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お菓子の材料!

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「やふー。」
「ヨリいらっしゃい。」
「はいコレお土産。」
「さんくす。」
 頼子は藤井家の玄関を通り異世界に千春と入る。

「ありゃん?マクリ勉強中?」
 応接間のテーブルで千春からもらったノートに文字を書いているマクリを見ながら話しかける。

「そ、識字率低いらしくてさ、マクリって簡単な字しか読めないから教えてんだよ。」
 マクリの前にモリアンが座り教えてる姿を見ながら頼子は微笑む。

「モリーちゃんが先生とか笑うわ。」
「ヨリさんソレどう意味ですかぁ!」
「モリーちゃん教えれるの?」
「ちゃんと学園卒業してますからね!痛ぁぁい!」
 ドヤ顔で言うモリアンの頭を叩くサフィーナ。

「うるさいわよ。」
「ふぇっ。」
「千春も勉強してたんだ。」
「そりゃ受験生ですからぁ。」
「やっぱ大学?」
「チャレンジはするけど、専門でも良いかなって、ほら、別に学歴がとか必要無いし知識増やしたいのが目的だからさ。」
「それお母さんに言われたわ、お陰で気楽に勉強出来てメリハリついてるわ。」
「うん、お父さんの受け売りなんだけどさ、勉強する理由を履き違えたら身にならないよって。」
 千春は広げた参考書を片付けながら話す。

「勉強終わり?すまんね邪魔して。」
「ちょうどキリが良かったから、休憩してたとこだし。」
 片付けが終わり千春はお土産の箱を開ける。

「とーりもーん!」
「やっぱ博多ならコレでしょ。」
「美味しいよねコレ。」
「アイトネ様呼ぶ?」
『呼んだ?』
「・・・ヨリがね。」
「あれ?私いつから聖女になったん?」
「おめでとうヨリ、女神呼べる様になったね。」
『ヨリも聖女の称号いる?』
「いりませーん、聖魔法使えないし。」
「アイトネ、聖女2人とかダメじゃない?、私の称号渡して良いよ。」
『別に1人限定じゃ無いわよ?』
 千春にお菓子を受け取り嬉しそうに話すアイトネ。

「千春、聖女特典って何が有んの?」
「聖魔法にバフが付くのと、アイトネが呼べるようになる、あと幽霊見えるようになって、面倒事が増える。」
「うん、いらないね。」
「うん、いらない。」
「アイトネ様呼ぶのLIMEでも呼べるし、聖属性持ってないし、幽霊・・・見たくないし、面倒事増やしたくない。」
「改めて言われるとほんと要らない気がしてきた。」
『あら、この世界の聖女は国王よりも立場は上なのよ?』
「のんびり過ごすのにそれはいらないんだよぉぅ。」
「王女殿下って立場でも持て余してる感あるよね千春。」
「ほんとだよ。」
 千春と頼子も箱からお菓子をを取り出しパクリと口に入れる。

「んっま。」
「やっぱ美味いわ。」
『チハルこれ作れない?』
「無理。」
「コレは作れないよねぇ。」
 頼子はそう言うとスマホでレシピを検索する。

「・・・似たようなの作り方あるよ。」
「マ?・・・ほんとだ・・・うんまぁ代用品で行けるかな、サフィー作り方言うからメモしてー。」
「チハルが作るんじゃないの?」
 サフィーはレシピ記入用のメモ帳をアイテムボックスから取り出しメモを取る。

「お菓子はシャリーちゃんが上手だからね~、シャリーちゃんが作れたらアイトネも食べに行くでしょ。」
『もちろん♪』
「でも出来上がりを食べないと同じ様に作れないんじゃないのかしら?」
 サフィーナはメモを取りながら首を傾げる。

「そりゃそうだ、千春一度作ったら?」
「しゃーない、作りに行くかぁ。」
『今から行く?』
「そだね、これと言って用事無いし。」
『誰が行くのかしら?』
 アイトネは部屋を見回す、千春、頼子、サフィーナ、そして勉強をしているマクリと教えているモリアンが部屋に居る。

「モリーは勉強教えないとだから、サフィーと私達だけかな?」
「はーい!はーい!行きまーす!」
「マクリの勉強教えてんじゃん。」
「マクリちゃんも行きたいよね?」
「・・・へ?」
 モリアンがマクリに声を掛けると、必死でノートに書いていたマクリが変な声で返事をする。

「はいって返事して(ボソッ)」
「はい!」
「行くそうです!」
「必死だなぁモリーちゃん。」
「良いけどね、シャリーちゃん今何処かな、王宮の厨房かな?」
『え~っとね、シャリーちゃんは今王都のスイーツ店に居るわね。』
「・・・なんでわかんの?」
『シャリーちゃんに何か有ったらスイーツ店でお菓子食べれないもの、加護付けてるのよ♪」
「ふぅ~~~ん、因みにそれシャリーちゃん了承済?」
『・・・。』
「コレはアレだ、こっそり付けてるパターンだ。」
 アイトネの雰囲気を感じた頼子が笑いながら言う。

『違うわよ?神の加護は了承が必要とか無いのよ?本当よ?』
「・・・そうだね、有難い物だもんね。」
『それじゃ行くわよ~♪』
 アイトネは話を逸らすと手を振る、そして一瞬でスイーツ店の前に飛ぶ。

「アイトネー、急に飛ぶのやめてよー。」
『ほら、行くわよー♪』
 千春の文句をスルーし、勝手知った様に店の扉を開くアイトネ。

「いらっしゃいませ~♪店長!アイトネ様ご来店で御座います♪」
「はーい!奥に案内お願いしまーす♪」
 店員は当たり前の様にアイトネを見ると奥の部屋へ案内する。

「アイトネさん?」
『なに?チハルさん?』
「慣れてね?」
『・・・気のせいよ?』
「常連じゃーんwwww」
 千春とアイトネを見ながらゲラゲラと頼子が笑う。

「アイトネ様いらっしゃいませ!チハルさん!一緒に来られたんですか?」
 シャリーがパタパタと走って来ると挨拶をする。

「うん、ちょっと新しいお菓子のレシピ持って来たんだけど、アイトネが作って欲しいそうなのよね。」
「有難うございます!アイトネ様この前頂いた魔道具凄いです!お菓子の種類が凄く増えました!」
 シャリーが嬉しそうにレシピを受け取り、アイトネにもお礼を言う。

「・・・魔道具?アイトネ何あげたの?」
『ちょっと・・・最近チハルが言ってた材料を作る魔道具をね?』
「あー神授したの?」
『そ!それ!いつも美味しいお菓子作ってくれるから!』
「・・・で、何が出来る魔道具なの?」
『えっとぉ、チハルの世界で言う炭酸水素ナトリウムって言うのを水に入れると出来るようにしただけよ?』
「チハル、炭酸水素ナトリウムって何?」
「重曹だよ、この世界で作れないとあきらめてた物だね。」
 呆れる様に呟く千春。

「へぇ、重曹って作れないんだ。」
「作れるけど凄い工程が大変なんだよ、どういう仕組みなの?」
『この国温泉が出るでしょう?温泉の水に一晩漬けておけば炭酸水素ナトリウムだけを吸収するようにしただけよ。』
「へぇ・・・簡単に言うなぁ。」
 3人が話をしていると店員がお菓子を持ってくる。

「こちらがその材料を使ったお菓子です、どうぞ。」
 クッキーやパウンドケーキを並べるシャリー。

「すっご!これ私レシピ教えてないよね!?」
「はい・・・えっと、夢でお告げの様な・・・その、ヒントを頂きまして。」
 それを聞いた千春はアイトネをジト目で見る。

『美味しそうね♪』
 千春の視線を合わせず、お菓子を見るアイトネ。

「こちらは雑穀クッキーになります、最近パンにも混ぜる様になりまして、材料が増えたんですよ!」
「へぇ、美味しそう、こっちは?」
「ドライフルーツのパウンドケーキと言う物です、これも夢のお告げ・・・いただきまして、あはは。」
「そう、便利だねお告げ。」
「そっか、直接はアウトだけどお告げはセーフなのか。」
 千春と頼子は空笑いしながら話す。

「うん、美味しいわ、やっぱり重曹あったら違うなぁ。」
「日本から持ってくるとしても限界あるからね。」
「やっぱりジブラロールとかこの世界で手に入る材料で作れるようにしたいんだよねぇ。」
『チハルもいる?』
 そう言うとアイトネが手の平に乗った魔石を渡す。

「コレで作るの?」
『えぇ、これを温泉水に浸けておけば出来るわよ。』
「これって私達にも作れるの?」
『作れるようにしたわっ!』
 ドヤ顔で言うアイトネ。

「どうやって作るの?」
『この魔法陣をかき込めば同じ事が出来る魔石になるわよ。』
 魔石はツルツルに磨き上げてあり、その側面になにやら魔法陣に文字が書かれている。

「・・・化学式じゃん。」
『そ、システムに組み込んだわ♪』
「アウトでしょそれ!」
『私が組み込んだからセーフ!大丈夫!これくらいはセーフ!』
「はぁ、神様がセーフならセーフなんだろうね。」
『えぇ、ちゃんとウカちゃんやアマちゃんにも確認とったもの♪』
「天照大御神様と宇迦之御魂様巻き込んじゃダメでしょ。」
 お菓子を食べ終わると、新しいお菓子を千春と頼子はシャリーに教える、そしてスイーツ店の新たな名物お菓子として王都に広がる事になった。


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頼子:「お菓子の名前何にする?」
千春:「じぶらもん」





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