をしている。継母なのにも関わらずディアを心配するとは、なんとも不思議な女だ。
「………ねぇ、ディアのお部屋に入ってもいいのかな?」
「メアリーに聞いてからにしなさい。多分、今着替えをさせているわ」
俺は呆然とした心地でエミリアとライアンを眺め、そして逃げるように執務室へと向かった。クロエの怒った顔が見えた気がした。
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
『わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?』
『男前な男装皇女は小動物な悪役令息をお望みです』
が本編完結いたしました。お時間がある方は覗いてみてください!!
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隣でライアンの駆け出す音が聞こえた。庭園の方に足を向けていたから、花でも摘みに行こうとしているのだろう。存外気遣いのできる男なようだ。
「あの、診察が終わりました」
医者の声に、俺とエミリアは会話を止めた。元クロエの主治医は、今はクラウディアの主治医になっている。
「過度の過労とストレスによる疲労が蓄積したことが原因かと思います。環境の変化は体調を崩しやすくなりますから、十分に気をつけるようにしてください。お薬を3日分処方しておくので、また何か起こりましたら、ご召集ください。それではお暇させていただきます」
ガンッ!!
「………………」
エミリアが廊下の壁を力一杯殴っていた。悔しそうに顔を歪め、今にも泣きそうな表情をしている。継母なのにも関わらずディアを心配するとは、なんとも不思議な女だ。
「………ねぇ、ディアのお部屋に入ってもいいのかな?」
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