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騎士と派閥と学園生活と
第135話-罠-
しおりを挟む「こんな所にあるの?」
「あぁ、偏屈な鍛冶屋が開いてるとこでさ」
俺が標的のフランソワを指定された場所に連れて行く行動は、うまくいった。結果として俺の後ろに警戒もせずについて来てくれている。
「あんたからしたら下層近いとこなんて来るのは嫌だろうが、我慢してくれよ」
「別にそんなことは思ってないわよ、気にしないで。むしろ気になるのは相変わらず目まぐるしい街の作りの方ね。さっきから曲がってばっかりで迷路みたい」
「元々道が狭い作りだから何本も作ってないと往来の妨げになるから作ってるんじゃないかね」
道が複雑に入り組んでいるのはこの街の構造だ。俺の思惑とは関係ない。だけど、その街の作りを俺は利用して、わざと曲がることを連続させている。
理由は簡単だ。疲れさせて少しでも思考力を低下させたかった事、そして、護衛の目を離させるためだ。
離れて護衛がいるのは分かっていた。わざわざ離れているのであれば、フランソワとしては前に出ないように言われているはずだ。それなら入り組んだ道の中に俺たちが入って行っても後ろからしか追いかける事は出来ない、だからこそ、護衛を巻きやすい。
現に広い道の時には感じていた後ろから追いかけてくる気配は無くなっていた。おそらく、今頃必死に俺たちの通ったであろうところを探しているはずだ。
だけど完全に巻いたわけじゃない。俺だけなら痕跡は残さないように出来るが、後ろのフランソワの痕跡は残る。痕跡を残させないようにすることは不可能だ。
だからこそ、今このタイミングで指定の場所へと突き進む進路を俺は取っていた。
「もうちょっとなんだ」
フランソワに言った言葉だ。だが、その言葉は自分にも言いきかせる言葉になっていた。
こっちの上手を行く相手に対して一矢報いる達成感。
目的の場所はここを曲がった所だ。
目の前の開けたここより少しは広い道の右側。丁字路になっていて周りは壁しかない。左に行けばまた少し大きな通路に出る。
助けを呼ぼうにもここに家はない。しかも下層で、警備もいない。
「ほら、こっちだ。あそこに……」
右に曲がって見えた光景は予想外の光景。
そこには俺の知らない奴らがいるはずだった。そして、そいつらは俺たちに絡んでくる。そんな筋書きのはずだった。
なぜか、そこにいたのは俺の知ってる奴がいた。
「あれ? ヤンじゃない。なんでここにいるの?」
「ようお嬢、待ちかねたぜ」
フランソワの近衛騎士が俺たちを待っていた。
「ちゃんと先に仕事終えといたぜ。そんでもってお前が仕掛け人だな。お前の仲間は今頃別のとこで捕まってるぜ」
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