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嵐の来訪者
第236話-嵐の後に-
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「やったー!」
私の突然の喜びの声に周りの三人が奇異の目を向けてくる。
「夢だった四人がついに近衛騎士よ! 上がるわ! 最高に調子いい!」
「そ、そうか。そりゃ良かったな」
ヤンはどこか引いた様子で声をかけてくれた、ユリは苦笑い、オーランは無言だった。
「先輩。この人はいつもこんな感じなのか?」
「いや、俺にもよく分からねえ」
なんとでも言うがいいわ。今の私はテンション爆上がりよ。だってこの世界に来てやりたかった事が叶ったんだから。
痛い思いもしたし、大変な目にもあった。それでもここまで来れた。その事に喜ばずにはいられない。
「アルが帰ってきたら四人で顔合わせしましょう! 今から楽しみで仕方ないわね」
「フランソワ様があんなに楽しそうにしてる所は久々に見ましたね」
「そうね! ユリを近衛騎士に出来た以来かも!」
ユリの時も一悶着あった。魔法探し、城の地下での戦い。
バレルさんとも出会った。あの人にもいつか教えてあげないと。私の近衛騎士が増えましたって。
その時の勲章は今でも首から身につけている。ガルド公からもらった首飾り。
「俺とアルの時はそんなに喜んで無かった様な気もするな」
「そんな事ないわよ。でもあの時はびっくりしてたから。そっちの方が大きかったからかな」
雨の降る夜の冒険と戦いもあった。
ヤンとアルの二人でも勝てなかったあの戦い。私がヤケクソで投げた石が戦況を変えたかは分からないけど、その結果が今にある。
今は手元にないけど、ヤンのお父さんから貰った短剣は今でも部屋に飾ってある。
あの短剣がユリの助けにもなったんだから全ては繋がっている様にも思える。
「早くアルにも教えてあげたいなぁ」
「そうですね。なんせ私達の隊長ですし」
「そういや、そうだったな」
ヤンが笑いながら言った。
「噂は聞いた事ありますけど、直接会って話した事はないんで早めにしておきたいですね、その隊長には」
そして遂にオーランが近衛騎士になった。
今日は興奮して寝られるかしら。
「まぁでも、そろそろお開きにしませんか。そろそろ遅くなってきましたし、フランソワ様を早く送らないと」
夢中になっていたけど私は下校中だった。テンションが上がり過ぎてすっかり忘れていた。
「確かに! ホリナに心配されちゃう」
「そしたら俺が送っていくって事でいいか」
ヤンの申し出に誰も首は横に振る事はなかった。
結局その場で解散になってユリとオーランは乗ってきた馬で学校の方へと戻っていった。
一応オーランは復学という形をとるらしい。
そして私は家までヤンの後ろに乗せてもらった。
短い距離だったけど少しお尻が痛い。馬に直接乗る事はないから慣れてないからだろう。明日まで響かなければいいけど。
「ヤンはどうするの?」
「あぁ、俺は街に帰るさ。結局親父に顔出せてないし」
「そうなんだ」
「遅いし、うちに泊まってく?」
「いんや遠慮しとくよお嬢。そんな離れてるわけでもないしな」
「そう、夜道には気をつけてね」
「そうだな。前のこともあるしな」
「明日学校に私からヤンが停学になった本当の原因話そうか? ウェルズにも話させるし」
「別にいいさ。停学食らった所でもう近衛騎士にはなってるしな、影響ねぇ。なんだったらゆっくりさせてもらうさ」
「そっか。ヤンがそう言うなら」
そしてヤンも帰って行った。
さっきまでの出来事が嘘かのように静かな時間がやってきてしまった。
祭りの後は寂しいって言うけどその通りだ。
また明日にはいつもの毎日がやってくる。アリスとアンとユリィと授業を受けたり、お昼に楽しく話したりするんだ。
それを楽しみにして私は家の扉を開いて中に入った。
だけどこの時は思いもしていなかった。私の想像していた明日が来ないなんて……。
私の突然の喜びの声に周りの三人が奇異の目を向けてくる。
「夢だった四人がついに近衛騎士よ! 上がるわ! 最高に調子いい!」
「そ、そうか。そりゃ良かったな」
ヤンはどこか引いた様子で声をかけてくれた、ユリは苦笑い、オーランは無言だった。
「先輩。この人はいつもこんな感じなのか?」
「いや、俺にもよく分からねえ」
なんとでも言うがいいわ。今の私はテンション爆上がりよ。だってこの世界に来てやりたかった事が叶ったんだから。
痛い思いもしたし、大変な目にもあった。それでもここまで来れた。その事に喜ばずにはいられない。
「アルが帰ってきたら四人で顔合わせしましょう! 今から楽しみで仕方ないわね」
「フランソワ様があんなに楽しそうにしてる所は久々に見ましたね」
「そうね! ユリを近衛騎士に出来た以来かも!」
ユリの時も一悶着あった。魔法探し、城の地下での戦い。
バレルさんとも出会った。あの人にもいつか教えてあげないと。私の近衛騎士が増えましたって。
その時の勲章は今でも首から身につけている。ガルド公からもらった首飾り。
「俺とアルの時はそんなに喜んで無かった様な気もするな」
「そんな事ないわよ。でもあの時はびっくりしてたから。そっちの方が大きかったからかな」
雨の降る夜の冒険と戦いもあった。
ヤンとアルの二人でも勝てなかったあの戦い。私がヤケクソで投げた石が戦況を変えたかは分からないけど、その結果が今にある。
今は手元にないけど、ヤンのお父さんから貰った短剣は今でも部屋に飾ってある。
あの短剣がユリの助けにもなったんだから全ては繋がっている様にも思える。
「早くアルにも教えてあげたいなぁ」
「そうですね。なんせ私達の隊長ですし」
「そういや、そうだったな」
ヤンが笑いながら言った。
「噂は聞いた事ありますけど、直接会って話した事はないんで早めにしておきたいですね、その隊長には」
そして遂にオーランが近衛騎士になった。
今日は興奮して寝られるかしら。
「まぁでも、そろそろお開きにしませんか。そろそろ遅くなってきましたし、フランソワ様を早く送らないと」
夢中になっていたけど私は下校中だった。テンションが上がり過ぎてすっかり忘れていた。
「確かに! ホリナに心配されちゃう」
「そしたら俺が送っていくって事でいいか」
ヤンの申し出に誰も首は横に振る事はなかった。
結局その場で解散になってユリとオーランは乗ってきた馬で学校の方へと戻っていった。
一応オーランは復学という形をとるらしい。
そして私は家までヤンの後ろに乗せてもらった。
短い距離だったけど少しお尻が痛い。馬に直接乗る事はないから慣れてないからだろう。明日まで響かなければいいけど。
「ヤンはどうするの?」
「あぁ、俺は街に帰るさ。結局親父に顔出せてないし」
「そうなんだ」
「遅いし、うちに泊まってく?」
「いんや遠慮しとくよお嬢。そんな離れてるわけでもないしな」
「そう、夜道には気をつけてね」
「そうだな。前のこともあるしな」
「明日学校に私からヤンが停学になった本当の原因話そうか? ウェルズにも話させるし」
「別にいいさ。停学食らった所でもう近衛騎士にはなってるしな、影響ねぇ。なんだったらゆっくりさせてもらうさ」
「そっか。ヤンがそう言うなら」
そしてヤンも帰って行った。
さっきまでの出来事が嘘かのように静かな時間がやってきてしまった。
祭りの後は寂しいって言うけどその通りだ。
また明日にはいつもの毎日がやってくる。アリスとアンとユリィと授業を受けたり、お昼に楽しく話したりするんだ。
それを楽しみにして私は家の扉を開いて中に入った。
だけどこの時は思いもしていなかった。私の想像していた明日が来ないなんて……。
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