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二章 新たな出会い

第八話・扉を意地になって開ける

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「と、取り敢えず、後悔は後回しにしておくとして...今はここから
脱出できる場所を探し出すとしますか!」

俺は休憩の為に座っていた少し大きめの岩から腰を浮かせると、
再び冒険の続きを始める為、移動を開始する事にした。

「しっかし、あの城の兵士がこいつを持っていてくれて、本当に
良かったぜ。おかげさんで暗闇がバッチリ見え見えだよ!」

俺は手に持っている、光で闇を照らすマジックアイテムに頬ずりすると、
兵士にではなく、このマジックアイテムへ感謝の念を送る。

そんな感謝を送った後、俺はダンジョンの奥へ奥へと進み歩いて行く。


それからダンジョンの中をさまよい歩く事、幾数時間後。


「な、なんだ...こ、この大きな扉は......!?」

俺の目の前に何十メートルもあろうかという大きな扉がそびえ立っており、
そのあまりの大きさに圧倒されてた俺は、思わず後退りしてしまう。

「この扉...開くのかな...??」


......ゴクッ。


あ、開けてみちゃおっかなぁ?

俺はワクワクな好奇心が奥の底から湧き出てくると、この大きな扉を
開けるべく、身体を扉にピタッと押し当てた。

そして、めいいっぱい力を込めて、この大きな扉を押していく。


「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぅぅぅぅくぅぅううぅぅううっ!!」


お、重い!

見た目通り、この扉...めちゃくちゃ重いぃいいぃぃぃっ!!

やっぱりこんな大きな扉...俺に開けられるわけない...のか!?

好奇心よりも現実心が勝とうしていたその時、俺の耳にズゴゴ...と言う音が
微かに聞こえ入ってくる。

こ、この音は!?

こいつが開いている音か!?

おぉおおぉぉ!

す、少しずつだけど、扉が動いているって事か!?


ならさぁぁぁああっ!


「ぐぬぬぬぬ、ぐぬぬぬぬぬぬおおおぉぉぉぉぉぉおおぉぉっっ!!!」

俺は脳の血管が切れそうなくらいに力を最大に上げると、大きな扉が
少しずつ少しずつ、そうゆっくりではあるが、扉が開きはじめていると、
耳に聞こえてくる音と扉につけた身体がそれを実感する。


それから大きな扉を死に物狂いで押し続ける事、約数十分。


「ハァハァハァハァ......や、やっと...やっと開いたぁぁああぁぁっっ!!」

俺は苦労に苦労を掛けてやっと開けた扉を見て、喜びの雄叫びを上げると
共に、両腕を天へガッと突き出した。

それからしばらくの間、喜びにうち震えていた俺だったが、ドンドン時が
経つにつれて、俺の心が「変な意固地になった後に起こる虚無感」で
いっぱいになっていた。

「......冷静に考えてみたら、なんで俺こんな馬鹿デカイ扉を開けようと
思ったんだ......?」

よく見たらこの扉、悪魔や天使を叩き潰している邪悪っぽい竜の絵が
刻まれてあるじゃん!?

めちゃくちゃ怪しいにも程があるじゃんっ!

数分前の俺!もっとちゃんと観察して行動しろやぁあっ!!

好奇心に負けたのを棚に上げた俺の心が、この扉を意固地になって開けようと
思った数分前の自分の心を責め立てる。

「.........」

しかしそんな後悔と虚無感はまたいっときのこと。

開けた扉の隙間からチラッと見えてくる風景が目線に映ると、俺の好奇心が
ドンドン膨らんで再び復活し、扉の怪しさなんぞ、どこ吹く風よと言わんばかりに
吹き飛んでいく。

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