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新たなる始まり
第273話-もう一度-
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有栖川さんと会った日の夜は気持ちの昂りを抑えられずにパソコンに向かっていた。
最初は新しい話を書くつもりだった。だけど、いざ開くと書く気持ちよりも、思い出に浸りたい気持ちが勝ってしまった。
フランソワとして過ごした世界の時間。
そう思わせたのは有栖川さんの話のせいか、それとも最後の問いのせいかは自分でも分からない。
自分の書いた文章を0から読み返す。決して上手くはない自分の文字の羅列を読み返すたびに当時の状況が脳裏に浮かぶ。
文字だけでは決して伝わらない、雨の寒さ、料理の味、拳を握りしめた時の痛み……そして、喜び。
「これは私だけが知ってるの話……。思い出だもんね」
有栖川さんがかつて見た世界。世界は同じでも視点が違った、結果が違った。
でも私はこの世界へと帰ってきた。目が覚めたように。
もう一度寝たらあの世界に行けるのかと言うのは帰ってきてから少しの間ずっと思っていた。
だけど、その気持ちは次第に日を重ねるごとに無くなっていった。
「そりゃ行きたいよ」
まだまだやりたい事、見たい事が山程ある。未練がないわけなんてない。
あの世界がどうなったのかも私は分からない。
「気になるよそりゃ。もう一回……行きたいな。お願いよ」
当然ながら反応はない。ただの独り言だ。
アリスのようにお願いを聞いてくれる友達と言うのもいない。
この世界で魔法なんていうのはあり得ないのだから。
そんな当たり前のことを自分に言い聞かせていると睡魔が襲ってくる。昼間にはしゃぎ過ぎたからかも知れない。
お風呂に入る事も憚られるほどの強烈な睡魔に抗うことなんて出来ずにその場で横になってしまった。
最初は新しい話を書くつもりだった。だけど、いざ開くと書く気持ちよりも、思い出に浸りたい気持ちが勝ってしまった。
フランソワとして過ごした世界の時間。
そう思わせたのは有栖川さんの話のせいか、それとも最後の問いのせいかは自分でも分からない。
自分の書いた文章を0から読み返す。決して上手くはない自分の文字の羅列を読み返すたびに当時の状況が脳裏に浮かぶ。
文字だけでは決して伝わらない、雨の寒さ、料理の味、拳を握りしめた時の痛み……そして、喜び。
「これは私だけが知ってるの話……。思い出だもんね」
有栖川さんがかつて見た世界。世界は同じでも視点が違った、結果が違った。
でも私はこの世界へと帰ってきた。目が覚めたように。
もう一度寝たらあの世界に行けるのかと言うのは帰ってきてから少しの間ずっと思っていた。
だけど、その気持ちは次第に日を重ねるごとに無くなっていった。
「そりゃ行きたいよ」
まだまだやりたい事、見たい事が山程ある。未練がないわけなんてない。
あの世界がどうなったのかも私は分からない。
「気になるよそりゃ。もう一回……行きたいな。お願いよ」
当然ながら反応はない。ただの独り言だ。
アリスのようにお願いを聞いてくれる友達と言うのもいない。
この世界で魔法なんていうのはあり得ないのだから。
そんな当たり前のことを自分に言い聞かせていると睡魔が襲ってくる。昼間にはしゃぎ過ぎたからかも知れない。
お風呂に入る事も憚られるほどの強烈な睡魔に抗うことなんて出来ずにその場で横になってしまった。
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