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Time can only move forward
第239話-噛み合わない日常-
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「何言ってるのよ、アリスよアリス。みんなでお昼をいつも食べてるじゃない。もしかして寝ぼけてるの?」
それでもユリィは首傾げる。まるで私が意味の分からない事を言っているかのように。それでもユリィとしては指摘が出来ないのか困った表情をしていた。
「お昼は昨日アンと三人で頂きましたよね……。アンの事でしょうか?」
「ち、違うわよ。アンと同じクラスにいるアリスよ」
「そ、それにいつもと言っても私達はこの前に初めてお会い致しましたよね……?」
「えっ?」
ユリィの言葉が信じられなかった。
「何を言っているの?」
「フランソワ様体調が悪いのではないでしょうか……。今日は一度おかえりになられた方が……」
ユリィの優しい言葉を私は最後まで聞く事はなかった。
ユリィが言った言葉を受け入れられなかった。だから私は隣の教室へと向かった。そこにはアンとアリスがいるはず。
教室を出た所で出会い頭に人にぶつかってしまった。夢中になって周りを見てなかった。ぶつかった衝撃と地面に尻餅をついた衝撃が私を連続して襲う。
それよりぶつかってしまった相手が心配だ。完全に周りも見ずに飛び出した私が悪い。相手よりも先に立って声をかけた。
「ごめんなさい。私が周……」
言葉に詰まってしまう。
なぜなら目の前で尻餅をついていたのはアリスだったから。
会いに行こうとしていた人物が目の前にいた。見るのはとても久しい気がする。
ウェルズの事で巻き込まないために距離を取っていたから。
久々に見た彼女は前ともちろん変わらない。綺麗な金髪が目にまぶしく、可愛く思わず庇護欲の湧いてしまう幼い顔だち。青の瞳に見つめられると思わず吸い込まれそうになる。
「アリス……」
目があった。時が止まったかのような錯覚に陥る。息を呑む。ただ友達に会いにいくのになんでこんなに緊張してしまうのか。
「も、申し訳ございません! フランソワ様……私が前を見ていなかったんです。お怪我はございませんか!?」
慌てたアリスも可愛い。だけどそれどころじゃない。いや、今の反応はもしかして……。
「私の事知ってるわよね?」
「は、はい。もちろんです。ソボール領のお方ですから。噂は聞いております」
「そっちか……」と思わず内心ガックリしてしまう。名前が出たから私の事を覚えているのかと思ったけど、本当にただフランソワを知っているだけらしい。
「そう。ごめんなさい。迷惑かけちゃって」
「こ、こちらこそ」
「それじゃあね」
私はそのままその場を離れた。あの場に居続けたらどうにかなりそうだったから。
かと言って教室に戻る気にもならなかった。帰るにしても馬車はもう居ないかもしれない。だけだ今は家に戻りたかった。夢なら覚めて欲しいとそう思って、馬車の止まり場まで荷物も教室に置いたままで無言で向かった。
それでもユリィは首傾げる。まるで私が意味の分からない事を言っているかのように。それでもユリィとしては指摘が出来ないのか困った表情をしていた。
「お昼は昨日アンと三人で頂きましたよね……。アンの事でしょうか?」
「ち、違うわよ。アンと同じクラスにいるアリスよ」
「そ、それにいつもと言っても私達はこの前に初めてお会い致しましたよね……?」
「えっ?」
ユリィの言葉が信じられなかった。
「何を言っているの?」
「フランソワ様体調が悪いのではないでしょうか……。今日は一度おかえりになられた方が……」
ユリィの優しい言葉を私は最後まで聞く事はなかった。
ユリィが言った言葉を受け入れられなかった。だから私は隣の教室へと向かった。そこにはアンとアリスがいるはず。
教室を出た所で出会い頭に人にぶつかってしまった。夢中になって周りを見てなかった。ぶつかった衝撃と地面に尻餅をついた衝撃が私を連続して襲う。
それよりぶつかってしまった相手が心配だ。完全に周りも見ずに飛び出した私が悪い。相手よりも先に立って声をかけた。
「ごめんなさい。私が周……」
言葉に詰まってしまう。
なぜなら目の前で尻餅をついていたのはアリスだったから。
会いに行こうとしていた人物が目の前にいた。見るのはとても久しい気がする。
ウェルズの事で巻き込まないために距離を取っていたから。
久々に見た彼女は前ともちろん変わらない。綺麗な金髪が目にまぶしく、可愛く思わず庇護欲の湧いてしまう幼い顔だち。青の瞳に見つめられると思わず吸い込まれそうになる。
「アリス……」
目があった。時が止まったかのような錯覚に陥る。息を呑む。ただ友達に会いにいくのになんでこんなに緊張してしまうのか。
「も、申し訳ございません! フランソワ様……私が前を見ていなかったんです。お怪我はございませんか!?」
慌てたアリスも可愛い。だけどそれどころじゃない。いや、今の反応はもしかして……。
「私の事知ってるわよね?」
「は、はい。もちろんです。ソボール領のお方ですから。噂は聞いております」
「そっちか……」と思わず内心ガックリしてしまう。名前が出たから私の事を覚えているのかと思ったけど、本当にただフランソワを知っているだけらしい。
「そう。ごめんなさい。迷惑かけちゃって」
「こ、こちらこそ」
「それじゃあね」
私はそのままその場を離れた。あの場に居続けたらどうにかなりそうだったから。
かと言って教室に戻る気にもならなかった。帰るにしても馬車はもう居ないかもしれない。だけだ今は家に戻りたかった。夢なら覚めて欲しいとそう思って、馬車の止まり場まで荷物も教室に置いたままで無言で向かった。
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