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第1章 召喚編
022 湯屋
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#022 湯屋
陛下とのウィスキーの褒美について話し合った後は特にする事もなくてのんびりとしていた。そろそろ何かしないとなぁ。
朝、お湯で体を拭いていたら、良い情報を聞いた。
街に湯屋がオープンしたというのだ。
湯屋というのはいわゆる風呂屋とは違い、お湯に浸かるタイプではなくサウナのことだ。蒸し風呂に入って汗を流し、水で洗い流して綺麗にするやつだ。
お湯を大量に用意する必要もなく、お湯を常にきれいにしておく必要もないため、お風呂よりかは一般的である。
それが新規オープンするというのだ。
リリーアナさんの屋敷にも風呂はあるのだが、洋風のスタイルでバスタブにお湯を張って、体もバスタブの中で洗うタイプだ。洗い場というものがなく、体を洗った後はそのまま体を拭く。
洗い場を用意すると水の排水などの問題で建物自体の建て直しが必要になるため、洗い場のある風呂は浸透していない。
風呂の中で体を洗うという習慣に馴染めない俺はたまにしか入らず、もっぱら体を拭く事で身をきれいにしていた。もちろんそれだけで綺麗になるわけではないのだが、まだ汗をかくほど暑い季節ではないのでなんとかなっている。
まあその分頻繁に体を拭いてるんだけどね。1日に3回も4回も体を拭くのでクレアには申し訳ない事をしてるかもしれない。だってその度にお湯を沸かすんだから。
まあ俺の風呂事情は置いといて、湯屋である。
一般の人が入れる公衆湯屋で値段は多少高いが体を綺麗にするだけでなく気分もスッキリする事から週に一回くらいは入るらしい。
これまでも小さな湯屋は何箇所かあったのだが、大きな湯屋がオープンしたというのだ。これは是非とも一度は利用してみないと。
クレアに案内してもらって湯屋に向かう。馬車で行っても邪魔になるだけなので歩いて向かう。一般人が対象の湯屋に馬車の預かり所なんてないからね。
湯屋には人がたくさん並んでいた。今日はオープン初日という事で半額で入れるらしい。ただ、くる人全員を同時に入れたら中が大変な事になるので人数制限をしているらしい。
「クレア、これは出直した方が良いかな?」
「そうですね。これだけ並んでると何時間待つかわかりません。大人しく屋敷でお風呂に入られてはいかがですか?」
クレアとしては風呂があるのに湯屋に行く感覚が分からないらしい。サウナはいいものだよ?お風呂も日本風の洗い場があればそっちの方がいいんだけど、中で洗うタイプのはどうにも肌に合わないんだ。
他の小さな湯屋にするか?いや、小さいところはそれほど綺麗じゃないって聞くし。衛生的な観点からするとまだ綺麗なうちに利用したい。
「公爵家の力で順番を抜かす事も出来ると思いますが」
「いや、こんな時に使うような権力じゃないだろう。貴族は風呂にでも入ってろって言われそうだしな」
ちょっとだけ俺も思ったけど、ここは一般人向けの施設だ。貴族が横入りするような場所じゃない。
「はあ、体を綺麗にする魔法でもないものかね」
「ありますよ?」
は?
「魔術師自体が少ないので一般的ではありませんが、体だけでなく服なども綺麗にするクリーンという魔法があるそうです。
汚れがどこに行くのかなどが不思議ですが、魔法自体はあるらしいですよ」
そんな便利な魔法があったのか。
魔術師は数が少ないとはいえ、それだけでも十分生活できるほど稼げるんじゃないだろうか。
「魔術師の魔力も無限ではありませんし、それに綺麗になるとは言っても風呂に入るのと違って満足感がありません。
王族であれば旅の途中に宮廷魔術師にかけてもらう事もあるようですが。王族は身嗜みを整えるのも仕事ですからね」
なるほど。満足感は確かに大事だな。
俺はせっかく来たのでのんびりと順番を待つ事にした。別に他にする事もないしね。2時間ほど並んでようやく俺の順番が来る。
入る前に湯屋の使い方の説明を受ける。
巨大な水瓶があるが、皆が体にかけるようのものなので汚さないことなど、ごく一般的な内容だ。後は貴重品の問題かな。鍵がかかるわけではないので大事なものは持って入るようにとの事だ。責任は取れないと。
だからお金だけ持って入る人も多いらしい。
早速服を脱いで湯屋に入る。俺はクレアにお金を預けたので気楽なもんだ。クレアは仕事中だからと外で待っているそうだ。
腰にタオルを巻いて蒸し風呂の中に入る。部屋はいっぱいだが、人数制限をしているだけあって一応座る場所はある。むさいおっさんどもが座ってるわけだが、まあサウナなんてそんなものだ。混浴のサウナなんてあったら見てみたいものだ。
じっくりと汗をかいて、蒸し風呂から出て体を拭き、水を浴びる。そしてまた蒸し風呂に戻る。途中で布で体を拭くのは浮いた汚れを落とすためだ。水を浴びるだけでも落ちるのだが、やっぱり体を拭わないと綺麗になった気がしない。
何度も往復し頭がぼーっとし出したところでやめる。これ以上いたらのぼせて気分が悪くなりそうだ。
最後に水をしっかりと浴びて店を出る。
出口ではクレアが待っていてくれ、財布を返してもらう。ちゃんとお金持ってないと、買い物するときに自動的に力が働いてお金が出現しちゃうからね。
「これからどうされますか?屋敷に戻ってもする事はありませんが」
クレアさんや、もう少しオブラートに包もうか。俺が暇なのは確かだけど、言葉にするとダメージがでかいんだ。
せっかく街に出てきたので何か面白いものでもないかとぶらつく事にした。本当に暇人の行動だな。
屋台の串焼きを買い食いしたり、アクセサリーの店を冷やかしたりして暇を満喫した。
いやー、こんな暇な時間を楽しめるって良いよね。徐々に社畜の垢が落ちてくのを感じる。
土産物屋で面白いものを発見した。完全にお上りさん向けの店で値段も割高だが、王都土産としては品が揃ってると思う。
王都クッキー、王都ペナント、王都木剣。いや定番なんだけど、王都って付ければ良いてもんじゃないと思う。
で、面白いと思ったのはコマだ。紐をグルグル巻いて回すやつ。それが魔道具になっていて、魔力を流すと自動的に回るんだ。
一般人はほとんど魔力を持たないので数十秒しか回らないのであまり売れてはいないようだが、ベーゴマみたいに遊べるんじゃないだろうか?桶に布を張って、そこに二つまさして弾き出した方が勝ちとか。
だけど聞くとよほど頑丈な魔物の皮でも使わない限りすぐに穴が開いてしまってそういう遊び方は無理だという。
まあビニールやゴムがない世界だから仕方ないか。
まあせっかくだから一つ買って帰るか。今日のお出かけの記念品だ。銀貨三枚も取られてけどまあ旅行先で無駄に木刀を買ってしまう修学旅行生みたいな気分で購入してしまった。
陛下とのウィスキーの褒美について話し合った後は特にする事もなくてのんびりとしていた。そろそろ何かしないとなぁ。
朝、お湯で体を拭いていたら、良い情報を聞いた。
街に湯屋がオープンしたというのだ。
湯屋というのはいわゆる風呂屋とは違い、お湯に浸かるタイプではなくサウナのことだ。蒸し風呂に入って汗を流し、水で洗い流して綺麗にするやつだ。
お湯を大量に用意する必要もなく、お湯を常にきれいにしておく必要もないため、お風呂よりかは一般的である。
それが新規オープンするというのだ。
リリーアナさんの屋敷にも風呂はあるのだが、洋風のスタイルでバスタブにお湯を張って、体もバスタブの中で洗うタイプだ。洗い場というものがなく、体を洗った後はそのまま体を拭く。
洗い場を用意すると水の排水などの問題で建物自体の建て直しが必要になるため、洗い場のある風呂は浸透していない。
風呂の中で体を洗うという習慣に馴染めない俺はたまにしか入らず、もっぱら体を拭く事で身をきれいにしていた。もちろんそれだけで綺麗になるわけではないのだが、まだ汗をかくほど暑い季節ではないのでなんとかなっている。
まあその分頻繁に体を拭いてるんだけどね。1日に3回も4回も体を拭くのでクレアには申し訳ない事をしてるかもしれない。だってその度にお湯を沸かすんだから。
まあ俺の風呂事情は置いといて、湯屋である。
一般の人が入れる公衆湯屋で値段は多少高いが体を綺麗にするだけでなく気分もスッキリする事から週に一回くらいは入るらしい。
これまでも小さな湯屋は何箇所かあったのだが、大きな湯屋がオープンしたというのだ。これは是非とも一度は利用してみないと。
クレアに案内してもらって湯屋に向かう。馬車で行っても邪魔になるだけなので歩いて向かう。一般人が対象の湯屋に馬車の預かり所なんてないからね。
湯屋には人がたくさん並んでいた。今日はオープン初日という事で半額で入れるらしい。ただ、くる人全員を同時に入れたら中が大変な事になるので人数制限をしているらしい。
「クレア、これは出直した方が良いかな?」
「そうですね。これだけ並んでると何時間待つかわかりません。大人しく屋敷でお風呂に入られてはいかがですか?」
クレアとしては風呂があるのに湯屋に行く感覚が分からないらしい。サウナはいいものだよ?お風呂も日本風の洗い場があればそっちの方がいいんだけど、中で洗うタイプのはどうにも肌に合わないんだ。
他の小さな湯屋にするか?いや、小さいところはそれほど綺麗じゃないって聞くし。衛生的な観点からするとまだ綺麗なうちに利用したい。
「公爵家の力で順番を抜かす事も出来ると思いますが」
「いや、こんな時に使うような権力じゃないだろう。貴族は風呂にでも入ってろって言われそうだしな」
ちょっとだけ俺も思ったけど、ここは一般人向けの施設だ。貴族が横入りするような場所じゃない。
「はあ、体を綺麗にする魔法でもないものかね」
「ありますよ?」
は?
「魔術師自体が少ないので一般的ではありませんが、体だけでなく服なども綺麗にするクリーンという魔法があるそうです。
汚れがどこに行くのかなどが不思議ですが、魔法自体はあるらしいですよ」
そんな便利な魔法があったのか。
魔術師は数が少ないとはいえ、それだけでも十分生活できるほど稼げるんじゃないだろうか。
「魔術師の魔力も無限ではありませんし、それに綺麗になるとは言っても風呂に入るのと違って満足感がありません。
王族であれば旅の途中に宮廷魔術師にかけてもらう事もあるようですが。王族は身嗜みを整えるのも仕事ですからね」
なるほど。満足感は確かに大事だな。
俺はせっかく来たのでのんびりと順番を待つ事にした。別に他にする事もないしね。2時間ほど並んでようやく俺の順番が来る。
入る前に湯屋の使い方の説明を受ける。
巨大な水瓶があるが、皆が体にかけるようのものなので汚さないことなど、ごく一般的な内容だ。後は貴重品の問題かな。鍵がかかるわけではないので大事なものは持って入るようにとの事だ。責任は取れないと。
だからお金だけ持って入る人も多いらしい。
早速服を脱いで湯屋に入る。俺はクレアにお金を預けたので気楽なもんだ。クレアは仕事中だからと外で待っているそうだ。
腰にタオルを巻いて蒸し風呂の中に入る。部屋はいっぱいだが、人数制限をしているだけあって一応座る場所はある。むさいおっさんどもが座ってるわけだが、まあサウナなんてそんなものだ。混浴のサウナなんてあったら見てみたいものだ。
じっくりと汗をかいて、蒸し風呂から出て体を拭き、水を浴びる。そしてまた蒸し風呂に戻る。途中で布で体を拭くのは浮いた汚れを落とすためだ。水を浴びるだけでも落ちるのだが、やっぱり体を拭わないと綺麗になった気がしない。
何度も往復し頭がぼーっとし出したところでやめる。これ以上いたらのぼせて気分が悪くなりそうだ。
最後に水をしっかりと浴びて店を出る。
出口ではクレアが待っていてくれ、財布を返してもらう。ちゃんとお金持ってないと、買い物するときに自動的に力が働いてお金が出現しちゃうからね。
「これからどうされますか?屋敷に戻ってもする事はありませんが」
クレアさんや、もう少しオブラートに包もうか。俺が暇なのは確かだけど、言葉にするとダメージがでかいんだ。
せっかく街に出てきたので何か面白いものでもないかとぶらつく事にした。本当に暇人の行動だな。
屋台の串焼きを買い食いしたり、アクセサリーの店を冷やかしたりして暇を満喫した。
いやー、こんな暇な時間を楽しめるって良いよね。徐々に社畜の垢が落ちてくのを感じる。
土産物屋で面白いものを発見した。完全にお上りさん向けの店で値段も割高だが、王都土産としては品が揃ってると思う。
王都クッキー、王都ペナント、王都木剣。いや定番なんだけど、王都って付ければ良いてもんじゃないと思う。
で、面白いと思ったのはコマだ。紐をグルグル巻いて回すやつ。それが魔道具になっていて、魔力を流すと自動的に回るんだ。
一般人はほとんど魔力を持たないので数十秒しか回らないのであまり売れてはいないようだが、ベーゴマみたいに遊べるんじゃないだろうか?桶に布を張って、そこに二つまさして弾き出した方が勝ちとか。
だけど聞くとよほど頑丈な魔物の皮でも使わない限りすぐに穴が開いてしまってそういう遊び方は無理だという。
まあビニールやゴムがない世界だから仕方ないか。
まあせっかくだから一つ買って帰るか。今日のお出かけの記念品だ。銀貨三枚も取られてけどまあ旅行先で無駄に木刀を買ってしまう修学旅行生みたいな気分で購入してしまった。
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