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過去
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「ハル、また振ったんだって!?」
噂好きの同級生が大きな声で言っている。
聞きたくもないのに…
僕はフイッと顔を背けた。
ハルは気まずそうに僕の方をチラッと見た。
ハルに本をプレゼントされた、丁度後だった。
僕は仕方無しに、机に突っ伏し寝たフリをした。
…
ハルに初めて会い、最初に囚わらわれた感情は嫉妬だった。
ハルはイケメンでとても目立っていた。
そして優しくて誰からも好かれていた。
僕とは違う人間で気が合うところが無い。
関わることのない人間だと思っていた。
なのに何故か妙に優しく接してくる。
ハルの周りには人が、惹き寄せられているように集まっていた。
そして僕も、流れるようにハルの傍に行き着いた。
◇
「一緒に遊ばない?」
結構仲良くなってきた頃、自分から話しかけることが多くなってきた。
ロンはイタズラっ子ぽい笑顔をハルに向ける。
何気なく言った言葉だった。
ハルは驚いた顔をして、そして嬉しそうに笑った。
…
「ロン、俺の家行こう?」
「ああ…また今度」
「それっていつ?」
「…わからないよ」
握られた腕を振り払う。
切実そうに、いつもは子犬のような瞳をしていた。
だけど最近狼のような、恐ろしい表情をするようになった。
思いの外強く握られた腕を擦る。
僕は迷惑そうにハルを見た。
「僕にもう関わらないで」
「ちょっと、待って…」
ハルはロンの腕を引っ張り振り向かせた。
ロンの綺麗な顔が近くなる。
まずい…
俺はロンの頭の後ろを持ち、ロンの唇にキスをした。
…
「え…」
ポカンとしたロンは、「な、に、するんだ…」と途切れ途切れに話す。
相当驚いたようだ。
バッと体を離し、ロンは必死で口を拭う。
その様子を傷付いたようにハルは見ていた。
「止めろよ…!ホント、最悪だ!」
ロンはあからさまに嫌な顔を向ける。
ハルとの関わりを断つためだった。
嫌われた方がマシだ。
そう思ったのに…
ハルは僕の顎を優しく掴んだ。
「やめろっ!」
そっぽを向こうとしても、強引にハルの方を向き直された。
そしてハルはニコッと微笑む。
初めてハルが怖いと思った。
…
僕は酷く動揺する。
「なんでそんなに嫌がるかなあ」
ゆったりとした調子でハルは話す。
怯えた様子のロンを、優しく笑い、髪の毛を撫でた。
青い顔でカタカタと震えていた。
◇
断った筈だ。ハッキリと。
メールでも嫌な奴だと思われただろう。
だけど、僕は普通に彼女を作りたいし、ホモと噂になってイジメの標的になるようなことも嫌だった。
振ったのに…しつこいな。
苦々しくハルを、見つめる。
なのにハルは笑顔を向けてくる。
まるで断ったことを、無かったことにしてるみたいに…
ゾッ
鳥肌が立つ。
まただ…最近ハルを見ると酷く怖い。
ハルは誰に対しても優しく、怒った顔は見たことが無い。
だけど僕に対してだけ、あからさまに不機嫌な表情を見せる。
見たくなかった。
それに…何でまだ話しかけて来るんだ?
もうウンザリだった。
「ホモだってことバレたら困るのはハルだよね?」
そう言ったこともあった。
だがハルはクスッと笑い、僕を「バカだなあ」と言いたげな顔を作った。
「誰が信じると思う?」
冷たく言い放った。
「それに俺は女子とも付き合ったこともあるし…」
ロンの顔は暗く俯いていた。
「…僕の彼女を取ったんだろ?」
「あの子から誘ってきたんだ」
事実だというように平然と言った。
ムカつく…
ロンはハルを嫌悪感で満ちた目で睨む。
このとき僕はハルから逃げたくて堪らなかった。
噂好きの同級生が大きな声で言っている。
聞きたくもないのに…
僕はフイッと顔を背けた。
ハルは気まずそうに僕の方をチラッと見た。
ハルに本をプレゼントされた、丁度後だった。
僕は仕方無しに、机に突っ伏し寝たフリをした。
…
ハルに初めて会い、最初に囚わらわれた感情は嫉妬だった。
ハルはイケメンでとても目立っていた。
そして優しくて誰からも好かれていた。
僕とは違う人間で気が合うところが無い。
関わることのない人間だと思っていた。
なのに何故か妙に優しく接してくる。
ハルの周りには人が、惹き寄せられているように集まっていた。
そして僕も、流れるようにハルの傍に行き着いた。
◇
「一緒に遊ばない?」
結構仲良くなってきた頃、自分から話しかけることが多くなってきた。
ロンはイタズラっ子ぽい笑顔をハルに向ける。
何気なく言った言葉だった。
ハルは驚いた顔をして、そして嬉しそうに笑った。
…
「ロン、俺の家行こう?」
「ああ…また今度」
「それっていつ?」
「…わからないよ」
握られた腕を振り払う。
切実そうに、いつもは子犬のような瞳をしていた。
だけど最近狼のような、恐ろしい表情をするようになった。
思いの外強く握られた腕を擦る。
僕は迷惑そうにハルを見た。
「僕にもう関わらないで」
「ちょっと、待って…」
ハルはロンの腕を引っ張り振り向かせた。
ロンの綺麗な顔が近くなる。
まずい…
俺はロンの頭の後ろを持ち、ロンの唇にキスをした。
…
「え…」
ポカンとしたロンは、「な、に、するんだ…」と途切れ途切れに話す。
相当驚いたようだ。
バッと体を離し、ロンは必死で口を拭う。
その様子を傷付いたようにハルは見ていた。
「止めろよ…!ホント、最悪だ!」
ロンはあからさまに嫌な顔を向ける。
ハルとの関わりを断つためだった。
嫌われた方がマシだ。
そう思ったのに…
ハルは僕の顎を優しく掴んだ。
「やめろっ!」
そっぽを向こうとしても、強引にハルの方を向き直された。
そしてハルはニコッと微笑む。
初めてハルが怖いと思った。
…
僕は酷く動揺する。
「なんでそんなに嫌がるかなあ」
ゆったりとした調子でハルは話す。
怯えた様子のロンを、優しく笑い、髪の毛を撫でた。
青い顔でカタカタと震えていた。
◇
断った筈だ。ハッキリと。
メールでも嫌な奴だと思われただろう。
だけど、僕は普通に彼女を作りたいし、ホモと噂になってイジメの標的になるようなことも嫌だった。
振ったのに…しつこいな。
苦々しくハルを、見つめる。
なのにハルは笑顔を向けてくる。
まるで断ったことを、無かったことにしてるみたいに…
ゾッ
鳥肌が立つ。
まただ…最近ハルを見ると酷く怖い。
ハルは誰に対しても優しく、怒った顔は見たことが無い。
だけど僕に対してだけ、あからさまに不機嫌な表情を見せる。
見たくなかった。
それに…何でまだ話しかけて来るんだ?
もうウンザリだった。
「ホモだってことバレたら困るのはハルだよね?」
そう言ったこともあった。
だがハルはクスッと笑い、僕を「バカだなあ」と言いたげな顔を作った。
「誰が信じると思う?」
冷たく言い放った。
「それに俺は女子とも付き合ったこともあるし…」
ロンの顔は暗く俯いていた。
「…僕の彼女を取ったんだろ?」
「あの子から誘ってきたんだ」
事実だというように平然と言った。
ムカつく…
ロンはハルを嫌悪感で満ちた目で睨む。
このとき僕はハルから逃げたくて堪らなかった。
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