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千春の誕生日!⑦

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「わぁぁ!!!」
 千春は王都に入り見えた景色に声を上げる。

「メイソンも頑張ったわね。」
「チハルには色々と恩があるからのぅ、しかし凄いな。」
 王都の馬車の通る大きな通り全ての桜の木には装飾が飾られていた。

「姫様ー!」
「おめでとうございます!!」
 市井の女性が手を振りながら声を掛けて来る、千春はニコッと微笑むと手を振り返す。

「ありがとー!」
「ひめさまー!」
「チハル王女殿下ー!」
「おめでとうございますーーー!!!」
 千春が声を掛け手を振ると次々と人が集まり声を掛けて来る。

「ありがとー!!!!」
「チハル、今からそんなに声を上げてたら持たないわよ?」
「嬉しいじゃろうが手を振るだけにしておけ、チハルの喉が壊れてしまう。」
「大丈夫ですよ、回復できますし、アイトネも見ててくれますから♪」
 そう言うとまた大きな声でお礼を言う千春、そして通りに入ったところで空から花びらが舞い落ちてくる。

「花?」
「チーちゃん!妖精だよ!」
「あ、この子達は動画取ってくれてるらしんだよ。」
「違うよほら!」
 文恵はリリとルルを指差す千春のその上を指差す、青空には小さな妖精と精霊が舞い、花びらを沢山空から降らせていた。

「チハルさまー!おめでとうー!」
「おめでとー!!!」
「チハルさまー!」
 妖精達はチハルの進行方向に向かって飛びながら花びらを巻き散らす。

「何でこんなに妖精居るの?!」
 千春の呟きに反応するようにドライアドが現れる。

「チハル様誕生日おめでとうございます。」
「有難うございます!精霊凄いですね。」
「えぇ、あの森に居るすべての精霊が集いましたから。」
「・・・大丈夫なんです?」
「問題ありませんわ。」
 妖精と精霊達は王都中に散らばる、それを確認したドライアドはニコリと笑う。

「それではパレードお楽しみください。」
 ニッコリ笑うドライアド、そして妖精と精霊達は木々に魔力を送ると桜が咲き始め王都がピンクに染まる。

「うわぁ!ありがとうございますドライアドさん!」
 コクリと頷きドライアドは姿を消した、すると人の声がさらに大きくなる。

「竜騎士の部隊だ!」
 指を差す人達、千春は後ろを振り向き指差す方を見る。

「おー!戦闘機みたい!」
 後ろのJK軍団が声を上げる。

「なんだっけ、ぶるーいんぱるす?」
「あれだよね、アクロバット飛行とかするやつ。」
「ウチ見た事有るよ!後ろから煙みたいなの出すんだよね。」
 ドラゴン達は編成を組み、勢いよく千春が乗る馬車の上を飛んで行く。

「人は乗っておらんな。」
「ドラゴンだけね、何かするのかしら?」
「龍か!」
「戦闘機みたい!」
 見慣れたドラゴンを見ながらエイダンとマルグリットが呟き、ドラゴンを初めて見た源治と物凄いスピードで飛ぶドラゴンに興奮する文恵、ドラゴン達は王都の先まで行くと急上昇し炎を飛ばしながら飛び回る、そして後ろからさらに追加のドラゴンが飛び回り火を空に向けて吐く。

「おぉぉぉぉぉすごぉ!」
 千春が声を上げる、そして通りからも千春へのお祝いが飛び交う。

「チハルおねえちゃんすごいー!」
 窓から身を乗り出す様に空を見るユラ。

「ユラ!危ないから!」
「だいじょうぶー!」
 心配そうに千春が言うと馬車の後ろからルプが走って来る。

「ユラ、俺に乗れ。」
「ルプ!うん!」
 そう言うとユラは馬車からジャンプする。

「ユラ!?」
「千春心配するな、ユラは俺が見てるからお前もちゃんと乗ってろ。」
「はーい。」
 ルプに言われ千春は素直に席に戻る、ピンクに染まる通り、ドラゴン達の飛行と妖精の花びら乱舞、そして市井の人達の声を聞きながら楽しく手を振り続けた。


-----------------


「チハルお疲れ様。」
「大丈夫か?」
 腕の振りすぎでプルプルしている千春を労うマルグリットとエイダン。

「ヒール!」
 千春は何度目かの回復を自分にかけると元気に返事をする。

「大丈夫です!」
「しかし・・・すごかったのぅ。」
「えぇ、他国の者も居たでしょうから・・・驚いたでしょうね。」
「うむ、近隣の国がすべて攻めて来ても辿り着きすら出来ぬじゃろうなぁ。」
 ドラゴンと妖精、そして精霊の脅威を知る2人は空笑いで話す。

「チハルおつかれー」
「凄かったねー。」
「妖精ちゃん達気合入れすぎっしょ。」
「リリ、ルルお疲れ様ー。」
 JK達は馬車を降り感想を言い合う、麗奈はリリとルルからスマホを受け取ると動画を確認する。

「うん、ばっちり!」
「楽しかったわぁ~♪」
「わたしもぉ~♪」
「保存終わったからまたお願いね。」
「「了解よ~~♪」」
 リリとルルはくるくると飛び回り返事をする。

「チハル、昼食を食べたら呼びに行くわね。」
「はいお母様、着替えもするんですよね?」
「えぇ、私の部屋で着替えるからその服は着替えても良いわよ。」
「はーい♪」
 長いドレスを引き摺りながら千春は部屋に戻る事にした。

「千春凄かったね。」
「うん、凄かった、お父様が言ってたけど今日王都の屋台っていつもより安いらしいよ。」
「へぇ、商業ギルド?」
「うん、色々安くやってるらしくて、おかげで人が凄い増えたみたい。」
「だからあんなに人いたのかぁ。」
 王都の様子を話しながらJKと源治、文恵は部屋に戻る。

「おかえりなさいませ!」
「ただいまモリー・・・なんですかこれは。」
 千春は応接間に置かれたプレゼントを見て愕然とする。

「はい!チハルさんに会えない貴族の方々が置いて行きました!ちゃんと誰から貰ったか書いてますよ!」
「いや、書かれても読めないし知らないんだけど・・・。」
「大丈夫よチハル、私が整理しておくから。」
「サフィーよろしくぅぅ。」
 どっと疲れが出たのか千春は長いスカートを引き摺りソファーに倒れ込む。

「うぁぁ、次はお披露目かぁ。」
「ウチらはここでお留守番してるからガンバー。」
 美桜はケラケラと笑いながら手をプルプル振っている。

「みんなドレス着てるんだから一緒に来ればいいじゃん。」
 頼子達JKもドレスを着ている、お茶会には出席為だ。

「お披露目の後のお茶会は一緒に行くからちゃちゃ~~~っと終わらせておいでー。」
「そうそう、ちゃっちゃと終わらしておいでー。」
「私が決めれないって、すぐ終わるとは言ってたけどぉ。」
 ダルそうに千春が言うとアイトネが現れる。

『チハルお疲れ様、手を振るチハル可愛いかったわよ♪』
 アイトネはそう言うと千春の手を軽く触る。

「おー・・・楽になった。」
『少し魔力が減りすぎてたわ、回復結構つかったものね。』
「うん、流石に腕だるくて。」
 その後サリナ達が昼食を準備し、皆は軽く食事を取った。





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