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嵐の来訪者
第235話-オーランの不安-
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「その言葉はありがたいです。でも……」
「でも?」
どこか腑に落ちないと言った様子のオーラン、何が彼を拒ませているのか。
「俺は迷惑をかけ過ぎた。だから近衛騎士になるなんて出来ない。特に表立って何かをやれる人間でも無いんだ」
「それでもいいじゃない。まず迷惑って言ったけど、さっきも言った様にそれはそれこれはこれよ! もう過去の事、これから私達を助けてよ」
オーランに必要なのは彼の不安を払拭する言葉だと思う。後一歩でいい、彼の背中を後押し出来れば。
「表立って出来ないなんて事はない。やれば出来る、それに裏方に詳しいなら尚更手元に欲しいじゃ無いの。だってそう言う人がいた方が安心できるし」
『餅は餅屋』なんて言葉がある。実際の所裏方に詳しい彼がいたからこそ、今回も解決に至った。
「別にそこまで気負うことないだろ」
ヤンが言った。短い言葉だけど、オーランの肩が揺れた。
「確かにお嬢の敵だ云々は言ったけどよ、もう違うんだろ。俺も助けられたんだし、近衛騎士って仲間になってもいいだろ。何が出来るとかいらないしな、お嬢が近衛騎士としていて欲しいって気持ちに応えるだけでいいんじゃないか」
「本当にいいのか……?」
「俺はな。アルも問題ないだろ。そしたら後は……」
そう言ってユリの方にみんなの視線が集まった。
「私も問題ないですよ。むしろ仲間として色々教えて欲しいくらいですよ」
「だとよ」
これ以上の言葉は無粋だと思った。だから私はただ頷いた。
「俺は……近衛騎士になりたい。影の仕事しか出来ないと思っていたけど、表に立てるなら立ちたい!」
「なら立ちましょう。改めて言うわ、私の近衛騎士になって」
差し出した手をオーランは掴んでくれた。
「ありがとうございます。声をかけてくれて」
いつもクールな彼の熱い一面を見れた気がする。彼の言った『ありがとう』は重みが凄い感じられた。
「そしたらお嬢、さっさとやっちまえよ。気が変わらないうちにな」
「分かってる。そもそもオーランはそんな簡単に気は変わらないわよ」
「やるって言うのは?」
オーランだけは何をするのか分かっていないと言う様子だった。
私はその言葉も画面で何回も見ている。この世界に来てからは三回も。
「祝詞でしょ」
「祝詞……?」
「お前分かってないな。一応騎士学校行ってるんだろ?」
答えの分かっていないオーランにヤンが答えを教える。祝詞の言葉と作法を。
「すみません、まさか自分が言うなんて思ってなくて」
「まぁ、そんなこともあるわよ。気にしないで」
オーランが懐から短剣を出して、ヤンに教わった通りに辿々しく地面に片膝をついて私を見上げる。
「私、オーラン=ウェルは主のために剣を携え、如何なる時も主を守る剣として傍らにお仕え致します」
オーランから差し出された剣を受け取った。
それは私の夢だった四人の近衛騎士が揃う瞬間だった。
「でも?」
どこか腑に落ちないと言った様子のオーラン、何が彼を拒ませているのか。
「俺は迷惑をかけ過ぎた。だから近衛騎士になるなんて出来ない。特に表立って何かをやれる人間でも無いんだ」
「それでもいいじゃない。まず迷惑って言ったけど、さっきも言った様にそれはそれこれはこれよ! もう過去の事、これから私達を助けてよ」
オーランに必要なのは彼の不安を払拭する言葉だと思う。後一歩でいい、彼の背中を後押し出来れば。
「表立って出来ないなんて事はない。やれば出来る、それに裏方に詳しいなら尚更手元に欲しいじゃ無いの。だってそう言う人がいた方が安心できるし」
『餅は餅屋』なんて言葉がある。実際の所裏方に詳しい彼がいたからこそ、今回も解決に至った。
「別にそこまで気負うことないだろ」
ヤンが言った。短い言葉だけど、オーランの肩が揺れた。
「確かにお嬢の敵だ云々は言ったけどよ、もう違うんだろ。俺も助けられたんだし、近衛騎士って仲間になってもいいだろ。何が出来るとかいらないしな、お嬢が近衛騎士としていて欲しいって気持ちに応えるだけでいいんじゃないか」
「本当にいいのか……?」
「俺はな。アルも問題ないだろ。そしたら後は……」
そう言ってユリの方にみんなの視線が集まった。
「私も問題ないですよ。むしろ仲間として色々教えて欲しいくらいですよ」
「だとよ」
これ以上の言葉は無粋だと思った。だから私はただ頷いた。
「俺は……近衛騎士になりたい。影の仕事しか出来ないと思っていたけど、表に立てるなら立ちたい!」
「なら立ちましょう。改めて言うわ、私の近衛騎士になって」
差し出した手をオーランは掴んでくれた。
「ありがとうございます。声をかけてくれて」
いつもクールな彼の熱い一面を見れた気がする。彼の言った『ありがとう』は重みが凄い感じられた。
「そしたらお嬢、さっさとやっちまえよ。気が変わらないうちにな」
「分かってる。そもそもオーランはそんな簡単に気は変わらないわよ」
「やるって言うのは?」
オーランだけは何をするのか分かっていないと言う様子だった。
私はその言葉も画面で何回も見ている。この世界に来てからは三回も。
「祝詞でしょ」
「祝詞……?」
「お前分かってないな。一応騎士学校行ってるんだろ?」
答えの分かっていないオーランにヤンが答えを教える。祝詞の言葉と作法を。
「すみません、まさか自分が言うなんて思ってなくて」
「まぁ、そんなこともあるわよ。気にしないで」
オーランが懐から短剣を出して、ヤンに教わった通りに辿々しく地面に片膝をついて私を見上げる。
「私、オーラン=ウェルは主のために剣を携え、如何なる時も主を守る剣として傍らにお仕え致します」
オーランから差し出された剣を受け取った。
それは私の夢だった四人の近衛騎士が揃う瞬間だった。
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