39 / 107
過去2 ワンコ攻め
しおりを挟む
「…」
「ロン?」
ハルは相変わらず、何を考えているのか分からない微笑みを浮かべた。
ロンは敵対心に満ちた瞳を向ける。
恨みを込めた目で睨まれたことに、俺は心を抉られたショックを覚えた。
だけど…もう後戻りは出来ない。
ロンに嫌われて、もう友だちとしてずっと傍にいることは出来なくなってしまった。
ハルは穏やかな表情でロンを見る。
ロンは嫌そうに顔を歪めた。
「どうしたら…僕に関わらないでくれる?」
言い方から、本当に俺に辟易していることが分かった。
心を抉られる感じがした。
涙を堪える。
コイツは同情するような奴じゃない。
「ロン」
ハルは俯いたと思ったら、僕の頬をなでウットリした顔を向けた。
いつもは爽やかな綺麗な顔が、この時ばかりは胃もたれするような甘ったるい表情を浮かべる。
うっ…
苦手だ。このハルの顔…胃もたれする。
早く言えよ!と心の中で叫ぶ。
この数秒、居心地の悪さに苛まれた。
「俺と付き合って」
目は真剣に、ロンは「ええ…」といった、引いた顔をした。
…
「…それ以外は?」
「それ以外は無い」
バシッと言われる。
僕はこのやり取りも面倒臭くなってきた。
もう帰りたい…
だけど急に帰ったりすると、またハルを怒らせるのだろう。
最近自分の身が危ない気がしてくる…
それにハルに振られ続けている女子達を思うと、微かな優越感に浸された。
「…付き合ってあげても、いいよ」
勝手に言葉が出てくる。
自分の言葉を自分で疑った。
え?っと止まり、ハルも固まって動かなかった。
だがゆっくりと、ハルの片方の口角が上がった。
「ホントに…?」
嬉しそうにハルの顔が、パアアと明るくなる。
飛びつくように抱きつかれた後、僕はハルのなされるがままだった。
いずれ飽きるだろ…
そう思い、僕は現実逃避をした。
…
せっかくハルから断るために、そんなに好きでもない女子と付き合っても寝取られ、結局こうなった。
情けない…
「ハアア~」とロンは欠伸をする。
空を見上げ、僅かに動く入道雲を見つめる。
アイツから逃げるためだ…
でも男と付き合うなんて…
絶望に苛まれる。
それを繰り返し、ロンは百面相を繰り返していた。
カサッと草を踏む音がした。
空が見えなくなり、代わりにハルのニッコリした顔が現れる。
「…なに?」
意識しなくてもトゲトゲしく対応してしまう。
「もっと優しい言い方をしてほしいな」
柔らかい穏やかな表情で嬉しそうに言っている。
僕と付き合うのがそんなに嬉しいのか…
ロンは意味が分からないっと言った顔をした。
相変わらずハルはニコニコと笑う。
「今日から俺たち恋人同士だよね」
前の、最初に振られたときの子犬のような、表情に戻る。
それに安堵感を覚えた。
「そうだね」
適当に、どうでもいい事のように僕は言った。
モテモテのハルが、童貞のように嬉しそうに笑う様子に半端じゃない違和感を覚えた。
それが僕は満更でもなく、無意識に笑顔を浮かべていた。
…
ずっと忘れていたあの時の記憶。
僕の中では、優しいままで終わっていたハル。
だが違うのかもしれない…
ピンポン ピンポン
矢継ぎ早に、けたたましくなるインターホン。
インターホンに映る女性。
ありありとあの時の光景が、これでもかという程思い出していく…
僕は嗚咽し、その場にペタンと崩れ落ちた。
「ロン?」
ハルは相変わらず、何を考えているのか分からない微笑みを浮かべた。
ロンは敵対心に満ちた瞳を向ける。
恨みを込めた目で睨まれたことに、俺は心を抉られたショックを覚えた。
だけど…もう後戻りは出来ない。
ロンに嫌われて、もう友だちとしてずっと傍にいることは出来なくなってしまった。
ハルは穏やかな表情でロンを見る。
ロンは嫌そうに顔を歪めた。
「どうしたら…僕に関わらないでくれる?」
言い方から、本当に俺に辟易していることが分かった。
心を抉られる感じがした。
涙を堪える。
コイツは同情するような奴じゃない。
「ロン」
ハルは俯いたと思ったら、僕の頬をなでウットリした顔を向けた。
いつもは爽やかな綺麗な顔が、この時ばかりは胃もたれするような甘ったるい表情を浮かべる。
うっ…
苦手だ。このハルの顔…胃もたれする。
早く言えよ!と心の中で叫ぶ。
この数秒、居心地の悪さに苛まれた。
「俺と付き合って」
目は真剣に、ロンは「ええ…」といった、引いた顔をした。
…
「…それ以外は?」
「それ以外は無い」
バシッと言われる。
僕はこのやり取りも面倒臭くなってきた。
もう帰りたい…
だけど急に帰ったりすると、またハルを怒らせるのだろう。
最近自分の身が危ない気がしてくる…
それにハルに振られ続けている女子達を思うと、微かな優越感に浸された。
「…付き合ってあげても、いいよ」
勝手に言葉が出てくる。
自分の言葉を自分で疑った。
え?っと止まり、ハルも固まって動かなかった。
だがゆっくりと、ハルの片方の口角が上がった。
「ホントに…?」
嬉しそうにハルの顔が、パアアと明るくなる。
飛びつくように抱きつかれた後、僕はハルのなされるがままだった。
いずれ飽きるだろ…
そう思い、僕は現実逃避をした。
…
せっかくハルから断るために、そんなに好きでもない女子と付き合っても寝取られ、結局こうなった。
情けない…
「ハアア~」とロンは欠伸をする。
空を見上げ、僅かに動く入道雲を見つめる。
アイツから逃げるためだ…
でも男と付き合うなんて…
絶望に苛まれる。
それを繰り返し、ロンは百面相を繰り返していた。
カサッと草を踏む音がした。
空が見えなくなり、代わりにハルのニッコリした顔が現れる。
「…なに?」
意識しなくてもトゲトゲしく対応してしまう。
「もっと優しい言い方をしてほしいな」
柔らかい穏やかな表情で嬉しそうに言っている。
僕と付き合うのがそんなに嬉しいのか…
ロンは意味が分からないっと言った顔をした。
相変わらずハルはニコニコと笑う。
「今日から俺たち恋人同士だよね」
前の、最初に振られたときの子犬のような、表情に戻る。
それに安堵感を覚えた。
「そうだね」
適当に、どうでもいい事のように僕は言った。
モテモテのハルが、童貞のように嬉しそうに笑う様子に半端じゃない違和感を覚えた。
それが僕は満更でもなく、無意識に笑顔を浮かべていた。
…
ずっと忘れていたあの時の記憶。
僕の中では、優しいままで終わっていたハル。
だが違うのかもしれない…
ピンポン ピンポン
矢継ぎ早に、けたたましくなるインターホン。
インターホンに映る女性。
ありありとあの時の光景が、これでもかという程思い出していく…
僕は嗚咽し、その場にペタンと崩れ落ちた。
10
お気に入りに追加
1,119
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
犬用オ●ホ工場~兄アナル凌辱雌穴化計画~
雷音
BL
全12話 本編完結済み
雄っパイ●リ/モブ姦/獣姦/フィスト●ァック/スパンキング/ギ●チン/玩具責め/イ●マ/飲●ー/スカ/搾乳/雄母乳/複数/乳合わせ/リバ/NTR/♡喘ぎ/汚喘ぎ
一文無しとなったオジ兄(陸郎)が金銭目的で実家の工場に忍び込むと、レーン上で後転開脚状態の男が泣き喚きながら●姦されている姿を目撃する。工場の残酷な裏業務を知った陸郎に忍び寄る魔の手。義父や弟から容赦なく責められるR18。甚振られ続ける陸郎は、やがて快楽に溺れていき――。
※闇堕ち、♂♂寄りとなります※
単話ごとのプレイ内容を12本全てに記載致しました。
(登場人物は全員成人済みです)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる