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新たなる始まり
第297話-一瞬の戦場-
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気配はすぐに分かった。多人数が駆けてくる音は特に分かりやすい。草木を分けて急に発生する音は自然には発生しない。
「止まれ!」
「な、何だ急に」
「聞こえねぇのか! 来るぞ」
気配に全然気付けてない護衛が心配になるが、今は目の前の障害に備える。
「動くなよ。そこの馬車はもう逃げられんねぇ」
目の前の体格のいい男がこいつらのリーダーらしい。そいつの周りに四人。後は気配で分かるのは左右に一人ずつ。計七人。
「近づけるなー!」
馬車の運転手の号令で馬車を囲む様に人員が配置されたが、既にこっちも囲まれてる。
「要求は積荷だ。渡すか渡さないか」
「金目のものなどない。帰ってくれ」
「その割にはこんだけ守り固めてるじゃねぇか」
商人の移動手段である合同馬車は狙われやすいとは聞いていたが、目の当たりにするとこの地域の治安が不安になる。機会があればフランソワにも言っといてやらねぇとな。
そんなことは置いておいて、俺は俺の仕事を全うするために馬から降りた。今は馬に乗ったままよりも地面に足をつけた方が良い。
敵は七人。まずは囲まれたこの状況を打開する必要がある。
相手に考える時間を与えないことが求められる。幸い速さには自信がある。
足に力を込める。膝を少し曲げて地面を蹴り上げて左から馬車を狙っている敵の元へと飛んだ。
鞘から剣を抜く動作で相手の胴体を切った。
そのまま木を蹴って今度は右側へと飛んだ。射程に入った瞬間に剣の切っ先が相手の体を引き裂いた。
悲鳴と木の上から落ちる音が二回耳に入る。
「後はあっちか」
包囲を解いてからリーダーらしき男達の中へ飛び込んだ。
「やれー!!!」
リーダーの男が叫ぶとこっちに武器が向けられ攻撃してくる。
敵は馬上、馬に罪はない。向けられた攻撃がこっちに届く前に男達の足だけ切って落馬させた。
「燃えちまえよ!」
リーダーの男の手のひらから炎がこちらを狙っていた。
赤く燃え上がる炎で目の前の光景が揺れて見える。放たれた魔法は一直線に向かってきた。
また地面を蹴って炎の少し横から平行に炎の出所へと向かう。
「仲間がいるとこに撃つなんてどうかしてんじゃねーか」
リーダーの男とすれ違いざまに言葉を投げて、一緒に斬撃もお見舞いした。
背後では男のうるさい叫び声と一緒に地面へと落ちた音がした。
「あんま魔法は得意じゃねぇが。肉体強化が出来る様になったのはやっぱり魔法様々だな」
平和故に最近だとフランソワの身の回りの事しか処理仕事していなかったから、この久々の実戦で肉体強化の恩恵を改めて思い知った。
「お、お前何もんだ……。ただの傭兵じゃ……ねぇ……だろ」
傷を抑えたまま俺を化け物でも見たかの様な視線で弱々しく威嚇してくる男。無理やり出した声がこっちからしたら痛々しいことこの上ない。
「ただの近衛騎士さ」
「止まれ!」
「な、何だ急に」
「聞こえねぇのか! 来るぞ」
気配に全然気付けてない護衛が心配になるが、今は目の前の障害に備える。
「動くなよ。そこの馬車はもう逃げられんねぇ」
目の前の体格のいい男がこいつらのリーダーらしい。そいつの周りに四人。後は気配で分かるのは左右に一人ずつ。計七人。
「近づけるなー!」
馬車の運転手の号令で馬車を囲む様に人員が配置されたが、既にこっちも囲まれてる。
「要求は積荷だ。渡すか渡さないか」
「金目のものなどない。帰ってくれ」
「その割にはこんだけ守り固めてるじゃねぇか」
商人の移動手段である合同馬車は狙われやすいとは聞いていたが、目の当たりにするとこの地域の治安が不安になる。機会があればフランソワにも言っといてやらねぇとな。
そんなことは置いておいて、俺は俺の仕事を全うするために馬から降りた。今は馬に乗ったままよりも地面に足をつけた方が良い。
敵は七人。まずは囲まれたこの状況を打開する必要がある。
相手に考える時間を与えないことが求められる。幸い速さには自信がある。
足に力を込める。膝を少し曲げて地面を蹴り上げて左から馬車を狙っている敵の元へと飛んだ。
鞘から剣を抜く動作で相手の胴体を切った。
そのまま木を蹴って今度は右側へと飛んだ。射程に入った瞬間に剣の切っ先が相手の体を引き裂いた。
悲鳴と木の上から落ちる音が二回耳に入る。
「後はあっちか」
包囲を解いてからリーダーらしき男達の中へ飛び込んだ。
「やれー!!!」
リーダーの男が叫ぶとこっちに武器が向けられ攻撃してくる。
敵は馬上、馬に罪はない。向けられた攻撃がこっちに届く前に男達の足だけ切って落馬させた。
「燃えちまえよ!」
リーダーの男の手のひらから炎がこちらを狙っていた。
赤く燃え上がる炎で目の前の光景が揺れて見える。放たれた魔法は一直線に向かってきた。
また地面を蹴って炎の少し横から平行に炎の出所へと向かう。
「仲間がいるとこに撃つなんてどうかしてんじゃねーか」
リーダーの男とすれ違いざまに言葉を投げて、一緒に斬撃もお見舞いした。
背後では男のうるさい叫び声と一緒に地面へと落ちた音がした。
「あんま魔法は得意じゃねぇが。肉体強化が出来る様になったのはやっぱり魔法様々だな」
平和故に最近だとフランソワの身の回りの事しか処理仕事していなかったから、この久々の実戦で肉体強化の恩恵を改めて思い知った。
「お、お前何もんだ……。ただの傭兵じゃ……ねぇ……だろ」
傷を抑えたまま俺を化け物でも見たかの様な視線で弱々しく威嚇してくる男。無理やり出した声がこっちからしたら痛々しいことこの上ない。
「ただの近衛騎士さ」
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