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二章 新たな出会い
第九話・フラグが立つ前に
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「ふ...せっかく必死こいて懸命に開けたんだ。いくら怪しかろうとも、
それを勇者が恐れてどうするっていうんだ!」
まぁ、追放どころ、殺されそうになった勇者(笑)だけど。
「それにさ、もしかしたら物凄いお宝があの部屋の中で眠っている
可能性がないとも言えんしなっ!」
開いた扉の隙間から見えてくる風景をジィィーッと視線に映すと、
好奇心の他に探求心も更に沸いてきて、
「よし!ここまでやったんだ、恐れずに突き進んでみようかっ!」
俺の心が俺にそう語り掛ける。
そうなってしまうともう迷いは一切なく、俺はその心の声に従い、
フラフラな身体を無理矢理に起こして、やっとの思いでこじ開けた
扉の中へとゆっくりゆっくりと歩いて入って行く。
◇◇◇◇◇◇◇
「この部屋...意外に広いな。その証拠に、俺の声が部屋中に響き渡って
いやがる......」
俺の発した声が部屋中に次々と木霊しているのを聞き、この部屋の広さを
改めて実感する。
しかし...この部屋。
お宝が置いてある場所というよりも、『あの』部屋の可能性が高くね?
......ん?
あれはなんだ?
部屋の一番向こうの奥に見えている、あの小さな山みたいな黒い物体は?
な、なんかあの黒い物体、さっきから不気味に動いているし、あの黒い物体から
半端ない重圧感がのし掛かってきて、俺の肌に言い知れぬ何かがヒシヒシと
突き刺さってくるんですけど!?
.....うん。これは間違いない。
この部屋、百二十パーセント『ボスの部屋』で決定だねっ!
......で、この感じを察するに、あの黒い物体らしき物が恐らくボスなんだろう。
「そ、そうと分かったら、『あれ』に気づかれてボス戦闘フラグが立つ前に、
急いでこの部屋を出なけれ――――」
ボスと戦闘なんて御免被るとばかり、俺は足音が立たない様な速度でゆっくりと
この部屋から出て行こうとしたその瞬間、
「ふふふふ...よくきたなぁ、人族の子よっ!」
部屋中に、威圧感タップリの低い声が響き渡った。
ギャァァアアアァァァ―――――ッ!!?
い、いい、い、如何にもって語りで話しかけられたぁぁああぁぁっ!!?
俺が心の中でそう喫驚していると、ズゴゴゴという物凄い地響きが部屋中を
包み込み、そして俺の目の前の床がスーッと暗くなっていく。
「はは...ははは...ヤベェな、これ......」
俺が恐れを為してるその瞬間も、重圧感と威圧感がドンドン、ドンドンと
大きく膨れ上がっていく。
うぐぅう......ど、どうしよう!?
こ、このままじゃ確実にボス戦闘に入ってしまうぞ!?
そうなってしまう前に、今は逃げる事に専念しようっ!
俺は心の中でそう決めると、この部屋から逃げ出す事だけに全神経を
集中させる。
そして、
黒い物体に気付かれないよう、そろ~り、そろ~りとその場を逃げて行く。
「おい、その貴様。聞こえているのだろう?なら、いつまでそうやって後ろを
向いて黙っておるつもりなんだ?」
「.........」
こ、こんな声、完全に無視だ!無視っ!!
俺を呼ぶ声なんて、俺には聞こえないったら、聞こえないぃぃ~~~っ!
逃げようとしている最中、俺に黒い物体が声を掛けてくるが、俺はそんな声なんて
聞こえませんというフリをして、1センチ、1センチと確実な足取りで扉の方へと
移動をして行く。
そんな感じで扉へ順調に向かっていると、
「おい.....もしかして貴様、我から逃げようとしていないか?」
「―――はう!?」
俺の肩をグッと掴むかの様に語りかけてくるその図星を突く声に、俺は逃げる為に
動かしていた足をピタリと止めてしまう。
バ、ババ、バ、バレてるぅぅうぅぅぅぅうぅ―――――っ!!?
逃げようとしていた事が相手に、バレてしまったというこの危機的状況に、
俺の心臓はハチ切れんばかりに鼓動をバクバクと速め、そして額からは
大量の汗が溢れてくるのだった。
それを勇者が恐れてどうするっていうんだ!」
まぁ、追放どころ、殺されそうになった勇者(笑)だけど。
「それにさ、もしかしたら物凄いお宝があの部屋の中で眠っている
可能性がないとも言えんしなっ!」
開いた扉の隙間から見えてくる風景をジィィーッと視線に映すと、
好奇心の他に探求心も更に沸いてきて、
「よし!ここまでやったんだ、恐れずに突き進んでみようかっ!」
俺の心が俺にそう語り掛ける。
そうなってしまうともう迷いは一切なく、俺はその心の声に従い、
フラフラな身体を無理矢理に起こして、やっとの思いでこじ開けた
扉の中へとゆっくりゆっくりと歩いて入って行く。
◇◇◇◇◇◇◇
「この部屋...意外に広いな。その証拠に、俺の声が部屋中に響き渡って
いやがる......」
俺の発した声が部屋中に次々と木霊しているのを聞き、この部屋の広さを
改めて実感する。
しかし...この部屋。
お宝が置いてある場所というよりも、『あの』部屋の可能性が高くね?
......ん?
あれはなんだ?
部屋の一番向こうの奥に見えている、あの小さな山みたいな黒い物体は?
な、なんかあの黒い物体、さっきから不気味に動いているし、あの黒い物体から
半端ない重圧感がのし掛かってきて、俺の肌に言い知れぬ何かがヒシヒシと
突き刺さってくるんですけど!?
.....うん。これは間違いない。
この部屋、百二十パーセント『ボスの部屋』で決定だねっ!
......で、この感じを察するに、あの黒い物体らしき物が恐らくボスなんだろう。
「そ、そうと分かったら、『あれ』に気づかれてボス戦闘フラグが立つ前に、
急いでこの部屋を出なけれ――――」
ボスと戦闘なんて御免被るとばかり、俺は足音が立たない様な速度でゆっくりと
この部屋から出て行こうとしたその瞬間、
「ふふふふ...よくきたなぁ、人族の子よっ!」
部屋中に、威圧感タップリの低い声が響き渡った。
ギャァァアアアァァァ―――――ッ!!?
い、いい、い、如何にもって語りで話しかけられたぁぁああぁぁっ!!?
俺が心の中でそう喫驚していると、ズゴゴゴという物凄い地響きが部屋中を
包み込み、そして俺の目の前の床がスーッと暗くなっていく。
「はは...ははは...ヤベェな、これ......」
俺が恐れを為してるその瞬間も、重圧感と威圧感がドンドン、ドンドンと
大きく膨れ上がっていく。
うぐぅう......ど、どうしよう!?
こ、このままじゃ確実にボス戦闘に入ってしまうぞ!?
そうなってしまう前に、今は逃げる事に専念しようっ!
俺は心の中でそう決めると、この部屋から逃げ出す事だけに全神経を
集中させる。
そして、
黒い物体に気付かれないよう、そろ~り、そろ~りとその場を逃げて行く。
「おい、その貴様。聞こえているのだろう?なら、いつまでそうやって後ろを
向いて黙っておるつもりなんだ?」
「.........」
こ、こんな声、完全に無視だ!無視っ!!
俺を呼ぶ声なんて、俺には聞こえないったら、聞こえないぃぃ~~~っ!
逃げようとしている最中、俺に黒い物体が声を掛けてくるが、俺はそんな声なんて
聞こえませんというフリをして、1センチ、1センチと確実な足取りで扉の方へと
移動をして行く。
そんな感じで扉へ順調に向かっていると、
「おい.....もしかして貴様、我から逃げようとしていないか?」
「―――はう!?」
俺の肩をグッと掴むかの様に語りかけてくるその図星を突く声に、俺は逃げる為に
動かしていた足をピタリと止めてしまう。
バ、ババ、バ、バレてるぅぅうぅぅぅぅうぅ―――――っ!!?
逃げようとしていた事が相手に、バレてしまったというこの危機的状況に、
俺の心臓はハチ切れんばかりに鼓動をバクバクと速め、そして額からは
大量の汗が溢れてくるのだった。
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